FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

リスクとリターンの関係をさらに考える

リスクとリターンについて何度か考察をしてきました。今回は、それをさらに一歩進めて考えてみたいと思います。前回は、リスクとリターンは表裏一体で、現金比率を上昇させたり、逆に借り入れでレバレッジをかけることでリスクとリターンを好きな値にコントロールできるということを見てきました。

 

 

 

では、どんな投資手法でもリスクとリターンは同じで、有利不利はないのでしょうか? 実はそうではないところに、投資妙味があるのではないかと思っています。

 

一つ目はレバレッジです。借り入れには金利がかかるので金利の高低でリターンは大きく変わります。ところが金利はリスクとリターン以外の要素でも大きく変わるのです。例えば株式投資レバレッジをかける(信用取引)場合は、貸出金利は基本的に誰でも同じです(機関投資家なら違うのでしょうけど)。しかし、不動産投資の場合は借り主の属性によって金利は大きく変わります。FXなどのCFDの場合、レバレッジ自体には金利がかからず、保持しているポジションの金利差によって金利を払ったりもらったりするようになります。

 

 またどこまでレバレッジをかけられるのかも大きな違いがあります。株式投資レバレッジをかける(信用取引)場合は持っている株を担保に入れるのが基本ですので、2倍くらいのレバレッジが最大です。ところが不動産の場合は物件を担保に入れることで10倍から状況によってはオーバーローンと言われる無限大のレバレッジをかけることもできます。一方で太陽光発電の場合は、不動産ではなく動産扱いなので設備を担保として借り入れをすることができません。FXなどの場合は、レバレッジ比率が法律で決まっている状況です。

 

リスクの分布状況も商品によって変わります。ファイナンス理論ではボラティリティの状態、つまり将来の価格がとり得る可能性を正規分布と見立てて計算します(正確には変動率が正規分布すると想定します)。しかし、これはあくまで計算をしやすくするための方便でしかなく、実際のリスクは正規分布と違うということがいろいろな研究結果や、投資家の肌感覚でもわかっています。

 

そのため、期待値もリスクも同じでも、成功確率が99.9%で、失敗確率が0.1%というような投資が存在するわけです。この場合、成功することで得られるリターンは小さいが、失敗するとその1000倍近くの損失を被るというものになります。例えば、オプションのプットの売りは、大きく価格が離れたプット(FarOTM)を売ると、高い成功確率でリターンは小さく、そして期待値的にはゼロ(手数料だけマイナス)という構造になります。

 

このブログでも、オプションを扱い、プットの売りについて流れを日時レポートしていますが、オプションは基本的にゼロサムゲームで、手数料とスプレッドの分だけ期待値はマイナスだということは理解しておきたいと思います。勝率が90%以上あり、勝ったときは年率で数十パーセントのリターンを得ることができますが、僅かな失敗のときには非常に大きなマイナスとなり、期待値はゼロからマイナスという商品でしょう。ですので、単体では投機と分類すべき商品です。あくまで、ほかの商品を組み合わせてリスクをヘッジするのに使うのが本流だと思います。

 

kuzyo.hatenablog.com

 

銀行預金や国債も似た構造だと言えるでしょう。ほぼ確実に破綻はない代わりにリターンは小さく、万が一破綻した場合はすべてを失います。国債を「ノーリスク」とするのも便宜上のものだと僕は考えています。

 

このような商品では、例えば成功すれば大儲け、もし万が一失敗したら自己破産してチャラ、というような投資手法が成り立ってしまうわけです。倫理的には許されない内容ですが、例えば外資系金融機関でも、成功すれば大量のボーナスで大儲け、失敗すれば解雇となるので、同じ構造にあるといえるでしょう。

 

kuzyo.hatenablog.com