FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

最適キャッシュポジション比率を生涯年収から考える

 

若いうちは投資比率が大きくていい、年をとったら投資比率を下げて現金など安全資産にシフトすべき、と世の投資理論はいいます。これは何を意味しているのでしょう?

 

若いうちは仮に投資で失敗しても働くことで給与を得てカバーすることができるからです。これを計量的に考えると、将来得られる給与の合計が実質的なキャッシュポジションになっていると考えることができます。

f:id:kuzyo:20180425112057p:plain※将来の年収を加味した実質総資産

 

現在の資産+将来得られる給与 の合計が、本質的な資産だといえるでしょう。つまり、将来稼げるであろう給与は、総資産のうちの実質的なキャッシュポジションであると考えられます。

 

ただし、将来の給与については現在価値に割り引く必要があります。今日の100万円と来年の100万円は価値が違い、もし5%で運用できる力があるなら、来年の100万円は95.2万円の価値しかないからです。将来の収入を割り引いて現在の価格に直したものを「現在価値=Present Value:PV」といいます。

 

今回の試算では、縦軸に「あと何年給与をもらえるか」を置き、横軸に「資産は現在の年収の何倍か」を置きました。給与は現在の給与がそのまま継続する前提で、割引率は5%としています。表内のパーセンテージは、上記の前提で計算したキャッシュ(給与)比率を表します。

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たとえば、年収の3年分の資産を持っていてあと20年間働く予定の人は、すでに資産の72%は実質的にキャッシュポジションだということを表しています。年収で計算するべきではなく、生活費で考えるべきだ、という場合は生活費の何倍の資産を持っているかで横軸を見ればいいと思います。

 

これを見れば一目瞭然、40歳であと20年働く予定の人は(昇給・降給がなかったとして)、よほどの資産がない限り、かなりの額の実質キャッシュポジションを持っていることになります。ぼくならば、余裕でフルインベスト(資産の全額を投資)ですね。

 

逆に、2年後にセミリタイアを考えているなら、年収または生活費の5倍程度の資産は少なくとも持っているでしょうから、キャッシュポジション比率は2割以下という感じになります。

 

どのくらいアグレッシブに投資を行うかによってもキャッシュポジション比率の考え方は変わりますが、上記の給与収入のPV以外にも、年金や401k、生命保険の解約返戻金などキャッシュ的な意味付けの実質資産は多くあります。セミリタイアしたとしても、投資がうまくいかなかったら改めて働くという選択肢もあります。おそらく、キャッシュポジションを取りすぎるのは、リターンを押し下げる損失のほうが大きいのではないかと思っています。

 

ただし、キャッシュポジションには、株式下落時に新たに買い込むための資金という意味合いもあります。バフェットは市場が加熱してくると株式を売り、暴落時に一気に買い込むという投資スタイルですが、ここ数年かなりキャッシュポジションを高めており、2017年は15%までキャッシュポジションが拡大したようです。

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シーゲル博士などと比べると、バフェットはキャッシュポジション比率が高いと言われることが多く、そんな観点でも、キャッシュポジションは全体の10〜15%程度、よほど加熱したタイミングでは20%くらいを上限と考えても良さそうです。

 

ちなみにぼくのポートフォリオではキャッシュポジション比率は9%程度です。これは年金や401k、将来の給与や生命保険などを計算に入れていないので、適正な感じかと思っています。実際には、FXのアービトラージポジションはキャッシュポジションだと考えてもいい(3月はノーポジション)ので、もう少し比率を上げてもよいと思っています。

 

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