FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

利回り3%の米国債投資を、ドル定期、FX、債券ETFと比較する

米国中間選挙前で、結果しだいでいろいろ変化がありそうですが、現時点で米国債10年もの利回りは3%を超えています。

 

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もし長期で運用するなら米国債は1つの選択肢。ただ、債券投資というと、ほかにもいくつか選択肢があります。今回はそれを比較、考察してみましょう。

 

まず米国債のおさらいから。残年数が10年から30年近くありますが、米国債を買うと、固定の利息がずっと支払われます。数十年に渡って利率が固定されるのが最大のメリットですね。さらに、最後まで持ち切るのであれば、元本も保証されます。唯一のリスクは為替です。

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一方で、ドル建てで投資するなら、ドルの定期預金という手もあります。なんと住信SBIネット銀行では、ドル定期3年ものが2.5%の利率で出ています。定期預金ならば、途中解約時も元本割れのリスクなし。2.5%というのは米国債を直接買うのと比べても遜色ありません。

 

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また、FXを使うという手もあります。FXでレバレッジをかけずドルを買うと、1万ドルあたりで80円/日の利息が付きます。年間にすると2万9200円なので、為替が130円だとすると約2.2%ですね。ただし、途中解約時には為替変動のリスクがありますし、毎日利息が変動するので最も不安定です。

 

そしてFXの場合は、レバレッジがかけられるというメリットがあります。為替リスクは増加しますが、利息も増加します。2倍のレバレッジを取ると、為替リスクも倍、利息も倍ですね。逆に、為替リスクをなくしたければ、売建も同時に行うことで、リスクゼロにすることもできます。

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さらに、債券ETFを買うという手もあります。7-10年もの米国債のETF IEFなら、デュレーション、つまりリスクは7.5%程度で、利息は2.47%となっています(IEFファクトシート)。

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米国債のメリットは、長期間に渡って利息が確定されることです。米ドル定期預金は長くても3年ものですが、米国債ならば10年超も3%近くで固定できます。FXや債券ETFの場合、利回りはしょっちゅう変わります。

 

元本保証という点では、定期預金がもっともいいでしょう。途中解約でも利息分を諦めれば元本は戻ってきます。次が米国債でしょうか。満期まで持ち切れば必ず元本は戻ってきます。一方で、FXや債券ETFの場合は、途中解約時は時価になります。増えているかもしれないし、減っているかもしれません。米国債も途中解約した場合は時価になりますが、選択肢があるという点では良いでしょう。

 

最後に税金は結構複雑です。まずは利息から。

 

米国債の利息は、2016年に税制が変わりました。すべて約20%の申告分離課税で、株式などと損益通算も可能ですし、損失の繰越も3年間可能です。

 

定期預金の利息は、約20%の源泉分離課税ですが、損益通算も損失繰越もできません。

 

FXの利息は、20%の申告分離課税ですが、株式との損益通算はできません。FXや先物などのデリバティブの箱の中での損益通算、損失繰越となります。

 

債券ETFは株式扱いなので、約20%の申告分離課税で、株式と損益通算、損失繰越が可能です。ただし、IEFのような米国籍のETFを使うと、米国側で利息に対して課税されたのち、日本でも課税されるという二重課税の問題があります。外国税額控除で一部は取り返せますが、完全ではない上に確定申告が必要という問題があります。

 

まとめると下記の図のようになります。定期預金の厳しさが分かります。

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では、時価変動による差損、為替差損はどうなるでしょう?

 

米国債の場合、同じくすべて約20%の申告分離課税で、株式などと損益通算も可能ですし、損失の繰越も3年間可能です。

 

定期預金の場合、時価変動はありませんが、為替差損については恐怖の雑所得です。雑所得内でしか損益通算ができず、損失繰越もできず、さらに給与収入と合算して累進課税となります。これは最悪ですね。

 

FXの場合、20%の申告分離課税で、FXや先物などのデリバティブの箱の中での損益通算、損失繰越となります。利息とも合算できます。

 

債券ETFは株式扱いなので、為替差損についても約20%の申告分離課税で、株式と損益通算、損失繰越が可能です。まとめると下記の図になります。こちらは定期預金は最悪です。

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こう見てみると、元本保証を狙うならやはり米国債は優秀。ただし、長期に保持せず途中売却の可能性が高いなら定期のほうが安心感はあります。

 

FXを使うか債券ETFを使うかは、税金的にはどの箱と合算したいかになるでしょう。長期の株式投資をしているなら、株の損失を確定させて債券ETFの利益と合算してしまうのが1つの手です。CFDやオプション、FXなどでリスクを取っているなら、損失が出たときにドルFXの利益を当ててしまうこともできます。どちらにせよ、ドル定期は最悪です*1

 

そんなわけで、米国債券への投資方法を比較してみました。購入自体は一番定期預金が簡単ですが、税制面では不利。意外と米国債もイケてます。またFXも利息元本ともに変動は大きいですが、税制面ではそこそこ分かりやすいですね。

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*1:一応、累進課税なので給与所得や他の雑所得がものすごく小さい場合は、ドル定期がお得になる可能性もあります。