前回、自分にもしものことがあったときに備えて、財産目録を作っておくという記事を載せました。このとき、さらなる課題として挙げたのが、Googleアカウントです。今回はそれをGoogleの「アカウント無効化ツール」を使って解決してみます。
アカウント無効化ツール
Googleアカウントを開き、「データとカスタマイズ」メニューを選ぶと、「アカウントのプランを作成」という項目があります。これは、自分にもしものことがあったときに、Googleアカウントをどう処置するかを予め設定しておく機能です。
これを開くと「アカウント無効化管理ツール」が表示されます。ここで設定できるのは下記の3点です。
- どれくらい利用がなかったら処置を始めるか
- 処置が開始されたら、誰に通知するか、また誰にどんなアクセス権限を渡すか
- またはそのアカウントを削除するか
多くのWebサービスでは、紙を送付する代わりにメールで通知を送ってくるので、遺された家族はメールを見れば、どんなサービスを使っていたのかを把握できます。また登録したメールアドレスを使ってパスワードをリセットできるものも多い。つまり、Gmailのアカウント権限さえ渡せれば、「何を使っているのか分からない」「サービスへログインできない」という問題は、解決できる可能性が高いわけです。
そのため、「自分が一定期間使っていなかったら」、アカウントの権限を「家族に渡す」設定をしておくのが、今回の狙いになります。
期間の設定
最初にどれくらい利用がなかったら処置を始めるかの期間を設定します。選べるのは、3カ月から18カ月までの4パターン。つまり、3カ月間利用がなかったら、処置を開始するよ、ということです。
海外旅行などでアカウントにアクセスすることがなく時間が空いてしまって、勝手に処置が始まってしまうのをコワイと思うこともあるかもしれませんが、実際にはスマホのアプリ利用などもチェックして判断しているので、メインで使っているGoogleアカウントが「利用されていない」と判断されるリスクは極めて小さいと思います。
ユーザーが引き続き Google アカウントを利用しているかどうかを把握するために、いくつかの情報を確認しています。たとえば、前回のログイン、[マイ アクティビティ] の最近のアクティビティ、Gmail の利用状況(スマートフォンの Gmail アプリなど)、Android のチェックインなどを調べています。
さらに、指定した期限の1カ月前には連絡が来ます。つまり、「3カ月」と設定していても、「2カ月」で「アクティビティがありませんよ?」と連絡が来るわけです。
この通知は、登録した携帯電話へSMSで、また別のメールアドレスにも送られます。そして、処理を行う前には、複数回通知が来るので、実際に死んでしまっていない限り、勝手にアカウントが移行されたり削除される事態はまずないでしょう。
権限を渡す相手を設定する
処置として、権限を渡す相手を10人まで指定できます。まずメールアドレスを入力し、
続いてどのサービスの権限を共有するのかを設定します。
さらに権限を渡すときに、個人的なメッセージも追加できます。つまり「このメールを読んでいるということは、私がすでに死んでいるということだと思う。云々」といったメッセージを送れるわけですね。
またもちろん、誰にもアカウント権限を渡さずに、アカウント自体を削除することもできます。自分の極めて個人的なデータが、(アクセスはできないにしても)Googleに残り続けるのはあまり気持ちがいいものではありませんね。引き継がない場合は、このようにして削除してしまうのもありです。
Google以外のサービス
こうした「デジタル終活」のサービスは、今後ますます需要が増していくでしょう。Google以外はどうでしょうか。
Facebookは、「追悼アカウント管理人」を指定でき、その後アカウントの管理を任せるか、完全に削除するかのいずれかを選べます。
Twitterは、「クエストの受領後、故人の情報、リクエストを送信された方の身分証明書のコピー、故人の死亡証明書のコピーなどの詳細を提供していただくための手順を記載したメールをお送りします。」としています。
病気で衰弱しながらの死であれば、いろいろと自分でやれることもありますが、事故に遭ってしまった場合などは、もはや自分ではどうしようもなくなります。遺された家族や友人のことを考えると、こうしたデジタル終活、デジタル相続の用意をしておいて、損はないですね。