FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

青色申告特別控除の手続き 完全FIREへの道(5)

FIREを自称していましたが、実際にはFinancial Independent(FI)の実現とセットで、自分の好きな仕事だけをやるというスタンスで、サラリーマンは続けていました。ただ、今回サラリーマンのほうも退職し、完全FIRE(?)することにしました。

 

そこで、転職や定年退職ではなく、投資家が退職したときに悩むだろうあれこれを、自分の調査や判断と合わせてまとめておきます。

青色申告特別控除とは何か

前回、次の4つの箱に収益を分散させることで、各箱の控除を有効活用するという税金対策のグランドデザインについて書きました

  1. マイクロ法人からの給与(給与所得控除、社会保険支払い)
  2. 副業などの事業所得(青色申告特別控除)
  3. 雑所得
  4. 申告分離(株式や配当など)

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それぞれの戦略は個別に書いていきますが、今回は事業所得の青色申告特別控除についてです。この控除を使えれば、事業所得から年間65万円を引いて税金を計算できます。65万円以内なら無税だということです。

 

では青色申告特別控除を受けるにはどうしたらいいでしょうか。条件は、確定申告を青色申告で行うことです。というわけで、そもそも確定申告の種類をまとめておきます。

 

個人も法人も確定申告を行うわけですが、実は確定申告にはざっくり3種類があります。青色申告が2種類、白色申告が1種類です。通常個人の確定申告は白色で、これは帳簿がなんにもなくてもOKというざっくりとしたものである代わりに、何も控除がありません。

 

対して「青色申告承認申請書」と「開業届」を出し、帳簿付けなどいくつかの要件を満たすと青色申告となり、65万円または10万円の控除を受けられるようになります。要するに、帳簿を付けると脱税しにくくなる(発見しやすくなる)ので、ちゃんと付けてくれるなら手間賃の意味も含めて税金おまけしてやるよ〜という制度です。

副業300万円問題の解消

とはいえ、これまで副業で青色申告を行うハードルは高いものがありました。というのも、事業所得は給与所得と相殺できるため、わざと赤字の副業を事業所得として申告し、給与の課税所得を減らすという仕組みが流行っていたからです。

 

国税庁は2022年の8月に「副業収入300万円以下の場合は事業所得ではなく雑所得とする」という通達の改正案を出していました。ところがこれに猛反発があり、結果10月7日に国税庁から発表された改正通達(所得税基本通達35-2)では、「収入金額の足切りは行わず、事業所得者に義務付けられた記帳・帳簿書類の保存を行っているかどうかで事業所得か雑所得かを判定」することになりました。

 

media.rakuten-sec.net

 

つまり、2022年分から「きちんと帳簿付けを行い、取引に関する書類と合わせて適切に保存していれば、大抵は事業所得に該当する」となったわけです。

ただし、注意書きに注意です。

  • 副業収入の額が僅少の場合

は、副業収入がここ3年の間300万円以下で、かつ主たる収入(給与収入)に対する割合が10%未満の場合ということです。つまり、給与が500万円なら、副業50万円以上で、この項目はクリアとなります。ぼくのスキームの場合は、給与収入がそもそも小さいので、余裕でクリアです。

 

もう一つは、

  • その所得を得る活動に営利性が認められない場合

で、これは副業の所得が例年赤字で、かつ赤字を解消するために営業活動などで収入を増やすなどの努力をしていない場合が該当するとされています。先に挙げたサラリーマンの税金を減らすためのテクニック封じです。こちらも、ぼくのスキームでは黒字になる見込みなので、問題なしといったところです。

複式簿記での記帳が必要

もう一つ実務上の青色申告の条件は、帳簿付けです。65万控除の場合は、損益計算書だけでなく、貸借対照表も作成が必要で、複式簿記が必要になります。さらに、e-TAXによる電子申告または電子帳簿保存が必要です。これができないと10万円減って55万円の控除になります。

 

というわけで、これを実現するには何らか会計ソフトを使うのが必須です。つまり、弥生、freee、マネーフォワードのいずれかを検討して導入することになります。これらの比較はまた今度。

開業届と青色申告承認申請書を出す

では実際に手続きです。手続きには開業届と青色申告承認申請書を出す必要があります。

開業年度から青色申告を希望する場合は、開業から2か月以内、それ以外のタイミングでは、青色申告を行いたい年の3月15日までに提出しましょう。

開業したら税務署へ!開業届と青色申告承認申請書を簡単作成して提出する | 経営者から担当者にまで役立つバックオフィス基礎知識 | クラウド会計ソフト freee

とありますが、正確には

開業日と開業届提出日の間が1カ月以上開いていても、税務署は受け付けてくれます。しかし、2カ月以上空いてしまうと、青色申告できなくなり、確定申告に影響が出ます。

開業届の開業日はどう決める?過去の日付・変更は可能? | マネーフォワード クラウド会社設立

というわけで、できるだけ急いで開業届と青色申告承認申請書を出す必要があります。今は6月なので、2カ月前に遡っても4月。AdSenseなどの区切りを考えると、5月1日付けの開業とするのが計算がやりやすそうです。

さて、開業届と青色申告申請書ですが、こちらは「freee開業」を使うと簡単に出せそうです。次回、「開業届と青色申告申請書を出してみた」ではこちらを使ってみようと思います。

 

→やってみました:「freee開業」を使って開業届と青色申告申請書を出してみた 完全FIREへの道(8)

 

www.kuzyofire.com 

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