FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

優待クロスには資金がいくら必要か? 年間利回りも計算

ローリスク投資としての優待クロスは有名ですが、実際のところどのくらいのリターンが出るのでしょうか。またどのくらいの資金が必要なのでしょうか。過去の実績を元に計算してみました。

優待クロスは固い資産運用?

先日、読者の方から優待クロスについての質問をいただきました。質問全体についてはバケツ戦略の中期バケツについてのものです。

②優待クロスについて

「優待クロスは月あたり0.5~1%くらいのリターンが出る」「基本現金保有ながら、年5%くらいのリターンにはなる」とのXツイートを拝見しました。
もしかして、上記現金のいくらかを優待クロスに充てれば、リターンの確保と安全の確保、いずれも達成できる(疑似中期バケツにできる)のでは、と考えたのですが、いかが思われますでしょうか。また、仮にそうする場合、最大5年分の生活費ですので1,000~2,000万円を優待クロスに充てることになりますが、優待クロスの資金としては妥当な水準でしょうか。

これは、ぼくが優待クロスについて次のようなポストをしたことに対するもの。

ただ、「年5%」というのはざっくりな感覚のため、一回ちゃんと計算したほうがいいかなと思い、今回集計してみました。

優待クロスに必要な金額

まずは優待クロスに必要な金額から。当然ですが、毎月優待クロスの銘柄は異なり、銘柄ごとに必要資金も利回りも異なります。高利回りの銘柄から取っていくのは当然として、低利回りのものまで手を出せば資金はいくらでも必要になります。

 

そこでまず単純利回りが0.5%以上の銘柄をクロスすることを想定してみます。単純利回りというのは、

単純利回り = 優待価値 / 現物取得必要資金

です。100株で1000円のQUOカードがもらえる銘柄が、株価2000円なら、優待価値は950円、現物取得必要資金は20万円なので、単純利回りは0.475%ということになります。

 

実際にはクロスには現物購入と同時に空売りが必要で、空売りのための証拠金も必要になるのですが、そのほかの投資も行っている人ならそれを代用有価証券として使うことで証拠金代わりにできます。代用有価証券を使わない場合、3割分の証拠金が追加で必要になることはちょっとした注意です。

 

さて、単純利回り0.5%以上の銘柄をクロスした場合、毎月何銘柄あって資金がいくら必要か? それをまとめたのが下記のグラフです。なお、これは九条の実績に基づいていて、1-3月については2024年、4-12月については2023年のデータを使っています。つまり、利回りが高くても一般でなかなかクロスが難しかったり、制度で高額な逆日歩リスクがあるものは入っていないということです。

けっこう面白いデータになりました。単純利回り0.5%を超える銘柄をクロスしようとすると、銘柄数、金額ともに最も大きくなるのは3月でした。銘柄数は55、必要資金は1190万円ほどになります。

 

逆に、1月、4月、5月、7月、10月、11月はたいした銘柄がありません。取れても1〜2銘柄。資金も100万円いらないくらいです。このように、優待クロスは月によって必要資金が大きく変動するのが特徴です。これを考えると、常に現金を持っておくというよりも、クロスで必要になったときだけ資金を借り入れるほうが合理的だともいえるかもしれません。

優待クロスでいくら得られる?

続いて月ごとに得られる優待価値を集計してみました。利回り0.5%以上に絞っているので、ほぼ必要資金に比例して優待クロスで得られる優待価値も積み上がることが分かります。このパターンだと、年間で約38万円の優待価値を得ることができます。

次に単純利回りも月ごとに集計してみました。0.5%以上の銘柄を集めているので、各月とも0.5%よりも利回りは上のはずです。これは銘柄が少ないと、特定銘柄に引っ張られることがよく分かります。銘柄数の多い月を見ると、例えば3月は1.09%、9月は1.05%、12月は0.71%となっていて、クロスの繁忙期は平均して1%くらいのリターンが狙えることが分かります。

資金530万円と置いてみる

では実のところ優待クロスにはどのくらいの資金が必要でしょう。グラフを見て分かるように、530万円あれば12月の利回り0.5%以上の銘柄をすべて獲得できます。530万円で資金が足りないのは、3月、6月、9月だけ。肌感的には530万円あれば、十分にクロスで潤沢なリターンが出せそうです。

 

そこで資金530万円で、どれだけクロスできるかを調べてみました。今回は利回りで足切りはせず、利回りが高い順に530万円でクロスできるだけクロスする形です。また先の調査と違うのは、15日銘柄や20日銘柄も盛り込んでいること。実はクロスのタイミングは各月末の年12回ではなく、15日銘柄や20日銘柄があるので、資金を活用する回数はもっと多いのです。

銘柄数が多い2月は、資金があれば意外と利益を積み上げられることが分かります。本当に厳しくて資金が余ってしまうのは、1月、4月、5月、7月、10月、11月。つまり年の半分は資金があまり、残り半分はだいたい1%くらいのリターンを上げられる感じ。ならすと月0.5%単純利回りという感じでしょうか。

 

合計すると、資金530万円に対して優待価値の年間合計は35万9410円になりました。利回りに直すと6.78%。ここに信用金利やら逆日歩やらがコストとして乗ってくるわけですが、過去1年の僕の実績を見る限りだと、そのコストはほぼ誤差な感じではあります。

 

いずれにせよ、資金530万円に対して年間利回りは6.78%。ここからコストを差し引いても、冒頭で書いた「年5%くらいのリターン」というのはだいたい合っていたことが分かりました。株式投資の期待リターンは6-7%程度だと言われていますから、安定して6%程度のリターンが出る優待クロスは一つの投資法でしょう。ただし、投下資金が増えるにつれてリターンが減少することには注意が必要です。

Appendix 過去の優待クロス成績