九条です。FIRE後の自由な生活をベースに、投資・税制・制度・クリプト・法人運営を考えるブログです。 利回りや還元率の表面ではなく、税引き後の手取り、制度の前提、リスクと不確実性を見ながら、自由を増やす方法を書いています。

Fable 5がすごいのは性能じゃない AIバーゲンセール終了のお知らせ

AnthropicがMythos Previewの一般公開版となる「Fable 5」を公開し、界隈は盛り上がりました。性能はすべての点でOpenAIのGPTシリーズを上回り、いろいろな意味で、フロンティアAIモデルのトップが入れ替わりました。

 

今回は、このFableの性能というよりも、それが世間に与えたインパクト、これからの行く末について考えてみたいと思います。

トップAIモデル、Fable 5

Fable 5は、「あまりのサイバーセキュリティ性能のために、一般公開を控える」とされたMythos Previewの一般公開版です。同時にMythos 5 も一部企業に限定公開されており、この2つが現時点でのトップフロンティアAIモデルだといえます。

www.anthropic.com

特徴は、Mythosを安全側にチューニングするのではなく、危険なプロンプトを発見したら前世代モデルであるOpus 4.8に切り替えるという仕組みです。その昔、危険なプロンプトを入力すると、LLM自体が反応を拒否するのではなく、その前の段階で弾かれ「ポリシーに違反しています」などとエラー表示で止まるということがよくありましたが、ここにきて、同様の仕組みが取られたということです。

When Fable’s classifiers detect a request related to cybersecurity, biology and chemistry, or distillation, the response is automatically handled by Claude Opus 4.8 instead. Users will be informed whenever this occurs. Opus 4.8 is a highly capable model in its own right: a response that falls back to Opus is a far better experience than an outright refusal from Fable. Our early data shows that more than 95% of Fable sessions involve no fallback at all—for those sessions, Fable 5’s performance is effectively the same as that of Mythos 5.


Fableの分類エンジンが、サイバーセキュリティ、生物学、化学、または蒸留に関連するリクエストを検出した場合、その応答はClaude Opus 4.8によって自動的に処理されます。このような場合は、ユーザーにも通知が行われます。Opus 4.8 自体も非常に優れたモデルです。Fableが応答できない場合でも、Opus 4.8が応答する方が、Fableが拒否するよりもはるかに良い結果となります。初期のデータによると、Fableを使用したセッションの95%以上では、Opus 4.8が使われることはありません。そのようなセッションでは、Fable 5の性能はMythos 5とほぼ同じです。

また、価格面も厳しくなります。これまでClaudeはサブスク内でどのモデルでも使えていましたが、Fable 5が使えるのは6月22日まで。そのあとはAPI料金同等の従量課金となります。

 

費用は、入力10ドル/Mトークン、出力50ドル/Mトークン。これはGPT-5.5の入力5ドル、出力30ドルの約2倍ですが、GPT-5.5 Proの入力30ドル、出力180ドルに比べれば3分の1です。

 

Anthropicは、「十分な処理能力が確保できるようになったらFable 5をサブスクとして復活させることを目指している」としていますが、競合が肉薄しなければ、戻ってくることはないような気もします。

性能は優秀

さて、Fable 5の性能については基本的に絶賛です。SNSでも「怪物」「狂気的」といった評価が頻出。僕が1日試した限りでも、Opus4.8より明確に上で、GTP-5.5より「こいつ、頭いいな」と思う返答が返ってきます。正直、GPT-5.5 Proよりいいところも多い。その上、GPT-5.5 Proより圧倒的に高速です。GPT-5.5でいうとThinkingモデルくらいの速さで常用できる感じ。

 

特に、自律的に長時間作業させたときが秀逸で、これまではステップごとに出力させて、ぼくのほうでレビューして修正指示を出してというのを繰り返さないと、最終品質が安定しなかったのが、Fable 5は、一連の流れを一気に行うように指示しても、最終出力のクオリティがかなりいい。これは驚きました。プロンプト(とスキル)さえしっかり用意できていれば、ポン出しで使えるレベルに来た感じです。

 

Opus4.6以降、4.7、4.8は、「あれ? これほんとに頭良くなったの? 4.6のほうが良かったのでは???」と思うことが多かったので(4.6自体はナーフされた)、Fable 5は久しぶりに「新モデルすげー」と思うものでした。

ただサブスクで利用できるとはいえ、使用量消費はOpus4.8の2倍。ぼくはMAXプランですが、けっこうな勢いでゴリゴリ消費されていきます。

一部企業が独占するモデル

一方で、SNSやコミュニティの不満は、特定用途の場合にOpus4.6にフォールバック(転送)されることに集中しています。サイバーセキュリティだけでなく、生物学的な内容や、また中国勢による蒸留を意識したLLM開発的な内容も全部フォールバックされるので、内容によってはすぐ動かなくなると悲鳴が上がっています。

 

Mythosを利用できる一部企業は、リミッターのかかっていないモデルを利用できるわけで、AIモデルはすでに、一般利用者と一部の限定組織内だけの利用と、すでに差をつけられてしまった感じです。これは場合によるとずっと続き、本当の最先端モデルにアクセスできる人は限定されるという世界への分岐点となるのが、このFable/Mythosモデルとなるのかもしれません。

 

もう一つ、コストも課題です。長時間の自律駆動が可能になるというのは、逆にいうと1つの指示でずっと動き続け、その間ずっとトークンを消費し続けるということでもあります。これまでのLLMは無料でも先端に近いモデルが使えていましたが、今年に入ってからのClaudeは20ドルのProプランではすぐにリミットに達してしまい使い物にならず、Fable 5からはサブスクの最高峰200ドルのMAXプランでさえ、利用ができなくなります。API利用料金はサブスクに比べると超高額です。これまでAIラボの赤字のもとにバーゲンセールで利用できていたAIモデルが、今後は払うお金の量でアクセスできるモデルに差がつく世界に突入することになります。

 

ここで考えなくてはならないのは、すでに普通の用途では、SonnetとOpusとFableの違いは分からないレベルになってきているということです。例えば、プランニングだとまだまだモデルの差は大きいのですが、実際のコーディングにおいてはほとんどモデルごとの差がなくなってきていて、SonnetどころかHaikuでもOKという人もかなりいる。

 

いまやモデルの性能はサチュレートしてきていて、上位モデルを使うことで差別化を生み出せるタスクかどうかが問われるようになってきています。これまではコストが人為的に抑えられていたので、どんなタスクでも最上位モデルを使っていたわけですが、この夏からは、「そのタスクは、本当に高いコストをかけて上位モデルを使う必要があるのか?」を考えなくてはならない時期に入ったということです。

 

とはいえ、6月はFableをサブスク内で使い倒せるラストチャンス。いろいろと試していきたいと思います。