FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

取引コストで損する人、儲ける人 米バンガードが直販検討

2倍3倍ではなく、年利10%を目指してコツコツ投資をしようというのがぼくの投資スタンスです。今回は、そのためにやってはいけないことをまとめてみます。

 

まず重要なのが、証券会社や銀行からの売り込みです。投資商品の売り込みを受けたら基本は疑ってかかる。それが重要なスタンスです。なぜでしょうか? それは相手の立場を考えてみればわかります。

 

投資商品を「売る」ビジネスをしている人の収益は基本的に販売手数料です。FXなどでの売り買い価格の違い、いわゆるスプレッドもこれに当たります。投資商品の多くは、投資金額の何%という手数料率になっているのが普通です。ネット証券のようなところでも、投資金額が増えると手数料も増加する体系になっています。ですので、投資のセールスは、できるだけ多くの金額を、頻繁に売り買いさせることを目標にしていると考えて間違いありません。

 

投資家としては、販売手数料が少ないところから買う、販売手数料を収益源としていないところから買うということを心がけなければなりません。

 

ちょうど本日、インデックスファンドを業界に根付かせたといわれる米バンガードが、日本でも直販を検討していると報道がありました。

www.bloomberg.co.jp

 

投資信託では、手数料無料のノーロードと呼ばれる商品が増えてきましたが、販売手数料は運営会社に支払う信託報酬から内部的に支払われています。それでも、ピュアな手数料に比べると良心的だと思います。

 

投資信託の運営会社が直販すれば、この販売手数料を削減できます。バンガード自体は信託報酬から利益を得る構図なので、販売手数料は本当に事務代金で済み、そこに利益を乗せる必要がないからです。

バンガードでアジア地域のポートフォリオ・レビュー責任者を務めるヤン・プー氏(香港在勤)は、手数料を支払って投信を販売してもらうビジネスモデルはアジア地域でなお主流だが、結果的に投資家のコストに跳ね返ると説明した。キム社長も「バンガードは低コストの考え方の普及を後押しすることができる」と語った。

 

ぼくはバンガードのこの発言は信じられると思っています。下記の2冊は、バンガードの創始者であるジョン・ボーグルの著書でです。『インデックス・ファンドの時代』は、いかに投資にとって手数料コストが重要で、結果的にインデックスファンドのほうがリターンを最大化できるということを説いた、インデックス投資家のバイブルの1つです。

インデックス・ファンドの時代―アメリカにおける資産運用の新潮流

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『波瀾の時代の幸福論』は、同じくジョン・ボーグルの自伝的エッセイで、バンガードがいかに低コストを重視し、投資家の利益を「減らさない」ようにがんばってきたかが記されています。 

波瀾の時代の幸福論 マネー、ビジネス、人生の「足る」を知る

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一方で、販売手数料を削減するのではなく、販売手数料を増やすために人員を増強するという残念なニュースも出ていました。

 

ゆうちょ銀は、現在約1万8000人いる従業員を約1200人削減する。具体的には2000人減らす一方、営業力の強化へ向けて、投資信託の販売担当者などを800人程度増やす。

www.yomiuri.co.jp

 

投資信託やETFは、「複雑なものを買わない」「手数料が安いものを買う」のが鉄則です。投資信託の販売担当者を増やすことで狙うのは、「複雑な仕組みの投資信託を売る」「手数料が高いものを売る」ためなのは間違いないでしょう。複雑で手数料が高い投資信託は、歴史的に、単純なインデックスファンドに負け続けてきたというのは事実なのですから。

 

そんなわけで、証券会社や銀行からセールスを受ける商品は、手数料目当てだと考えるほうがいいです。証券会社や銀行の収益源がここなのだから、仕方ありません。販売する相手からすると、投資家が儲けても損しても関係ないという、この業界の構図がここにあります。