異業者FXアービトラージは、為替変動リスクをなくしながら年率で数パーセントの利回りを得るという、個人投資家ならではの手法です。あるFX業者のマイナススワップより、別のFX業者のプラススワップが大きいというところに着目し、差分を利益とします。
先日からの米国の値上げにともない米ドルのスワップポイントが上昇しており、一方でいくつかの業者ではスワップポイントが上がっていないため、アービトラージのいいタイミングとなってきました。
米ドルでレバレッジ8倍なら年利4.7%
DMM FXでは、米ドルのスワップポイントが4月から買い34円(売りは同額のマイナス)で推移しています。一方で、岡三オンライン証券のくりっく365では4月は買い50円〜70円代、5月は70円前後で推移しています(売りは同額のマイナス)。
ということは、DMM FXでドルを売り、岡三オンラインで同額ドルを買えば、1万ドルあたり毎日25円程度の差額が利益として得られる計算になります。この利益が利回り何パーセントにあたるかは、レバレッジによって異なります。簡単に計算してみました。
※ロスカット記載が誤っておりました。修正しました。2018/05/21
レバレッジをかけるほど年利回りが上昇します。一方で、ロスカットの可能性が上がります。必要証拠金の50%を割るとロスカットとなります。そこから、米ドルがどのくらい値動きしたらロスカットされるのかの水準を「ロスカット値幅」として計算してみました。
ロスカット値幅に注意
ではドル円はどのくらいの変動が起こるのでしょうか? 「海外投資データバンク」からグラフを引用してみます。
こちらを見ると、最大で1日7円もの値動きがある日があることがわかります。3円以上の値動きがある日も1%程度あるので、3円でロスカットされるようなレバレッジはたいへん危険です。7円の変動にも耐えられるということだと、レバレッジ8倍あたりが限界でしょうか。
こまめな資金管理(資金移動)が重要
ここで1日あたりの変動幅を見ているのは、レートが大きく変動したら、対になるポジション間で資金を移動して証拠金維持率を一定に保つ作業を行うからです。逆に、このチェックや資金移動が手間な場合は、さらにレバレッジを下げて安全性を高める必要があります。
また、資金移動と簡単に言っても、出金依頼がすぐに反映されるわけではないことには注意が必要です。そのため、一時的に証拠金維持のために投入できる余裕資金も必要だということは覚えておくべきです。
スプレッドコストにより最初の9日は赤字
なお、1万ドルの取引には、それぞれスプレッドと呼ばれる売り買いの価格差が手数料的に取られます。DMM FXでは0.3銭なので1万通貨だと30円、くりっく365では3銭なので300円になります。上記の表ではこのスプレッドを計算に入れています。
またこのスプレッドがあるため、初期は積み上がるスワップポイントよりもスプレッドのコストが大きく赤字になります。どのくらいから黒字化するのかを、グラフ化してみました。
だいたい9日めあたりで黒字化し、そこから利益が積み上がるのがわかります。スワップポイントは日々変動しますが、9日間差額が出ていれば少なくとも赤字にはならないという計算です。
ほぼ普通預金のようなもので利回り4%超
まとめると、1日に7円程度の為替変動に耐えるにはレバレッジ8倍程度(証拠金維持率300%)が限界です。そのときの年利回りは4.7%程度になります。そして為替が動いたときは、売り買いのそれぞれの口座で片方は証拠金維持率が減少、もう一方では証拠金維持率が増加となっているはずなので、増えた方から減った方へと資金を移動します。
毎日利息のようにスワップポイントの差額が付与され、解約したいと思ったら、両方のポジションを同時に決済します。出金のタイムラグも数日です。
4.7%を小さいと思うか大きいと思うかは人それぞれでしょうが、セミリタイアのための資産運用では税支払後に4%あれば、シミュレーション上十分なリターンだと考えられます。
現在現金ポジションが小さい状態にありますが、近いうちに株などの一部を売却して現金化する予定です。その現金は基本的にFXアービトラージにまわして利益を獲得したいと思います。
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