FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

太陽光FITの終焉 19年度は高圧も入札か?

国が発電した電力の買取価格を20年に渡って保証するFIT制度は、太陽光発電を投資として見立てられる仕組みの根幹です。買取価格は毎年下がり、2018年度は18円/kwhまで小さくなりましたが、ソーラーパネル自体の価格下落もあり、IRRは一定のパーセントを維持していました。

kuzyo.hatenablog.com

 

ところが、このFITの財源は電気代に上乗せされて国民全体から徴収されているものです。上乗せ額は2018年度は2.4兆円(国民一人あたり2万円/年)だが、2030年度には3.1兆円に膨らむ見通しとなっています。そのため、FIT価格の低下だけでなく、ついに50kW発電所でも2019年度からは入札となる可能性が報じられました。

r.nikkei.com

 

太陽光発電所には、大きく3つの種類に分かれます。発電量50kW未満の「低圧」、50kW以上の「高圧」、そして入札制度でFIT価格が決まる2MW超です。高圧は、建設効率が良いなどのメリットがありますが、キュービクルが必要だったり電気主任技術者の専任が必要だったりします。

 

個人投資家の場合は、ほとんどの場合が50kW未満の「低圧」でしょう。しかも、太陽光パネル出力は合計100kW程度まで増やし、パワコン出力を50kW未満に抑える、いわゆる「過積載」にすることが多いと思います。ぼくが検討している案件も、基本過積載です*1

 

低圧、高圧はそれぞれFIT価格は同じで、2018年度は18円/kWです。一方で、2MW超の発電所は2017年度から入札方式に切り替わりました。これは、あらかじめ総容量を決めておき、各発電所が買取価格を入札、価格が安い順に決まっていき、募集容量を超えた発電所は買い取りされないというものです。入札を行うことで、買い取り価格を下げるのが狙いになります。

 

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記事によると、19年度にも、入札を50kW以上に広げる、つまり高圧を対象とすることを検討するとしています。低圧はまだ一律の固定買い取りが続くようですが、価格がさらに下がることは間違いないでしょう。2025年度には7円/kWhまで下げる方針だからです。

 

太陽光発電が確実に儲かる理由は、FIT財源の2.4兆円を、投資家を含む太陽光発電関連業者で分け合うからです。しかもそれに国の20年保証がついています。入札が始まると、20年間の固定価格保証は続きますが、募集容量内に入るようできる限り価格を下げて入札することになります。自然とリターンは減少するでしょう。

 

太陽光発電投資に参入する賞味期限は、刻々と迫っていると思われます。

*1:例えば、300Wパネルを324枚でモジュール発電量は97.2kWだが、パワコンは5.5kWを9台として49.5kWに抑えています。49.5kWを超える発電をしてもその分は無駄になってしまいますが、パネル枚数が多くなるので、冬や朝晩などの発電量が増えるというメリットがあります。パネル価格が下がったことで可能になったテクニックですね。しかし、本来は最大100kW発電できるのに、制度上の問題で50kW以上をカットするというのもおかしな話ですが。