FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

債券バブルとはどういう意味か

昨今「債券バブル」という言葉をよく聞きます。要は債券価格が想定以上に上がっているということなのですが、これはなぜで、どういう背景があるのでしょうか?

 上昇続ける債券価格

下記は、米国債の7〜10年ものを組み込んだETFのIEFの価格推移です。2007年から12年ほどかけて約30%も上昇しています。 

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日本国債はどうかというと、やはり大きく上昇しています。下記は国債先物の価格推移ですが、2004年から10%ほどの上昇です。

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 債券価格はなぜ上昇するのか?

 債券価格がなぜ上がるのかというと、それは金利が下落しているからです。債券価格とはイコール金利のことで、この2つは一体のものです。

 

例えば、100ドルで5%の利回りの債券があったとします。ここで金利が5%から2%に下がりました。すると、5%の利息を毎年もらえるわけですから、この債券はお宝になります。つまり、金利の2%に近くなるよう、債券の取引価格が上昇するわけです。

 

このとき、債券の残存期間が価格に影響してきます。5%の利息が払われる期間が長ければ、お宝期間が長いので価値が高くなり、価格がさらに上ります。もし残存期間が1ヶ月程度なら、得られる利息は残り少ないので価格上昇はわずかになります。

 

この残存期間をデュレーションといい、2年とか7年とかの年数で表します。そして、金利が1%動いたときに、債券価格がどのくらい変動するのかはデュレーションで決まります。デュレーションが7年なら、金利が1%下がると価格が7%上がるという、ざっくりとした計算になります。

世界の金利は下がり続けている 

 日本では低金利が定常化していることは常識ですが、長期的に見ると先進国ではいずれも低金利が続いています。というより、継続的に金利が低下している状況です。

 

下記は、米国債10年ものの金利推移です。1980年台には12%を超えることもあった金利ですが、40年かけてどんどん下がっているのが分かります。2010年以降は2.5%前後で横ばいですが、歴史的な低金利だといえます。

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 つまり、国債は30年かけて価格をどんどん上げてきたということです。これが債券バブルの正体です。

債券バブルの警告

こんな状況に対して、元FRBのグリーンスパンは警鐘を鳴らしています。

「いかなる観点から見ても実質長期金利はあまりにも低すぎ、したがって持続不可能だ。(金利が)上昇を始めると、それなりに速く動く。私たちが経験しつつあるバブルは株価ではなく債券価格の方だ。市場はこの分を割り引いていない。」

グリーンスパン:バブルなのは債券だ – The Financial Pointer®

FRBの基本スタンスは、経済が加熱してきてインフレが加速するようなら、金利を引き上げて熱を冷ますというものです。しかし、利上げには企業の借り入れを抑制するということだけでなく、割引率の上昇をもたらすことで、将来キャッシュフローの現在価値低下も引き起こします。つまり、企業価値の下落、そして株価の下落です。

 

そして、利上げは債券価格も下落させます。株式よりもこの債券バブルの崩壊が、経済にとって大きな影響をもたらします。

量的緩和とは通貨の価値下落

各国の中央銀行は、利下げだけでなく、量的緩和(QE)を行っています。これは資金供給量を増やすことで景気を刺激するという策です。つまり、通貨の価値を実質的に下げていくという手法です。

 

通常ならばこうした策はインフレを呼び込みます。でも現在は不思議なことにインフレが加速せず、いくら供給量を増やしてもインフレになりません。MMT理論が「インフレさえコントロールできれば、基軸通貨発行国はいくらでもお金を刷って使える」と言うゆえんです。

 

量的緩和は、インフレだけでなく、資産バブルも引き起こします。それはそうですね。通貨の量が増えているので価値が下がり、それはつまり資産の通貨あたりの価値が増えていることを意味するからです。

 

ピーター・シフはこの状況を「全部バブル」と呼んでいます。

「心配はテック・バブルから始まった。
そして、住宅バブルが起こり、今では『全部バブル』だ。
『全部バブル』と呼ぶべきだ。住宅がバブル、株がバブル、債券がバブル、学生ローン、自動車ローン、クレジット・カード……」 

ピーター・シフ:テック・バブルから全部バブルへ – The Financial Pointer®

バブルが弾けたときに価値を見出すのはゴールドとデジタルゴールド

こうしたバブルは永遠には続きません。いつかは弾けるからこそ、バブルと表現されるわけです。では、バブルが弾けたときに何に価値を見出すのか。

 

それはやはりゴールドですね。そして、デジタルゴールドであるBitcoinにも可能性があると考えられます。

 

The cryptocurrency's volatility has largely barred it from becoming a useful payment method.Instead, bitcoin has been billed as a store of value, or “digital gold.” That safe-haven use-case seemed unlikely in 2018 after it ended the year down more than 73 percent.

暗号通貨のボラティリティは、それが有用な支払い方法になるのを妨げてきました。代わりに、bitcoinは価値の蓄積、または「デジタルゴールド」として使われています。その安全なユースケースは、2018年に73%以上価格が下落した後にはありそうもなかったものです。

 Bitcoin emerges as a global hedge while stocks tumble in US-China trade war