10月いっぱいで、楽天証券の大口優遇が切れます。そこで、改めて5000万円分の信用建玉を建てて、大口優遇を延長しようとしました。使おうとしたのは今回もトヨタ株です。深夜に5200万円分のクロス注文を入れて布団に入り、翌朝約定をチェックすると……。
注文が自動キャンセル
なぜか朝9時になっても「約定」の通知が来ません。ん? なにがあった? と思い見てみると、注文がキャンセルになっています。そして、メールボックスを開くと、こんなメールが。
なぜ? 幸いなことに現金には現在余裕があります。5200万円の3割に当たる1560万円は超えているはずです。なぜ自動キャンセルになったのか。久しぶりにサポートに電話してみました。
朝、代用証券が値下がりしていた
からくりはこうです。注文時、保証金率はちょうど30%でした。現金+代用証券(投資信託)の合計値が30%になっていました。
そして、翌朝を迎えます。だいたい6時に投資信託のその日の価格が決まります。全日TOPIXは不調で、投資信託の価格も値下がりしていました。それが反映され、代用証券の価値が下がりました。
9時になり、信用注文が執行されるときには、ギリギリ30%を下回っていました。そこで、システムが自動的に注文をキャンセルしました。。。
話は分かります。なるほど。しかし、謎は深まります。自動スイープ設定してある楽天銀行にはまだ現金の余裕があります。そして、いざというときのために預り金にも入金しておきました。にも関わらず、なぜ保証金率不足になってしまったのでしょう?
口座間の自動スイープには起動タイミングがあった
話を聞いて分かったのは、各口座の資金移動(スイープ)タイミングにはクセがあるということです。まずは下記の図を見てください。
まず3つの口座があることを把握します。「信用口座」と「預り金(口座)」、そして「楽天銀行(口座)」です。この3つの口座間を、必要に応じて資金移動してくれるのが自動振替です。
一番左の例は、信用注文時の状況です。例えば100万円の信用ポジションを建てるとしましょう。必要なのはその30%、30万円の保証金です。代用証券を使うに設定してある場合、代用信用がまず使われます。代用証券の保証価値が10万円なら、不足は20万円。これが、楽天銀行から自動的に信用口座に移動します。めでたし、めでたし。注文が行えました。
ところが、この楽天銀行からの自動的な資金移動は、注文時のみのようなのです。今回のように、代用証券が値下がりすると担保価値が下がり、結局必要な保証金が不足します。
では「預り金」に資金をおいておけばいいのか? これが真ん中の例です。確かに信用建玉の価格変動で保証金率が30%を下回ったりすると、預り金や楽天銀行から自動的に入金されます。ところが、これは動くタイミング限定です。追証期限である翌々営業日12時までに足りない場合や、15時過ぎの夕方メンテナンス時に保証金率を下回っていたら、初めて入金がなされます。
逆に、夕方メンテナンス時に、必要以上の保証金率の場合、自動的に信用口座から預り金に資金が戻ってきます。
というわけで、朝のタイミングで資金が足りなくなったとしても、この自動資金機能は動かなかったというわけです。
さらに、余った資金が楽天銀行に戻るタイミングは夜10時です。つまり、夜9時に注文して、余裕を見て預り金に資金を入れておいても(そもそも預り金に置いても無意味ですが)、10時になると戻ってしまうということになります。
ちなみに、証拠金率として何パーセントを信用口座に入金するか、何パーセントを信用口座に残すかは自分で設定できます。また、現金と株式と投資信託のどれを代用に使うかも設定できます。
どうすればよかったのか?
楽天銀行の自動スイープはかなり複雑だと聞いていましたが、これまでなんとなくだましだまし使ってきました。今回のトラブルで、やっと挙動を理解することができました。
さて、では今回はどうすれば注文キャンセルを避けることができたのでしょうか? 一つは投資信託を代用に使わないことです。明け方に担保価値が変わるなんて、トリッキー過ぎです。
2つ目は、投資信託の価値が書き換わった7時過ぎくらいに信用注文を入れることです。
3つ目は、手動で楽天銀行から預り金に入金し、預り金から信用口座に入金することです。下記のメニューから自由な額を信用保証金として入金できます。
いやはや。大口優遇クロスだから今回は大きなトラブルになりませんでした。これが優待クロスで、現物だけ購入され、信用だけキャンセルされたらたいへんなことになるところでした。信用取引はけっこうややこしいのと、そこにさらに銀行口座を連携させるとさらに複雑になるという例でした。普通に使う分には、たいへん便利なんですけどね。