橘玲氏は著書で、人間が持つ資産は3つあると書いています。「金融資本」「人的資本」「社会資本」です。要は、金融資本はカネがある、人的資本は働いて高給を得る能力がある、社会資本は人脈があるということです。
セミリタイアは金融資本にフォーカスするということ
人が幸福に長く生きていくには、これらの資本が重要になってくるのですが、実は3つを3つとも豊富に持つことは極めて稀です。多くの人は、どれかを犠牲にして、別のどれかを増やしています。
高給取りのサラリーマンであれば、人的資本を充実させることで生活を成り立たせています。年収1000万円でも貯蓄なしなんて人もけっこういますが、これは金融資産を増やさなくても、人的資本によって生きていくことが可能だからです。
地方の、いわゆるマイルドヤンキーと呼ばれる人たちの中には、濃い密度の友人関係の中で生活している人もいます。助け合い、必要なものをシェアすることで生活を成り立たせています。金融資産はなくても、また人的資本が小さくて高給取りでなくても、社会資本を使って生きていく。これはこれで幸せな生き方です。
一方でセミリタイアを目指すというのは、金融資産を使って、人的資本を諦めるということです。さらに金融資産の額によっては社会資本さえも諦められます。
人付き合いを面倒と思うか楽しいと思うか
人的資本を諦めた上で、さらに社会資本も諦めるかどうか。ここには人付き合いが好きか嫌いかがあるでしょう。ただし、人付き合いの中には、人的資本、つまり仕事にからんだものがたくさんあります。
行きたくもない忘年会に行ったり、上司に年賀状を書いたり。仕事を円滑に回すためだとは分かっていても、人的資本のためにかかってくる人付き合いは面倒なものが多いものです。豊富な金融資産によって人的資本を諦められれば、こうした人付き合いも止めることができるわけです。
その上で、仕事上の利害関係のない交友関係や家族関係の発展に精を出す。これがセミリタイアすることのメリットの一つではないでしょうか。