FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。投資歴20年以上。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

リップル(XRP)暴落 証券認定とはなにか

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米証券取引委員会(SEC)が暗号資産のリップル(XRPトークン)を「証券である」として、証券法違反で提訴しました。結果、XRPの価格は暴落。米国のいくつかの取引所では上場を廃止するところも出てきました。

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さて、なぜ証券であるか否かがそれほど重要なのでしょうか?

金融商品ごとに所轄官庁の異なる米国

日本では金融商品の規制当局はだいたい「金融庁」ですが、米国では商品が何であるかによって規制当局が異なっています。証券取引委員会(SEC)は株式などの有価証券を管轄し、商品先物取引委員会(CFTC)はコモディティ(商品)を管轄します。

 

2015年にCFTCは、「仮想通貨はコモディティである」という見解を示したことで、シカゴ・オプション取引所(CBOE)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に、ビットコイン先物上場につながりました。

 

一方で、ICOによって売り出されたトークンは、証券(Securities)に当たる可能性があるとSECは見解を出しています。規制当局が異なるということは、取引所はそれぞれ異なるライセンスを必要とし、コモディティ扱いで取引を行っていた取引所は、それが証券だと認定されたら取り扱えないことになります。

 

ちなみに日本では、仮想通貨(暗号資産)を「貨幣のような支払手段」と定義し、改正資金決済法で仮想通貨交換業者を登録する制度をいち早く導入しました。ただし、法定通貨にペッグ(連動)したいわゆるステーブルコインは、「通貨建資産」(改正資金決済法2条6項)となり、暗号資産からは除外されます。そのため、別の問題も引き起こしています。

XRPが証券認定されると?

日本では暗号資産が定義され、ある意味安心して取引できるわけですが、米国ではBitcoinとEthereumは証券ではないとされましたが、ICOしたトークンは証券とされ、その中間はグレーゾーンでした。

 

XRPはそのグレーゾーンにいたわけですが、証券認定されるとどうなるのでしょうか。まず、これまでの仮想通貨取引所では取引ができなくなります。逆に、証券取引所で取引される形になるでしょう。

 

SECという規制当局に目をつけられたくない取引所は、これもあって早々に上場を廃止したりしているわけです。でも、長期的に見れば、株式などと同様に証券取引所に上場してXRPが取引される未来も想像できます。それはそれで、売買するプレーヤーが変わってくるわけで、必ずしも暗黒の未来でもないようにも思います。

 

とはいえ混乱は必至。それが現在のXRP暴落にあらわれているわけです。

そもそも証券ってどういう定義?

米国の規制当局の都合とはいえ、ではそもそも証券かどうかというのはどういう定義なのでしょうか。米国の証券法には「投資契約」が証券に該当すると書かれており、投資契約が何なのかは、「Howey test(ハウィーテスト)」によって判断することが慣例になっているそうです。

 

Howey Testのポイントは4つです(野村資本市場研究所)。

  1. 投資:商品やサービスの提供ではなく、金銭的利益を得るために価値を支払う
  2. 共通性:複数の投資家の資金が共有される。投資家と運用者が共通の利益を持つ
  3. 利益期待:投資家の動機が利益を得ること
  4. 他人の努力:利益が投資家ではなく、運用者の努力によって得られる

つまり、使うことのメリットがあるからではなく、利益を得るためにお金を支払うもので、複数人から同内容でお金を集めること。そして、投資家は自分では何もしないもの。これが証券だというわけです。

 

いわゆるICOでは、応募した投資家は、利益を得るために参加しており、トークンは複数人に販売され、期待される利益のために投資家は何もしない――というわけで、これは証券だろうと想定されたわけです。

 

一方で、Bitcoin(BTC)は、そもそもマイニングによって得られるもので、誰かに対してお金を払って取得するものではありません。Bitcoinを持っているからといって利益を得られるものではなく、利益を得られるとしたらそれを他人にさらに高い値段で売却した場合だけです。これは、ゴールドのようなコモディティに近いわけで、証券ではないといわれる理由です。

 

EthereumはそもそもがICOでスタートしていますが、「トークンやコインが機能するネットワークが十分に分散化されているなら」その通貨は証券ではないという見解にSEC会長が同意したということです。SEC会長は、次のようにコメントをしたようです。

例えば、ある個人またはグループが本質的な管理または起業家精神を発揮することを購入者が合理的に期待することができなくなった場合。 そのような状況下では、デジタル資産は、Howeyフレームワークの下での投資契約を表していない可能性があります。 

venturetimes.jp

なぜ分散化されていると証券ではないのでしょうか。「投資契約」の観点では、投資家と運用者の2者が存在し、投資家はお金を支払って運用者から有価証券を買い受けます。ところが、システムが分散化されていて、投資家がお金を払う中心的な相手がいないとなれば、これは運用者がおらず、投資契約が成り立たないと考えられるのではないでしょうか。

XRPは有価証券か?

ではXRPトークンは有価証券なのでしょうか。現在リップル社はXRPは独立したトークンであると主張していますが、微妙な点もあります。

  • リップル社と役員はXRPを販売して6億ドルの利益を得た
  • リップル社創業者のラーセン氏はXRPの販売で13.8億ドルの利益を得た
  • ノードの承認者(バリデータ)は誰でもなれるわけではなく、大部分をリップル社が担っている(パブリックではなくプライベート)

つまり、XRPは独立していると言いながら、リップル社が中心となってトークンを販売して利益を挙げ、実質的にリップル社が運営しているのではないか? という理屈です。

 

さて、このように、XRPに疑義が示されたわけで、リップル社は「XRPは有価証券ではない」と反論していますが、結論がどうなるかは不透明です。有価証券に該当したとしても、国際送金のブリッジ通貨としてのXRPが使えなくなるわけではありませんが、短期的には仮想通貨取引所での取引ができなくなる可能性があり、流動性が大きく失われます。有価証券認定後、果たして証券取引所に上場できるかどうかという懸念もあります。

 

仮想通貨には、このように各国の規制で大きく価値が毀損するリスクがあり、今回のXRPの騒動は、それを如実に表したといえるのではないでしょうか。