FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIer(FIRE)を実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

優待クロス入門 やり方と証券会社

優待クロスを始めて3年目に入りました。まったくの初心者で何も分からなかったぼくが、この1年間、どのように優待クロスを行ってきたか、初心者にとって分かりにくい、つまづきやすいポイントはどこか、まとめておきます。

優待クロスとは?

優待クロスを簡単にいうと、株価の変動リスクを取らずに、優待だけを取得する方法です。「優待狙いで株を買ったら、株価が下がって優待以上に損をした」。これって誰しも経験することですね。この「株価が下がる」場合でも、損を出さないための手法です。

 

具体的には、優待の株を買うとともに、同じ株を空売りします。すると、もし株価が下がっても、空売りした分で同じだけ上昇するので、相殺されて損も得もしない。そして、優待だけが手に入るというわけです。

実際のやり方の流れ

優待クロスの流れは次のようになります。ここが端折られると、細かなところが分からなくて困ることが多かったので、できるだけ丁寧に書きます。

  1. 証券会社の口座を開き、信用取引口座も開く
  2. 優待を取得したい銘柄を選ぶ
  3. その株の買い注文と空売り注文を同時に出す
  4. 権利確定日の夜、「現渡し」注文を出す

それぞれ丁寧に見ていきます。

1:証券会社の口座を開き、信用取引口座も開く

最初に必要なのは証券会社の口座と、空売りをするための信用取引口座です。優待クロスをガンガンやっている人は複数証券会社を使い分けていますが、今から始めるなら、ここは「日興証券」で決まりです。信用取引手数料が無料で、貸株料も安く在庫も豊富だからです。この3点は重要なところなので、ほかの証券会社を選ぶときには考慮が必要です。 

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日興証券の口座を開いたら、信用取引口座も開設です。人によっては、ここで開けない人もいるかもしれません。数百万円くらい入金すれば無事に開けるという人もいますが、定かではありません。

 

日興証券に手数料無料で入金できる銀行は限られます。SMBCグループなので、三井住友銀行の口座を持っているなら、連携させておくと、入金も出金も手数料無料で即時実行されるので意外と便利です。ただ、楽天銀行などを使ってもあまり問題はありません。振込手数料無料回数を消費してしまうのと、出金のタイミングが翌日になってしまうくらいです。

2:優待を取得したい銘柄を選ぶ

次に優待銘柄を選びます。意外とここは難しく、人によって観点も違うので一概に正解はありません。下記のような方針があるようです。

  1. 優待クロスに使った資金に対して、最も収益(優待品の価値)が大きい銘柄
  2. 自分のほしい優待を提供している銘柄
  3. かかるコストに対して、最も収益(優待品の価値)が大きい銘柄
  4. すぐに売り切れてしまい、なかなか手に入らない銘柄

僕の場合は(1)が基本なので、Googleスプレッドシートに銘柄のリストを作り、そこに優待品の価値を記入。そして必要な手数料などのコスト、必要資金額などを入れて、利回りを計算して、大きい順に取っていくようにしています。

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4月は銘柄が少なく、利回りも低めなので、例として5月の定番銘柄である日本毛織(ニッケ)【3201】を例に、ここから解説を進めます。優待クロスに必要になる銘柄ごとの情報は次の通りです。

  • 株価 1017円(4月9日終値)
  • もらえる優待と必要株数 100株でQUOカード500円
  • 権利付き日 5月末

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はい。この3つだけです。ニッケの場合、保有株式数が増加するにつれて優待も増えますが、1株あたりのリターンで見ると、最も大きいのは100株ぴったりです。そのため、ここでは100株のクロスを狙います。

 

株価が1017円であることから、100株買うのに10万円ちょっとかかることが分かります。そして権利付き日は5月末。ここから、次のタイミングで取引する必要があることが分かります。

  • 5月31日 優待権利を得られる(権利確定日)
  • 5月27日(権利日の2営業日前)この日に保有していれば、権利日に受け渡しが行われる(権利付最終日)
  • 6月1日 この日はもう株を持っている必要はない
  • 5月28日 この日に売ってしまえば、受け渡しが行われるのは6月1日(権利落ち日)

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この日程は銘柄ごとの権利確定日で変わるので、「優待クロス カレンダー」で検索すれば、たくさん情報が出てきます。要は次の通りです。

  • 権利付最終日の15:00の段階で株をもっていること
  • 権利落ち日になったら、売ってしまってOK

すると、優待の権利が獲得でき、しばらく(前年実績だと8月22日)して、優待品が家に届くという算段です。

 

ちなみに日興証券の場合、信用取引手数料が無料なので、かかるコストは、

  • 現物購入手数料
  • 信用売の貸株料(年率1.4%)

だけです。ニッケの場合、10万1700円で信用売ポジションを建てると、その1.4%にあたる1432円が貸株料として1年間でかかる計算です。1日あたりに直すと3.9円です。権利落ち日までの日数を数えて、この3.9円を掛けます。

 

10日なら39円、30日なら117円。このコストを証券会社に支払って、500円のQUOカードを取得する。これが優待クロスの基本的な収支計算です。

3:その株の買い注文と空売り注文を同時に出す

ではニッケを例に、実際にクロスをする手順をば。タイミングは、基本的に「夜」です。17時を過ぎて注文を受け付けるようになったら、翌日朝9時までの間に注文を入れます。

 

まず日興証券で日本毛織【3201】の銘柄を開きます。

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「信用取引」のボタンを押して、「信用新規売り」を押す。

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返済期限は「3年(一般信用)」を選び、数量は100株。「成行」と「当日」を選択。このとき、「特定口座」になっていることを一応確認です。

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注文内容確認のページが出るので、内容が間違っていないかチェックして、「注文する」を押せば、まず売りのほうは完了です。

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クロスなので、もう1つ行う必要があります。買いのほうです。今度は、同じく信用取引の画面から「信用新規買い」を押します。

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今度は返済期限は「6ヶ月(制度信用)」を選びます。ほかは売りと同じですね。そして同様に注文します。

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これで注文は完了。ちなみに夜間であれば注文は執行されないので、間違っても「取り消し」して再度注文すれば大丈夫です。「修正」するのもありですね。場中の売買と違い、落ち着いてのんびりゆっくりと確認しながら注文できるのも、優待クロスのいいところです。

 

翌朝になると、朝の寄付で板寄せが行われ、「売り」も「買い」も全く同じ値段で約定し、ポジションが建ちます。ちなみになぜ「成行」で夜にやるかというと、この板寄せの仕組みを使い、同値で約定させるためです。昼間の場中で同じことをやると、安く売れてしまったり、高く買ってしまったりして、同じ値段になりません。

 

そしてもう一つ。約定したら「お取引」タブから「建玉一覧」を開き、ニッケの銘柄の右側にある「現引」を押します。これは何をしているのかというと、信用買いのポジションだったものを、実際の株に変える作業です。

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信用買いのままだと、実際の株を持っているわけではないので、優待はもらえません。これを現引することで、実際の株になり、はじめて優待がもらえるというわけです。

 

ではなぜ最初から普通に株を買わないのかというと、手数料が高いから。日興証券だと、20万円までの約定で198円の手数料がかかります。ところが、信用取引なら手数料無料、現引にも手数料はかかりません。信用買いには金利がかかりますが、これは年利で2.5%(制度信用の場合)。

 

ニッケの株価が1017円だとすると、100株10万1700円に対し、2.5%と1日あたりの金利なので0.0027397を掛けて、6.96568725。日興の計算方法は端数切り捨てなので、かかるコストは6円で済むことになります。

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さて、ここまでタイミングについて「朝」と書いただけで何日かについて触れませんでした。まず最短日程でいえば、権利付き最終日の27日の朝に約定するよう、26日の夜に注文すればOKです。ただし、このタイミングで信用売りが建てられないことがあります。

 

下記の画面の「一般信用売建可能数量」を見てください。4月9日の段階では9700株を空売りすることが可能になっています。ところが、これは誰かが空売りをしたら、その分減っていってしまうのです。これがゼロになると、もう一般信用売りは行えません。

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そのため、「できるだけ権利付き最終日に近いタイミング」で、かつ「まだ一般信用売建可能数量が残っている」タイミングで注文を行うことになります。ここが、優待クロスの難しいところであり、そしてゲーム的な楽しさがあるところでもあるのです。

4:権利確定日の夜、「現渡し」注文を出す

翌日28日になったら、「お取引」の「建玉一覧」を開き、ニッケのポジションの「現渡」を押して注文します。下記の画面はニッケではなく「アイ・ケイ・ケイ」ですが、銘柄以外は同じ流れです。

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これは何をやっているのかというと、返さなくてはいけない信用売りに対して、現物を渡すことで返却を行うという手続きです。これによって、現物も信用売りもなくなり、ポジションがクリアされます。

 

ちなみに、28日まで注文を待つ必要はなく、27日の17時を超えたらいつでも現渡注文をしてしまって大丈夫です。ここまでが、優待クロスの超基本的な流れになります。

資金に注意

さて、一つ書き忘れていたことがありました。資金です。まず、売りと買いの両方を行うので、それぞれについて資金が必要になります。1017円の100株なので、買うだけなら10万1700円なのですが、ちょっと複雑です。

  • 売り 成行なので値幅制限いっぱいの1317円×100株の13万1700円のポジション。その3割の証拠金がいるので、3万9510円が必要
  • 買い 成行なので値幅制限いっぱいの1317円×100株の13万1700円のポジション。その3割の証拠金がいるので、3万9510円が必要
  • 現引き 1017円x100株の10万1700円から、証拠金分の3万9510円を引いた、6万2190円が必要*1

合計して、14万円少々が最低必要になります。実際は、現引きで株が手に入ると、それを担保にできるので、拘束される資金は10万1700円でいいのですが、注文時はフルで必要になるはずです。

 

そしてさらに、実は信用取引を行うには、最低30万円の入金が必要です。15万円入れただけでは、「あれ? 注文できない?」となるので、この点は注意ですね。

上級テクニック

ここまで、現在優待クロスの最もやりやすくコストの安い日興証券を使った方法をまとめてみました。しかし、優待クロスは奥が深く、次のような上級テクニックもあります。

 基本を押さえつつ、いろいろなテクニックを使って、良い優待を取得しましょう!

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*1:株価が変動したらそれによって変わります