FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

燃料費調整額ゼロのアクアエナジー100を従量電灯Bと比較してみる【訂正あり】

先日、燃料費高騰により、電力小売価格の中の「燃料費調整額」が急上昇しているという話を書きました。1kWhあたり20〜30円くらいなのに、この燃料費調整額が10円くらいまで上がってきています。

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そのため電気代を抑えようと思ったら、燃料費調整額をセーブできるプランが現状最適解です。新電力のほとんどはここが青天井。一方で東京電力など地域電力は、従量電灯Bなど、上限が設定されているプランがあります。前回の記事は、この従量電灯Bに変えてみる、という内容でした。

 

ところがコメントの中で、燃料費調整額がゼロのプランを教えていただきました。それは東京電力の「アクアエナジー100」です。果たしてどんな特徴を持ったプランなのか、検討してみました。

 

※2022/10/13 電気代の計算式に大きな誤りがあり、再度金額が違っていました。大きな意味での結論は変わりませんが、アクアエナジー100がお得になる分岐点などが、誤っていました。読者の方からのご指摘で発覚しました。ありがとうございます。お詫びし、訂正いたします。

水力発電で生まれた電気を使うプラン

アクアエナジー100は、2017年6月スタートの新しいプラン。ざっくりいうと水力発電で発電した電気を100%利用するというものです。といっても、発電した電力は系統につなぐときに全部混ざり合うので、電力に色がついているわけではありません。ここでは「再エネ指定の非FIT非化石証書」を付与することで、水力100%の電気とみなすことになっています。

 

すでに日本卸電力取引所(JEPX)では、非化石証書を売買できます。普通の電気に非化石証書を組み合わせると、「CO2排出量の少ない再生エネルギーの電気」だとみなせることになっているわけです。

 

特徴はいくつかありますが、中でも注目は「燃料費調整制度の適用がない」ことです。まぁそれはそうです。この電気は名目上、燃料を使っていないのですから、燃料費の増減に連動して変化する燃料費調整額も入ってこないわけです。

通常であれば、水力100%発電の電気は割高なのですが、ここまで燃料費調整額が増えると、相対的にアクアエナジー100のほうが安くなる可能性があるというわけです。

料金プランの比較

では一般的な従量電灯Bと比べてアクアエナジーはどんな価格設定なのでしょうか。価格表を数字にすると下記の通り。一見して、基本料金が従量電灯Bの2倍程度になっていることが分かります。従量部分は似ていますが、アクアエナジーのほうが1段階目が高く、2段階目は少し割安で、3段階目は同じという設定です。

この設計から分かるように、A数が大きいほどアクアエナジーが不利になりそうです。利用電力量に応じた料金の変化をチャートで見てみましょう。なお、ここには再エネ賦課金と燃料費調整額は入れていません。

 

まず最低容量の10Aの場合、両者はほぼ似たりよったりです。どの使用量でもアクアエナジー100のほうが高くなりますが、その差はわずか。燃料費調整額次第でお得なプランが変わります。

では普通の家庭で多そうな40Aではどうでしょうか。基本料金が高いアクアエナジーのほうが僅かに高く、その差がずっと続く感じです。300kWh時点で1097円、アクアのほうが高くなっています。

上限の60Aの場合はこうなります。300kWh時点で1847円アクアのほうが高く、それが続きます。

基本としてはアクアエナジー100のほうが割高です。そしてアンペア数が増えるほど、差は大きくなります。ただし従量電灯Bには燃料費調整制額があり、アクアエナジー100にはないということです。その分岐点はどこでしょうか。

従量電灯Bとアクアエナジー100の価格差

今度は、Aごとに従量電灯Bとアクアエナジー100の価格差をチャートにしてみました。燃料費調整額がゼロの場合の差ということです。20kWh刻みで計算しているので、凸凹があるのはご容赦を。基本料金差が大きい高アンペアプランほど、差が大きくなります。

次に、これをkWh単価に変換してみます。基本料金込みのkWh単価という意味です。基本料金は固定なので、利用量が多くなるほど、単価は小さくなっていきます。

さてこのチャートは何を意味しているのでしょうか。従量電灯Bには燃料費調整額がプラスされ、それはkWhあたりいくら、という計算で乗ってきます。つまり従量電灯BのkWh単価は燃料費調整額の分だけプラスされるということです。というわけで、上記のチャートは、従量電灯Bとアクアエナジー100の価格が反転する燃料費調整額単価を表しています。

 

さて従量電灯Bは燃料費調整額に上限が設定されていて、それは5.13円/kWhでした。この上限に張り付いているという前提で、改めて差を計算してみましょう。なるほど、多くの場合で従量電灯Bよりもアクア100のほうが単価が安くなっていますね。

表にしたものが、下記です。燃料費調整額が上限の@5.13円のとき、アクアエナジー100のほうがお得になる使用電気量の分岐点は、ざっくりこんな傾向です。

  • 10A 140kWh以上
  • 15A 160kWh以上
  • 20A 180kWh以上
  • 30A 220kWh以上
  • 40A 260kWh以上
  • 50A 280kWh以上
  • 60A 340kWh以上

アクアエナジー100の注意点

このように、燃料費調整額が高騰している状態では、100%水力発電のアクアエナジー100の優位が光ります。ただし、いくつか注意点があります。

 

まずこのプランは東京電力用なので、関東エリア(栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県および静岡県(富士川以東))しか適用になりません。契約期間は1年間となっています。ただし途中解約に対する違約金などのペナルティはありませんので、実質的にいつでも変更できると考えていいでしょう。1年を超えた場合も自動更新です。

 

また、細かなところでは口座振替割引55円/月が適用になりません。

 

最大の問題は契約数かもしれません。このプランは非化石証書前提なので、東電が現在提供している水力発電量でまかなえる数しか契約できません。プラン発表時は、

水力発電の電気には限りがあることから、2017年度は3万軒を目途に本プランを提供いたします。

としており、申込みが殺到すると枠がうまる可能性も大ですね。

 

なおアクアエナジー100は、Webでも電話でも申込みが可能です。「スタンダードS」おプランの特約という位置づけになります。ちなみにスタンダードプランは、解約や他社切り替えに制約はありませんが、契約から1年間は東電の他プランに切り替えられないそうです。ところがアクアエナジー100へは変更が可能で、かつアクアエナジー100には東電内他プランへの切り替えも制約なしだそうです。

 

というわけで、総合的に従量電灯Bよりもアクアエナジー100のほうが有効だと判断したので、従量電灯Bをキャンセルしてアクアエナジー100に切り替えることにしました。

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