前回は、さまざまな人の縁でご紹介をいただき、無事にローンの借り換えにたどり着いたことについて書きました。そして、いざ契約!となったときに感じたのが、なかなかデジタル化は進まないということです。どういうことでしょう。
電子契約なら印紙が不要
お金を借りる契約、いわゆる金銭消費貸借契約書=金消契約には、印紙法によって印紙税がかかります。不動産とかだと10万円とかかかりますね。今回は太陽光で比較的額は小さいですがそれでも1000万を超えると2万円かかります。

銀行からいわれたのは、「印紙税がかからないように、今回電子契約にします」ということ。これはナイス! デジタル化推進のためか契約書を紙で残さなければ印紙税はかからないのです。
しかし次の話でちょっとズッコケました。電子契約を行うための申込書を郵送するので、それにハンコを押して、本人確認書類と印鑑証明書を添えて返送してほしいというのです。なるほど、本契約は電子契約でSMS認証を使うけど、電子契約の申し込みは結局紙とハンコなわけです。
電子契約のデファクトスタンダードがない
電子契約はコロナ禍を機に一気にメジャーになりました。有名どころだと、クラウドサインとかDocuSignとかでしょうか。いずれも認証は比較的単純な手法が使われることが多く、登録したメールアドレス宛にユニークなURLを送り、それを開いて記入、契約ボタンを押すことで、本人が契約に合意したとみなす仕組みです。
ただ金消契約のような重要なものだと、もっとセキュリティを上げたいのでしょう。登録メールアドレスではなく、登録携帯番号にSMSでキーが送られてきます。銀行側が用意したIDとパスワードでサイトにログインしたあと、キーで署名する形です。もちろんパスワードは変更可能になっています。
これはこれでセキュアだとは思うのですが、つい先日も「SMS認証は暗号化されておらずセキュアではない」と米国土安全保障省が注意喚起したばかり。テック企業が徐々にSMS認証を廃止している中、導入を進めるというのがJTC金融機関っぽいところです。
あれだけ無意味だと言われるPPAPも、JTC金融機関はいまだに使い続けていますしね。
ぼくとしては、これだけマイナカードが普及してきているので、法人でもマイナンバーカード相当のものを用意して、それで電子署名すればいいんじゃないかと思うのですが、どこかで検討が進んでいるんでしょうか。はて。
インターネットバンキングの利用も申込書にハンコを押す必要が
ちなみに、こちらの銀行は通帳レスでキャッシュカードのみという珍しい法人口座です。当然残高などはネットバンキングで確認するわけですが、これがまた驚きました。ネットバンキングの申し込みに、紙の申込書にハンコを押して持参する必要があるのです。
流れとしてはこうです。まず郵送で届いたキャッシュカードを見て、ネットで「インターネットバンキングの申し込み」を行います。すると、PDFが生成されるので、それを印刷して捺印し、銀行に提出します。
「提出?」って何をすればいいの?と思い、サポートセンターに電話したところ「支店の窓口に持参してください」とのこと。えっと、片道1時間以上かかるんですけど、この書類を出すために行かないといけないのでしょうか??
まさかね、と思いながら銀行の担当者に電話すると「郵送してください。到着したら、一週間くらいでネットバンキングのIDとパスワードを郵送します」ということでした。デジタル化を進めたものの、あまりに現実にそぐわないマニュアルになっていて、現場で柔軟にやっているということでしょう。うん。
驚いたのは、この段階でネットバンキングに月額料金がかかるということが分かったこと。個人はさすがに無料ですが、法人だと総合振込機能などのない個人向け同様にサービスでも月額1650円。このコストはちょっと安いとは言えないのですが、通帳もないので使わざるを得ない感じです。