能力や知識が低い人ほど自分を過大評価し、逆に高い人ほど自分を過小評価しがちな認知バイアス「ダニング=クルーガー効果」をご存知でしょうか。「男性ドライバーに運転を自己評価してもらうと、9割が平均以上だと答えた」などが有名です。では投資家は自分の力量をどう評価しているのでしょうか。
自分のことを投資の天才だと思うか
現在は数年にわたり非常に好調なマーケットが続いています。コロナショックなど一時的に大きく下落するタイミングはあれど、年で見れば過去平均を上回る好調なリターンが続いています。
こうした強気相場の中では、多くの投資家が自分の腕前を過大評価しがちです。それが、信用取引を行ったりレバレッジ投信やETFに手を出す背景にあるわけですが、いまの投資家は自分をどう評価しているのでしょうか?
1月末にXでフォロワーさんに投票してもらったところ、正直驚きの結果となりました。800人超に投票いただいたのですが、「私は平均を下回る投資家だ」と答えた人が最も多かったのです。
意外なことに、僕のフォロワーさんに限ってはダニング=クルーガー効果は現れず、みなさん謙虚に自分を見つめているようです。
ぶっちゃけ、自分の投資家としての力量はどれに近いですか?
— セミリタイア九条 🌐📈☀ (@kuzyofire) 2025年1月31日
正直にお答えください
インデックス投資家は平均レベルか平均を下回るのか
合わせて面白かったのが、「インデックス投資家は平均レベルなのか、平均を下回るのか?」というコメントが多かったことです。
インデックス投資家は、リターンにおいてはほぼ平均並の成績を出すでしょう。これを持って「平均的な力量」というのか、それとも投資家としては何も考えていないので「平均以下の力量」だと評価するのか。はたまた平均的なリターンを得られる投資家は全体の中では少ない方なので、インデックスという手法を採っていることをもって「平均を超える」と評価するのか。
ぼくの当初の想定では、インデックス=平均レベル だったのですが、実はインデックスい投資家の力量は本人の考え方次第でなんとでも言えるのですね。
「ワタシハトウシチョットデキル」
ダニング=クルーガー効果の研究によれば、初期の初心者は少し経験すると自信がピークに達しますが、その後さらに学習を重ねると一転して自信が揺らぎ、自分の未熟さを痛感する段階が訪れるとされています。
そして中級者になってくると、自分の限界や市場の難しさを認識するようになります。最初のうちは確信していた手法が通用しない場面を経験したり、運良く当たっただけと思っていた予想が外れたりすることで、自己評価を現実に近づけていくわけです。研究でも、人は経験とともに自己評価の精度が高まり、実際の能力との差が縮まっていくことが確認されています。
さらに熟練した投資家や専門家の域に達すると、今度は必要以上に自信を控えめに見積もる傾向が現れる場合もあります。Linuxの生みの親であるリーナス・トーバルズ氏が「ワタシハリナックスチョットデキル」というTシャツを着ていたことが有名ですね。ここからエンジニア界隈では神のようにすごい技術を持つ人は自分のことを「チョットデキル」と言うらしいです。

ちなみにこのリーナス氏のTシャツにも元ネタがあって、ロシアの皇帝と呼ばれる金メダリストの元フィギュアスケート選手、プルシェンコ氏が「ワタシハ スケート チョットデキル」と書いたTシャツを着ていたのだそうです。

ぼくのフォロワーさんたちには資産が億を超えるすごい投資家さんたちがゴロゴロいるのですが、さすがこうした上級者の方々の自己評価は「ワタシハトウシチョットデキル」なんだな、と感じた次第です。