話題の新著『ウェルス・ラダー富の階段』を読みました。資産が増えてもお金を使えない人っていますよね。ぼくもその一人です。でも、だからといってバカバカお金を使えば、あっという間に資産は枯渇します。ではどうすればいいか。それが本書が提唱する「0.01%ルール」です。
本書はお金について考える新しい哲学
実のところ、この本は注目の業界や銘柄を教えてくれるものではまったくなく、「なぜインデックス投資が合理的なのか」といった投資手法の本でもありません。はたまた、節約法や「富裕層はこういうものにお金を使っている」というような本でもない。本書はお金についての考え方、フレームワークを提示するものです。
これは、一攫千金を狙うことでも、お金の問題に対する万能の解決策でもなく、お金について考えるための新しい哲学である
大きくいえば、本書では資産の量に応じて、6つのランクに区分けします。そしてお金についての考え方は、レベル1〜レベル6までの富のランクで変わるというのが主張です。

このランクは、世の中の多くがそうであるように縦軸対数で示されます。資産額が10倍になるたびに次のレベルに到達するというイメージです。それぞれのランクによって重要な点は全く異なります。
- レベル1 資産1万ドル(150万円)未満 生存戦略
- レベル2 資産1万〜10万ドル(〜約1500万円) 教育&スキル戦略
- レベル3 資産10万〜100万ドル(〜約1.5億円) 投資戦略
- レベル4 資産100万〜1000万ドル(〜約15億円) 起業戦略
- レベル5 資産1000万〜1億ドル(〜約150億円) 事業拡大戦略
- レベル6 資産1億ドル以上(150億円以上) 資産防衛戦略
ここで重要なのは、それぞれのレベルによって戦略はことなり、レベルが違うと最適ではないということです。例えば、資産が数千万〜1億円くらいのレベル3の人には、レベル1で重視されるような節約手法は最適ではありません。また、レベル4の人にとっては起業は必須の戦略ですが、レベル2とか3の人にとっては、スキルを磨いたり投資をするほうが効果が大きかったりするわけです。
どのレベルに自分がいるかで、最適な戦略が異なるということ。それこそが本書の最大のメッセージであり、お金に関するフレームワークだといえるでしょう。
お金の使い方の「0.01%ルール」
レベルによって大きく異なるものの一つがお金の使い方です。本書ではこれをお金の使い方の0.01%ルールと読んでいます。
資産の0.01%は、実はあなたにとって「取るに足らない金額」を表す優れた指標になる
というシンプルなものです。どういうことかというと、レベル1の人が自由に使えるお金は100万円の0.01%=100円です。100円より高いものを買うときにはよく考える必要があります。これがレベル2になると、その10倍、1000円までは自由に使えるようになります。本書ではこれを「食料品の自由」と呼んでいます。要するに値段を気にせずにスーパーで食品を選べるというものです。
ちなみにぼくは幸いなことにレベル4にいますが、実はスーパーで値段を気にせずに変えるようになったのは、本当にこの数年です。ぼくの中では2ランクくらいレベルが低い生き方のままアップデート出来ていなかったということなのでしょう。
そしてレベル3だと1万円まで自由に使えるわけで「レストランの自由」と呼ばれます。レベル4は10万円まで使えるため「旅行の自由」、レベル5は100万円まで自由に使ってよく「住居の自由」、レベル6だと1000万円まで自由に使っていいので「影響力の自由」と呼んでいます。
自分がレベル1だった学生や新社会人の頃のことを今でも覚えています。さすがに100円でジュースを買うのは躊躇しませんでしたが、ランチを食べるのに800円の定食か、ちょっと奮発して1000円にするかはけっこう迷うものでした。これがレベル4になると、100円を使うのと同じように、10万円のものを買えるというのです。
ちなみになぜ0.01%かというと、毎日0.01%の支出をしても1年で3.65%。これは一般的な資産運用でも税引き後で期待できるリターンだから。つまり、この金額まではあまり気にせずに使っても、資産が減ることはないというわけです。
レベル4なら毎日10万使うのか?
この0.01%ルールが秀逸だと思うのは、収入ではなく資産額を基準にしている点です。例えばレベル4の人が、毎日10万円を「取るに足らない金額だから」といって使うでしょうか。実のところ、人は生きていくのにベースとなるお金が必要です。家もいるし光熱費もあるし食事も、生活のための衣服も必要です。こうした固定的なコストに加えて毎日10万円使っていたら、すごい額になってしまいますね。
ただ、収入で毎日の生活費を賄った上で、資産から生み出される(と期待される)お金を「取るに足らないもの」として使うのならどうでしょう。資産は増えはしませんが、少なくとも減ることはありません。
そして資産があるということは、実のところ毎日10万円なんて使わないという証左でもあります。その理由はこれです。
相続や信託基金、宝くじの当選金などを除けば、資産がある事は経済的な規律があることを示している。つまり資産はあなたが支出をコントロールでき、貯蓄の方法を知っていることの表れなのだ。
つまり、レベル4の人でいえば、そこまで資産を貯めたというのは貯蓄の方法を知っており、運用の方法も知っているということ。毎日10万円使ってもOKとは分かっていても、実際はそこまでは使わないということなのです。
とはいえ、逆にそのくらいの規模感で支出の幅を捉えられると、行動の幅も広がります。例えば、旅行に出かけて数万円くらいのそこそこのホテルに泊まり、美味しいものを食べても、資産的には全く問題ないということなのですから。
いろいろな気づきがある本書『ウェルス・ラダー富の階段』。次からは、レベルごとの戦略で感じたことをまとめていきたいと思います。なお、著者の前の本『JUST KEEP BUYING』は、まさに資産を増やすための戦略を書いた本なので、こちらの書評もぜひどうぞ。
