FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

こんな不動産セールスには気をつけろ!

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いま不動産の価格は上がり過ぎだなぁと思いつつも、不動産物件や市場を定期的にチェックしています。その中で、面談で楽天ポイントをいただけるというので、「きっとヤバイ会社だろうな」と思いながら、ある不動産会社と会ってきました。

 

「いい物件でしたら、その場で決めていただけますか?」

 

担当者からいきなり飛び出したのがこの言葉です。え? 現地を見ずに物件を決める?

 

「当社では多くの方が現地を見ないで購入を決めてらっしゃいます」

 

本当に何を言っているのか分かりません。別に海外とか遠隔地というわけではなく、普通に都内の物件です。見ないで決める理由が分かりませんし、見せないで決めたい理由があるとしか思えません。きっと、いろいろ検討させることなく、面談の場で勢いで売らせたいのでしょう。

 

セールスのテクニックのひとつに「今決めてくれると安いです」というものがあります。「他にもほしいといっているお客さんがいまして」「期限があるのでお安く提供できます」などなど。買い手が正常な判断力を失っているところで一気に畳み掛ける手法です。セールスにかける時間も節約できますしね。

年金代わり、保険代わり、節税と言い出したら注意

こうした不動産投資のセールストークの鉄板が、「不動産は年金代わりになります」「生命保険の代わりになります」「不動産は節税になります」です。

 

確かに、長期に渡ってインカムゲインをもたらしてくれる不動産は年金の代わりになるでしょう。また、ローンを組む際に団体生命保険に入れば生命保険代わりにもなります。そして、減価償却分を総合課税からマイナスできますので年収の高い人にとっては節税にもなります。

 

ただし、これは購入当初からキャッシュフローが出ないから、こういうメリットしか言えないのです。

 

また最初からキャッシュフローが出る、つまり利益が出る物件でも、年金代わりになるし生命保険代わりになります。そして、節税といっているのは単に利益の先送りなので、特にお得というわけではありません*1

 

今回紹介された物件も、35年フルローンで組んで、月々のキャッシュフローは2500円というものでした。

 

なんと恐ろしい! 家賃が16万円見込みだそうなので、一ヶ月空き家になったら単純計算で5年分のキャッシュフローが吹き飛びます。当然変動金利なので、ちょっとした金利上昇でマイナスに転じます。銀行評価はDCFではありますが、内実、サラリーマンとしての所得からの補填を前提としたものなので、積算評価は出ません。

 

だいたい、いくらフルローンとはいえ、35年の長期にしてキャッシュフローがとんとんというのは収益性の低さが際立ちます。

 

給与からずっと補填をし続けて、35年経った後、築40〜50年の物件が手に入るという仕組みです。これは、空室リスクや金利変動リスクなどを織り込んだシミュレーションをし、IRRを出したら絶対に誰も買わない物件です。だからこそ、理想的なシミュレーション(それでも美味しくない)を見せて、一気に購入にもっていきたいというわけです。

豪華なオフィスは何を意味しているのか 

こうした不動産会社のもう一つの特徴は、都心の豪華なビルにオフィスを構え、買い主に安心感を与えようとすることです。よくよく考えると、物件を買うわけですから、買い主がお金を持っているとか業績好調だとかは関係ありません。購入後のメンテナンスなどをお任せするので、しっかりした会社のほうがいいというのはあるかもしれませんが、自社ビルにお金を使う会社が、良好なメンテナンスをやってくれるという因果関係もないですよね。

 

ただ、将来に不安を持つ若者や、退職金の使いみちを考えているシニアが、こうした豪華なオフィスに通されておすすめされると、つい買ってしまうというのもよく分かります。舞い上がってしまうわけです。

 

自分の中での金融リテラシーを高めるという意味でも、たまにこういうヤバイ不動産会社を見ておくのもいいものです。現在の物件価格の状況や、融資の感じ、金利状況などの情報を得られるので、「あくまで参考としてお話を聞きます」ということで会ってくれるなら、話を聞いてみるのもアリかと。

*1:正確には税率が高いタイミングでの利益を減らして、将来税率が低いときに利益を確定させれば、その分節税にはなります。年金などはそういうスキームが多いです

融資を得るのは難しいものですね

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太陽光発電所の建設にはもちろんローンを使うのですが、現在のところ信販業者の融資審査を通っています。信販の太陽光発電ローンの利率は2.1%程度。できれば、もっと低利率で融資を受けたいですよね。

 

太陽光発電の場合、融資審査が降りて申し込みをしてから、実際に太陽光発電の建設が始まるまでにけっこう時間がかかります。経産省や電力会社の認可や調査が終わってからになりますので、半年から1年くらいでしょうか。融資の実行は建設が始まるタイミングですので、その間、もろもろは手続きだけで時間があきます。

 

この時間を利用して、地銀や信金などに融資の相談をし、より利率の低い融資に切り替えを検討するというのが一般的な流れのようです。

 

というわけで、初めて金融機関に融資の相談をしたのですが、あまりにアナログかつセクショナリズムがあって、驚きました。同じ銀行でも、「管轄が違うので、◯◯支店に連絡してください」と言われ、◯◯支店に連絡すると「当支店では太陽光発電への融資はやっておりません」と言われました。

 

金融機関の事業モデルは詳しくないのですが、どうやら同じ銀行でも支店ごとの裁量が大きく、融資対象や審査基準も支店ごとに異なるようです。何も一律に同じ基準でやってくれ、とは言いません。地銀などは地元に密着した事業を旨としているので、地域によって事情が違うはずだからです。

 

それでも、ネットの全国一律サービスに慣れた身からすると、地域ごとに対応が変わるのは結構新鮮です。よく言えば、状況をよく見て対応してくれる、悪くいえばその時の状況次第。融資事業の難しさです。そして、融資を受ける側にとっては、何が正解なのかわからないということでもあります。

 

このあとは、地域の信用金庫などを回ってみたいと思います。電話でアポをとって店頭に出向いて、というのは新鮮ですね。時間はたいへんかかりますが。

 

 ↓公的な助成金や融資でも、カルチャーショックを受けました

kuzyo.hatenablog.com

 

↓基本的に店頭サービスは嫌いです

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資産管理法人 2社目を作ることにしました

太陽光発電や不動産投資の箱として、資産管理法人の設立を進め、先日無事に会社を用意することができました。法人銀行口座やクレジットカードもでき、一息ついたところですが……。

 

太陽光発電所を7基超所有するにあたり、2社目の資産管理法人を作ることにしました。理由はいくつかあります。

kuzyo.hatenablog.com

 

 

消費税の免税業者で居続ける

まず太陽光発電の場合、最初は消費税を収める課税事業者で、消費税還付を受けたのち3年後には免税事業者に戻るという形を取ります。課税事業者だと、売電に伴う消費税分を納税しなくてはなりませんが、設備投資分の消費税をほぼ還付されるというメリットがあるからです。

 

商品を仕入れたり、サービスの提供を受けたりして支払った対価には、消費税と地方消費税が含まれています。

この仕入代金の額に含まれている消費税と地方消費税の額は、売上げに対する消費税と地方消費税の額から控除することができます。
この場合、控除しきれない部分があるときは、確定申告により還付されます。

国税庁

 太陽光発電の場合、消費税がかからない土地を除くと、パネルなどのシステムに消費税がかかります。例えば1500万円のパネルなら120万円です。この額は、売上に対する消費税額から控除できるとあります。しかし、太陽光発電の売電収入は年間200万円程度なので受け取る消費税は16万円程度です。120万円 − 16万円 ということで、「控除しきれない」ために、差額の104万円が還付されるというわけです。

 

もちろん、翌年は収入から経費を引いた分の消費税を納税しなくてはいけません。太陽光発電ではほとんど経費がかからないので、ほぼ毎年16万円の納税が必要ですね。そこで、還付を受けたあと、3年後には免税事業者に戻ることでこの16万円の納税義務をなくすというスキームを取ります。

 

免税事業者に戻ると、売電部分には消費税を加えて支払ってもらえますが、それを納税する必要がありません。2019年10月以降は消費税が10%に上がりますので、そのまま収入が増える形ですね。

 

ところが、免税事業者の条件は年間収入が1000万円以下という条件があります。低圧太陽光の場合、1基あたりだいたい年間200万円弱の収入がありますので、4基で800万円、5基となると1000万円を超える可能性があります。シミュレーションでは、1基あたり180万〜190万円の売上ですが、5%上振れすると189万〜199万円、10%上振れすると198万〜209万円です。上振れするのはありがたいことですが、1000万円を超えると課税事業者になってしまいます。これは避けたい。

 

つまり、安全にいくなら4基、妥当な範囲で5基、6基目以降を持つなら1社ではダメだということです。

簡易課税制度を利用する

課税事業者になってしまっても、太陽光発電の場合、簡易課税制度の適用を受けることでみなし仕入率を70%とすることができます*1。実際にはほぼ経費がかからないのに、70%を経費とみなせるというなかなか美味しい制度です。

 

こうすると、実際に支払う必要のある消費税は売上の30%だけで、8% ✕ 30% →2.7%の消費税納税で済むことになります。7基の発電所を持っていて、売上1400万円だとすると、37.8万円です。10基持っていて売上2000万円としても、54万円です。消費税を払わなければいけないといっても、このくらいの税額で収まるわけです。

 

ところが、いまは法人設立費用が非常に安くなっています。合同会社なら6万円程度で設立でき、税理士への報酬も決算含めて30万円かかりません。資本金1000万円以下なら住民税の均等割も7万円以下です。追加の法人運営費用のほうが、簡易課税制度で消費税を払うよりも安くつくというわけです。

 

しかも、2019年10月からは消費税が10%に上がります。するとさらに差は開くことになります。

所得を800万円以下に抑える

法人の税率は一般に40%などと言われていました。ところが昨今は減税が進み、中小企業では非常に税率が低くなっています。800万円までは実効税率で23.2%ですが、800万円超だと33.6%に上がります。 

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※JETRO 法人所得税概要より

 

これだけ見ると、800万円を超えると急に税負担が増えるように感じますが、実際は違います。所得税の累進課税と同じく、800万円超の部分だけ33.59%が適用になります。

 

では実効税率をグラフで表すとどんな感じになるでしょうか。所得金額が大きくなるにしたがって税率もアップしていきますが、忘れてはいけないのは住民税の均等割です。事業が赤字でも黒字でも一定金額を支払わなければいけません。こちらは、東京都で従業員数が50人の場合、資本金が1000万円以下なら7万円になります。これを入れ込むと、低所得時の税率が一気に跳ね上がります。

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800万円を超えるとじわじわと実効税率が上がりますが、均等割を加味すると、所得が少なくても実効税率が上がります。クロスするのは340万円の所得です。

 

では、法人をもう1つ作って2社にしたらどうなるでしょうか? ちょっとわかりにくいグラフですみません。青線が1社の場合の税額(左軸)、赤線が2社の場合の税額(左軸)です。黄色線は2社の場合の実効税率(右軸)になります。

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所得1600万円までは実効税率が25%以下で推移することが分かります。均等割が2社分かかるので所得が小さいと不利ですが、所得700万円でクロスすることが分かります。800万円を超えると、明らかに2社のほうがお得です。所得1000万円の場合で税額差は27万円となります。

 

実際には、さらに税理士顧問料や決算費用も必要なので、所得が1000万円前後までは差が出ないでしょう。しかし、所得が上がっていくとそこそこ差が出ることが分かります。

法人設立は思ったより簡単だったので

実際、ひとつめの法人を作ってみて、こんな簡単に法人ができてしまうんだと思いました。

 

太陽光発電は、20年のPLがほぼ事前に把握できてしまうというなかなか特殊な事業です。つまり、10年後のことも考えて手を打っておくということが大切だと思っています。

 

そんなわけもあって、1社めの設立から3ヶ月しか経っていませんが、2社目を用意することにしました。途中で分社化するという選択肢もないわけではありませんが、課税逃れのための分社と判断される可能性も高いらしく、また分社のコストもかかるため、ここは新規法人とした形です。

 

ちなみに、自宅の法人業務用スペース部分を家事按分として法人経費にしていますが、2社あると、両方に家事按分できるのでしょうか? 1社で家事按分できるなら、2社になったら倍の比率になってもおかしくないように思うのですが。。あとで税理士に聞いてみたいと思います。

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*1:簡易課税制度適用を受けると、今度は消費税還付を受けられないのには注意が必要です。

太陽光発電所を7基確保しました

安定的な収益プラス借り入れによるレバレッジを狙いとして、太陽光発電所の取得を進めています。EPC業者*1との最初の打ち合わせが7月末でした。そこから2ヶ月。複数の物件候補を回り、なんと7基の低圧太陽光発電所を確保しました。 

 

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いずれも土地購入案件で、これから造成、設計と入っていく形です。いずもれも低圧で49.5kW。過積載になります。FIT 18円にギリギリ間に合った形です。売電開始は2019年夏〜秋というような見通しになります。

 

この間は、一度決定したものの、地主さんが「やっぱり売りたくない」とか、土地契約書の内容で実態と違う記載があって修正に時間がかかったとか、いろいろとありました。この7基についても、きっとスムーズに売電開始ができるとは限らないのでしょう。

 

ともあれ、2ヶ月でなかなかの物件を決めることができたのは僥倖です。各物件の計画値は下記のとおりになります。

  • 君津  モジュール発電量 97.2kW 表面利回り 9.5%
  • 真岡  モジュール発電量 97.2kW 表面利回り 9.5%
  • 石岡  モジュール発電量 97.2kW 表面利回り 9.2%
  • 木更津 モジュール発電量 97.2kW 表面利回り 9.5%
  • 市原① モジュール発電量 89.6kW 表面利回り 9%
  • 市原② モジュール発電量 103.6kW 表面利回り 9%
  • 筑西  モジュール発電量 97.2kW 表面利回り 10%

造成代、電力負担金などがまだ概算なので、利回りは前後しますし、上記の利回りは発電シミュレーションなので実際に発電してみると、日当たりの違いなどでまた変わってくるでしょう。

 

ちなみに、物件のチェックポイントとしては、下記のような点が挙げられます。

  • 南側が抜けていて影にならないか。西や東も遮蔽物がないか
  • 地面が平らで造成などが不要か。必要ならいくらくらいかかるか
  • トランスの乗った電柱が近くにあるか。遠いと電力負担金が増える
  • 土地の境界が確定しているか。杭などが打っていないとあとで隣とトラブルになるかも

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※この土地のように、敷地脇に電柱があってトランス(円柱形の箱)が乗っていると、ここに接続できます。これが遠いと、そこまで電柱を立てて電線を引っ張らないといけません。

 

隣の土地が林だった場合、伐採してもらえるか、今後も伐採をさせてもらえるかなどを確認する必要がありますし、更地でも後から家などが建ったらたいへんです。

 

土地の境界も、あとからトラブルになると面倒です。境界確定を依頼することもできますが費用がかかります。売り主さん負担で境界を明確にしてもらうことが大事です。土地の売買契約書には、公図と現地が違った場合は現地優先と書いてあることもありますので、要チェックですね。

 

利回りは、どの案件もだいたい9〜10%くらいになります。モジュール発電量が同じくらいなのと、EPC業者が土地を仕入れる際に、10%くらいの表面利回りになるように土地価格を交渉しているのでしょう。ということは、できるだけ日当たりが良い場所を選んで、シミュレーションから上振れを狙うのが作戦になります。

 

いったん7基確保ですが、FIT 18円のうちにあと3基を見つけて、計10基を目指す目標です。モジュール発電量でいえばプチメガソーラー、システム発電量でいえば半メガソーラーですね。

 

とはいえ、7基から先には物件とは別に、いくつか問題も出てきています。そこについてはまた書いていこうと思います。

*1:土地を決めたあと、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)というプロセスを経て太陽光発電所は建設されますが、この業務を一括して請け負うのがEPC業者です

経産省の太陽光申請サイトで業者を承認する

太陽光発電を行うときは、通常、パネルなどのシステム設置を中心としたもろもろを業者に依頼すると思います。2017年4月の改正FITに法では、「事業者認定」が必須になりました。

 

これまでは、業者が代行して申請手続きをしていましたが、きっと悪質な業者によるトラブルがあったのでしょう。申請手続きに対して、事業者が「承認」が必要になったようです。

 

進めている太陽光発電の案件で、業者からの申請が進みました。すると、予め業者に伝えてあるメールアドレス宛に、経産省からメールが届きます。そこのURLを開くと、下記の再生可能エネルギー電子申請のページが開きます。新規登録を行い、ログインすると下記のページが開きます。

 

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認定申請一覧を押すと、下記のような検索画面が出ます。何も入れずに「検索」ボタンを押すと、自分が申請している(業者に申請代行している)設備が全部出るようです。

 

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右端にある「参照」ボタンをおすと、もう少し詳細が表示されます。ここで、「設置者承認」を押せば完了です。

 

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初めてのことでなんだろう? と思いましたが、まぁポチポチ押していくだけでした。

 

↓太陽光発電カテゴリ

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太陽光FITの終焉 19年度は高圧も入札か?

国が発電した電力の買取価格を20年に渡って保証するFIT制度は、太陽光発電を投資として見立てられる仕組みの根幹です。買取価格は毎年下がり、2018年度は18円/kwhまで小さくなりましたが、ソーラーパネル自体の価格下落もあり、IRRは一定のパーセントを維持していました。

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ところが、このFITの財源は電気代に上乗せされて国民全体から徴収されているものです。上乗せ額は2018年度は2.4兆円(国民一人あたり2万円/年)だが、2030年度には3.1兆円に膨らむ見通しとなっています。そのため、FIT価格の低下だけでなく、ついに50kW発電所でも2019年度からは入札となる可能性が報じられました。

r.nikkei.com

 

太陽光発電所には、大きく3つの種類に分かれます。発電量50kW未満の「低圧」、50kW以上の「高圧」、そして入札制度でFIT価格が決まる2MW超です。高圧は、建設効率が良いなどのメリットがありますが、キュービクルが必要だったり電気主任技術者の専任が必要だったりします。

 

個人投資家の場合は、ほとんどの場合が50kW未満の「低圧」でしょう。しかも、太陽光パネル出力は合計100kW程度まで増やし、パワコン出力を50kW未満に抑える、いわゆる「過積載」にすることが多いと思います。ぼくが検討している案件も、基本過積載です*1

 

低圧、高圧はそれぞれFIT価格は同じで、2018年度は18円/kWです。一方で、2MW超の発電所は2017年度から入札方式に切り替わりました。これは、あらかじめ総容量を決めておき、各発電所が買取価格を入札、価格が安い順に決まっていき、募集容量を超えた発電所は買い取りされないというものです。入札を行うことで、買い取り価格を下げるのが狙いになります。

 

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記事によると、19年度にも、入札を50kW以上に広げる、つまり高圧を対象とすることを検討するとしています。低圧はまだ一律の固定買い取りが続くようですが、価格がさらに下がることは間違いないでしょう。2025年度には7円/kWhまで下げる方針だからです。

 

太陽光発電が確実に儲かる理由は、FIT財源の2.4兆円を、投資家を含む太陽光発電関連業者で分け合うからです。しかもそれに国の20年保証がついています。入札が始まると、20年間の固定価格保証は続きますが、募集容量内に入るようできる限り価格を下げて入札することになります。自然とリターンは減少するでしょう。

 

太陽光発電投資に参入する賞味期限は、刻々と迫っていると思われます。

*1:例えば、300Wパネルを324枚でモジュール発電量は97.2kWだが、パワコンは5.5kWを9台として49.5kWに抑えています。49.5kWを超える発電をしてもその分は無駄になってしまいますが、パネル枚数が多くなるので、冬や朝晩などの発電量が増えるというメリットがあります。パネル価格が下がったことで可能になったテクニックですね。しかし、本来は最大100kW発電できるのに、制度上の問題で50kW以上をカットするというのもおかしな話ですが。

太陽光発電 案件チェックその4 千葉

太陽光発電投資に向けて、各地の物件を見ています。このたび行ってきたのは千葉です。アクアラインのETC割引が始まったことで、片道800円とかなりリーゾナブルに千葉に行くことができるようになりました。

 

こちらは約400坪の土地に97.2kwのモジュールを置くという18円案件になります。写真の道の向こう側、ちょうど草が高く生い茂っているところが物件です。右側が南になるのですが、ちょうど田んぼとなっていて、日当たりもいい感じ。

 

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物件を北側から見ると、南の奥に山が見えますが、それほど近くではありません。見てのとおり、境界に杭などはなく、はっきりしていないので、境界確定は地主さんにお願いしました。

 

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唯一の難点は、こちら。電柱が100メートルほど先なんですね。電力負担金は100万〜200万円程度はかかりそうです。

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この物件、実は高速のインターチェンジ至近という特徴もあります。賃貸不動産などとは違って、太陽光発電は頻繁に現地に行く必要もないのですが、行こうと思ったら楽というのもけっこう重要な点ですね。

 

こちらの物件は、収益シミュレーションの結果でも良好。ということで、購入に向けて進めることにしました! 確定しましたらまたお知らせしたいと思います。

 

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太陽光発電 案件チェックその3 栃木

太陽光発電投資に向けて、いろいろな物件を見ています。こちらは栃木県の物件で、約400坪の土地です。86.4Kwの発電量が見込まれる18円案件で、表面利回りは11%程度となります。

 

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北側の土地では、既に別の太陽光発電所が稼働しており、その南側が今回の売地になります。木の根っこがたくさん残っているような土地ですが、それはきれいにしての売却という条件です。

 

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隣に太陽光発電所があるということは、連携する電柱も隣まで来ているということです。負担金はそれほど高くないでしょう、ということでマル。

 

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こちらの写真は南側です。うっそうと茂る林となっていますが、こちらも伐採してもらえるという条件です。伐採が完了すれば、日当たりはいい感じです。

 

この土地は1000坪以上の広いところを、400坪ずつ北側から太陽光発電用に徐々に売却している感じのようです。最北部は稼働中、続いて今回の売地があり、来年は南側の伐採後の土地が売りに出るのでしょう。

 

表面利回りといい、悪くない案件かと思います。こちらは、土地の取得交渉などを進めることにしました。

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太陽光発電投資のIRRを計算する

先日、太陽光発電投資のメリット・デメリットを考察しました。今回は、実際にどのくらいの利回りが出る投資なのかを計算してみます。

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太陽光発電の利回り表記に注意

太陽光発電案件の紹介サイトなどでは、「利回り10%!」などという表現が普通に書いてあります。これは嘘ではないのですが、二つ注意が必要です。

 

一つは表面利回りを表した数字だということです。つまり、別途経費がかかってきますので、その分利回りは低下します。ただし不動産投資などと違い、太陽光発電の場合、かかる経費はそれほど多くありません。草が伸びてパネルを覆うのを防ぐ草刈りの費用(年間15万円程度)、土地の固定資産税、太陽光発電システムの固定資産税、各種保険代などがそうです。

 

二つ目は特に注意が必要です。不動産の場合、土地と建物の価値はゼロになることは基本的にありません。数十年経っても、土地は実勢価格で、つまり購入時からプラスマイナス何%かで売れます。建物は次第に価値が下がっていきますが、賃料が得られる限り、ゼロということはないでしょう。RCなどでは40年以上価値が継続すると考えられます。

 

ところが太陽光発電の場合、国の買取保証FITが切れた20年後は、ほぼ無価値になる可能性があります。土地は、正直太陽光発電以外に使いみちがありませんし、市場価格での売電単価は未知数です。パネル自体はメーカー保証が25年というのが一般的ですが、次第に劣化が進みます。そのため、20年後には価値がゼロになると考えてシミュレーションするのが保守的です。

 

普通、利回りといったら元本が戻ってくる前提で計算して比較します。定期預金のようなものですね。不動産投資は比較的近い考え方でいけますが、太陽光発電の場合、元本がゼロになる前提で計算しなくてはいけません。つまり、「利回り10%」を定期預金などと比較してはいけないのです。こんなとき、同じものさしで投資対象を比較するにはIRRを使います。

 

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実際の案件のIRRをチェックする

さて、では太陽光発電投資の利回りをIRRで見てみましょう。前提として低圧の野立太陽光発電で、土地費用込で総額1800万円として計算してみます。草刈り費用は年間15万円、土地の固定資産税を年間2万円とおいてみます。収入は年間約200万円、表面利回り10.6%とおきました。多少前後はありますが、よくある表面利回りだと思います。借り入れについては、信販ローンで現在一般的な2.15%、元金均等返済としてみます。

 

さて、計算結果はどうなったでしょう?

 

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横軸のパーセントは、自己資金比率を表します。棒が20年間の累計利益額で、赤線がIRRです。これを見ると、全額自己資金でまかなった場合が累計利益額は最も多くなり、1250万円のプラスが生まれます。自己資金を減らしていくに従って、借り入れに対する利息の支払いが生まれるので累計利益は減少します。

 

一方でIRRは、当然自己資金が少ないほうが高くなります。全額自己資金の場合で約6%。自己資金30%の場合で約10%です。このIRRは、定期預金や株式などと比較しても大丈夫な利回りと考えていいでしょう。20年で資産価値がゼロになっても、このくらいの利回りが出るのが太陽光発電投資です。

 

借り入れ金利の変動がIRRに及ぼす影響

続いて、IRRに影響を及ぼす要素を見てみます。まず自己資金比率を20%と仮定します。その上で、借り入れ金利が変化したときにIRRがどうなるかシミュレーションしてみます。

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横軸が借り入れ金利です。借入金利が上昇するとIRRが下落、金利を抑えることができればIRRが上昇します。

 

案件を評価する際には、表面利回りはもちろん、自己資金比率(最近ではパネルなどのシステムは全額ローン、土地代、整地代などの諸経費は自己資金が普通です)、そして金利がIRRを大きく変化させる要因だということがわかります。そしてもちろん、売電収入はシミュレーションで出しているものに過ぎないので、日当たりの良さなどの違いが収入に大きな影響を及ぼしますね。

太陽光発電 案件チェックその2群馬

太陽光発電投資に向けて、さらに案件を見てきました。こちらは群馬県の案件で、約300坪の土地で坪単価1.2万円と高めですが、96.6Kwhの予測発電量で18円の案件です。推定表面利回りはちょうど10%です。

 

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販売予定地はコンクリートで固められており、別途整地の必要はなさそうです。廃屋やゴミが見えますが、売り主がこれらをきれいにしてもらえれば、まさに更地です。

 

すぐ脇は民家になっており、当然電気も来ているので、電柱まで接続するための電力線を引く電力負担金もほとんどかからなそうです。

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こちらが南側から見た写真です。コンクリート部分までがパネル設置予定箇所になります。南は抜けており、東は一段下がって道路、そしてその先は畑となっています。ところが、写真奥に見えるように、西側が山なんですね!

 

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見ると、かなり高い山がそびえており、その上には木が生い茂っています。売り主側で木の伐採は可能ということですが、これだけ高い山だと、西日をけっこう遮りそう。4時くらいからは影になってしまう可能性大です。

 

場所は悪くないと思ったのですが、西側の山がこれだけ大きいとは想定外でした。航空写真だとこれはわからず、やはり現地にいかないと判断がつかないところです。

 

そんなわけで、この物件は残念ながら見送りとしました。

 

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低リスク&融資が太陽光投資の特徴

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なぜ今太陽光発電なの? と思われる方も多いでしょう。

 

国による再生エネルギーの固定額買取制度FITの価格が2018年は18円まで下がり、税制優遇もなくなりと、震災以降、国が推し進めてきた再生エネルギー施策がかなりトーンダウンしてきています。それでも、太陽光発電への投資はなかなか面白いと思い、現在準備を進めています。

 

 

国による買取制度FITの安定感

太陽光発電システムによって生まれた電力は、固定価格買い取り制度(FIT法:Feed-in Tariff)という法律によって、発電したすべてを予め決められた価格で買い取ってもらえます。買取保証期間は20年間。つまり、20年にわたって、ちゃんと発電できている限り、売上が保証されるという仕組みです。

 

2018年もFITは継続していますが、この法律がスタートした2012年の買取価格は1kwhあたり40円でした(10kw以上の産業用)。これが毎年段階的に下がり、2018年は18円/kwhとなっています。当然この買い取り価格は相場よりも高いものです。そして相場との差額は、「最エネ賦課金」という名前で、電気を利用する人全員が負担します。

 

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経済産業省 なっとく!再生可能エネルギー 固定価格買取制度

 

つまり、電気を使う人が費用を負担し、太陽光発電運営者に高い買取価格を提示している構造です。太陽光発電事業には国から補助金が出ているようなものです。

IRRは4%から5%で意外と安定

当初1kwhあたり40円という買取価格だったものが、2018年現在は18円です。旨味がなくなった、と思う人もいるかもしれません。ところが、発電に必要な太陽光パネルなどのシステム価格も、この6年間で大幅に安くなっています。

 

買取価格は下がったものの、システム価格も安くなっているので投資利回りとしてはほとんど変わりません。というよりも、IRRで計算して、利回りが変わらないように買取価格を調整しているというのが実際のことろです。

平成 27 年6月末に、法の規定(法附則第7条)に基づく3年間の「利潤配慮期間」が終了したが、各再生可能エネルギーの供給の量を勘案し、平成28 年度の調達価格の決定に当たっては、十分な FIT 認定・導入が進んでいる太陽光についてのみ IRR を6%から5%に引き下げた。それ以外の電源については、十分に導入が進んでいないことから、IRR の水準を維持することとした。

平成 29 年度以降の調達価格等に関する 意見(案) 

2015 年6月末をもって上記の法律に基づく利潤配慮期間は終了したが、以降の太陽光発電以外の調達価格等の決定に当たっては、十分に導入が進んでいないことから、「供給量勘案上乗せ措置」として 1~2%の IRR 上乗せを維持したうえで、今後どれだけ継続するかについては、今後の導入量、FIT 認定量等の推移を注視することとされている。

経済産業省 平成 30 年度以降の調達価格等に関する意見(案)

下記の表は家庭用のパネルを設置した場合の試算になりますが、買い取り単価が大きく下がっているにもかかわらず、初期費用も下がっているため10年間の収支がほとんど変わらないのがわかると思います。

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太陽光発電の売電価格これまでの推移

融資が引けるという貴重な投資先

売上が20年間保証され、IRR4〜5%となるよう価格が設定されているという太陽光発電。「4〜5%の利回りは低すぎるんじゃない?」と思う人もいるでしょう。

 

ところが、国が保証するという安定性もあって、太陽光発電システムの購入代金は全額借り入れで賄うことが普通です。ジャックス、アプラスといった信販系からの借り入れでも利率は2%程度になります。つまり、不動産投資などと同じく、借り入れによるレバレッジをかけることができるのです。

 

実際は、土地の購入費や整地代金、電力負担金と呼ばれる電力会社との連系工事負担金など、システム以外のコストもかかりますので、フルローンというわけにはいきませんが、総額の70〜90%程度を借り入れで賄うことができます。このレバレッジにより、実質のIRRは10%程度まで上昇します。

 

ただし、建物と土地を担保として使える不動産投資とは違い、太陽光発電システムは動産扱いです*1。つまり、担保としては見てもらえません。自分の属性でどこまで借り入れられるかが気まるという感じです。

 

不動産投資と太陽光発電投資

不動産投資の場合、積算評価がローン残高を上回る形になれば、信用毀損なく物件を買い進めていくことができます。一方で、太陽光発電投資は間違いなく信用を削っていく感じですね。銀行からは評価ゼロとみられるでしょう。

 

ただし、不動産投資の場合、空室リスク、家賃滞納リスク、地価下落リスクが存在します。これから人口減少に突入する日本の場合、空室リスクはシビアですね。そして、金融緩和からザル融資によって不動産価格は高騰しており、今後東京オリンピック終了による期待剥離、また2022年の生産緑地問題などから地価下落リスクは大いにあると踏んでいます。

 

一方で太陽光発電は、システムの破損リスク(地震など)程度しかリスクがありません。金利上昇リスクはありますが、30年以上の長期ローンを目指す不動産投資と違い、太陽光発電ローンは15年が基本。金利上昇リスクも不動産に比べて低くなっています。

 

さらに、15年ローンで返済していっても、十分にキャッシュフローが出るという仕組みです。もちろん、不動産と違って20年経った太陽光発電システムにはほとんど価値が残っていませんので、20年間で稼ぎ切るというイメージでしょうか。

 

IRR10%程度という利回りをどう考えるか。また非常に低いリスクをどう見るか。限りある信用をどのように活用するのか。これによって太陽光発電の評価が決まると考えています。

 

 

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*1:実際、違う土地に移設も可能なようです。本当に動産ですね

太陽光発電投資 案件チェックその1 茨城

太陽光発電への投資のために、案件をチェックしてきました。こちらは茨城県の物件で、910平方メートルの土地です。売電単価18円で、82kwh/年の予測発電量となっています。

 

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販売予定地は、写真のようにある程度伐採されていました。下も平らで、大きく整地する必要はなさそうです。

 

 

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あとあとトラブルになる境界のチェックです。竹棒に旗が立ててあり、ここが境界だとわかります。明確な形です。

 

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同じ電信柱のすぐ横には、トランスを載せた電柱が。太陽光発電では、東京電力の系統に接続する必要がありますが、この電柱が遠いと電力負担金というコストがかかります。このくらい近くにあれば、kwあたり1万円くらいで接続できるそうな。

 

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そして重要な日当たり。真南ではなく南西にパネルを向けるレイアウトを想定しています。写真にあるのは南側にある竹林。こちらは伐採して更地にもらえるということで、日当たりもほとんど問題なさそうです。

 

土地代込みで表面利回りも10%を超え、悪くない物件だったのですが、周囲3方を民家に囲われており、それはちょっとどうかと。自分だったら居間のすぐ横とか、ベランダから見下ろしたところが太陽光パネルというのは、少し戸惑いますよね。

 

そんなわけで、この物件は残念ながら見送りとしました。

信用を収入に変える仕組みとは?

サラリーマンをやっている最大のメリットってどこにあると思いますか? 安定した収入、大きな組織ならではの大きな仕事、社会的な信用度。いくつかの利点があるのですが、投資という観点でいえば、最大のポイントは銀行などから借り入れができるところにあると思います。

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自己資金ゼロでも2%の利回り

 例えば、年利回り4%の投資先があります。ここに手持ちの資金を使って投資したら4%の利益です。

 

ところが、2%の利率で銀行借り入れして投資したらどうなるでしょう。シンプルにいうと、2%で借りて4%で運用するので2%の利益が出ます。しかも自己資金は使っていないので、自己資金換算すると無限大の利回りになるわけです。

 

いわば、銀行からお金を借りられるという「信用」が、本人の代わりに2%の利益を生んでくれるわけです。

 

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この「信用」をいかにうまく使うか? それがサラリーマン投資家の最大のメリットだと思います。実際のお金は持っていなくても、信用を使うことで実質的にお金を生み出す仕組みを作り上げられるのですから。この「信用」を増加させる作戦はいくつかあります。

 

信用増加作戦:収入を上げる

基本的には「信用」は収入に比例するようです。銀行から見れば、収入が高い人は返済能力も高いわけで、これはわかります。日本のサラリーマンは、収入が増えたらめったなことでは減りません。つまり、定年までその収入が継続することを前提に貸し手は「信用」を計算してくれるわけです。

 

本業を頑張って収入を上げることで「信用」を増やす。収入の増加に加えて信用の増加でダブルで効いてきます。

 

信用増加作戦:良い企業に勤める

これから就職活動をする人ならともかく、働いている人にはどうしようもありませんが、良い企業=安定している企業に勤めるのは信用増加の重要なポイントです。

 

弁護士や医師などの「士業」、そして「公務員」が最強と言われています。そして、「東証一部上場」企業、少し落ちて「上場企業」、こんなふうに勤め先のランクによって信用が変わってくると言われています。

 

ちなみに、勤続年数も重要なポイントらしいので、東証一部上場企業に転職するよりも、現在の企業で長期間勤めるという実績を積むほうがいい場合もあるかもしれません。本業を頑張って、自社を東証一部まで押し上げられたらベストかも。

 

ちなみに、出世しすぎて役員までいってしまうと信用的には不利に働きます。労働法で収入が守られている従業員と比べ、役員は任期が決まっており、会社側の都合でいきなりクビもあり得るからです。役員の給料が高いのは、こんな理由もあるのかもしれません。

 

信用増加作戦:収入のある人と結婚する

配偶者の「信用」が高ければ、共同保証人となってもらうことでさらに信用を増加させられるでしょう。高収入DINKSは最強といえるかもしれません。

 

信用増加作戦:借金を返す

各種ローンや、不動産投資などでの借り入れがあるなら、繰り上げ返済してしまうことで借り入れ可能枠が増加したり、信用が増すという利点があるでしょう。

 

ただし、せっかく低金利で借り入れられているのだから、返してしまうことはデメリットだともいえます。もちろん、高い金利の借り入れはさっさと返してしまうにこしたことはありません。

信用を失わないために

クレジットカードの支払遅延は絶対にNGと言われています。大量にクレジットカードを使っていると、ついうっかり口座に現金が! ということもあるのですが、これをやると信用情報に傷がつきます。

 

いわゆるブラックリスト入り、という状態です。これは「61日以上延滞」「3ヶ月以上連続延滞」などでブラックリスト入りし、この場合完済から5年間はリストに載り続けるようです。こうなるとクレジットカードさえ作れないので、融資を引くなんて論外でしょう。

 

クレジットカードの保有枚数が多いと、そのキャッシング枠が実質的に借入枠として計算され融資に不利になるという話もあります。一方で、クレジットカードを持っていて継続的に使い、しっかりと返済しているという履歴は、クレジットヒストリーと呼ばれ、信用につながるそうです。特に米国ではクレジットヒストリーはとても重要だそうです。

 

金融資産の多寡は直接は信用に直結しないという話が多いようですが、年収に対して金融資産が少なすぎると浪費家として見られ、マイナスだという話もあります。

 

持ち家か賃貸かについてはいろんな見方があり、借り入れ額と自宅の評価額を比べてキャピタルゲインが出ている状態ならプラス、損失が出ているならマイナスという話もありました。

 

サラリーマンの特性を活かす

以前書いたように、資産を増加させようと思ったら、サラリーマンという立場は最悪です。税金が高く経費が自由に使えないのが理由です。

 

一方で、サラリーマンは信用が高く融資を使った資産運用がしやすいというメリットがあります。幸い、融資を使った一般的な投資手法である不動産や太陽光などは、法人を使って購入しても、融資の際は法人と個人を合算して信用評価してくれるのが普通です。

 

サラリーマンの信用を使って融資を受け、運用は法人を使い税金を抑え経費を使う。これが日本で資産運用を行うセオリーなのでしょう。

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『金持ち父さん』よりモノポリーが好き

投資の指南書、投資人生を変えた一冊、としてよく例に挙がるのが『金持ち父さん 貧乏父さん』です。もちろんぼくも読みました。現在は改訂版が出ているようですが、読んだのは2000年に出た下記のほうです。ちょうど15年ほど前の2004年くらいだったでしょうか。

金持ち父さん貧乏父さん

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  • 作者: ロバートキヨサキ,シャロン・レクター(公認会計士),白根美保子
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その頃から、意識して貯金を始め、同時に投資信託を買い、本格的に投資の道に入っていきました。 

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ただ、なぜかこの時に不動産にはいかなかったんですね。いま考えてもなんでだろう? とは思います。昔の日記を紐解くと、たいして貯金もないのに1億とか3億とかの借金を背負って平気でいられるだろうか? と書いていたりします。不動産を買ってはいなかったけど、ずっと不動産投資に興味はあったんだな、と今更ながらに思い出します。

 

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さて、不動産投資といえば、ぼくの中ではモノポリーです。

 

知らない人のために簡単に説明すると、モノポリーとは土地を買ってその上に家やホテルなどの物件を建てて、そこからの賃貸収入をもとにさらに多くの土地や物件を買っていくという不動産投資ゲームです。

 

もちろん本当の不動産投資をシミュレートしているわけではなく、ゲームとして成り立つようにデフォルメされているわけですが、キモの部分はポイントをついています。

 

1つは、「不動産投資とはレバレッジをかけるもの」というところ。モノポリーでは持っている土地を担保に入れて借金をし、そのお金で家を建設するのが定番の方法です。手持ちの現金だけでも家は建てられますが、収益を加速するには借金をしてレバレッジを効かせることが必須なのです。ここで、借金をして投資ができるかどうかが、実は性格が出るところ。ゲームでも現実でも同じですね。

 

2つ目は、手持ちキャッシュをどこまで温存するかです。限界まで借金して、それを投資に回すわけですが、不測の事態のためにどのくらい現金を残しておくかで、やはり性格が出ます。いったん投資してしまうと現金に変えるのは簡単ではなく、他のプレーヤーに売ろうと思っても足元を見られます。逆に現金さえ持っていれば、窮地に陥ったプレーヤーから安く資産を買取ることだって思いのママです。「キャッシュ イズ キング」であるとともに、現金だけでは、投資しなければ勝てないのです。

 

3つ目は、規模の強さです。モノポリー = 独占 の由来は、複数の土地をまとめるとそこに家が建てられるところにあります。極小の土地では大した利益は出せず、独占 = 地上げして始めて大きな投資機会が訪れます。実際のビジネスでもそうですが、一見相場よりも高くても、シェアを拡大して独占に近いポジションを作ることが大きな利益を出す最短の道になります。

 

また、モノポリーをやっていると、土地などの価格がどうやって決まるかも肌感覚でわかってきます。その土地から得られるであろう利益をゲーム終了時まで合計して、そこにリスクファクターを掛けて買取価格を設定します。その価格は絶対ではなくて、相手がキャッシュリッチだったら適正価格でも売らないかもしれませんし、現金が不足していたら適正価格以下でも売るかもしれません。結局取引は、相手があってのもので、相手がリッチなら(または借金ができるなら)高く売れるし、お金がないなら安くしか売れません。

 

 ちなみに、モノポリーの(ルールマニュアルではなく)根本的な勝利への考え方は、世界チャンピオンの百田氏が書いた、下記の本が別格です。ながらく絶版だったのですが、いまならなんとKindle Unlimitedで読めるようです。いい時代になりました。

世界チャンピオンが教えるモノポリー―ゲーム入門から高等戦術まで

世界チャンピオンが教えるモノポリー―ゲーム入門から高等戦術まで

 

 

賃貸vs.持ち家 ファイナルアンサー

その昔から、賃貸と持ち家はどっちが得なのか? は永遠の論争テーマのようです。「先行きは不透明だぜ!」というスタンスの方は賃貸有利の結論になることが多いですし、「家売るのが仕事だぜ!」というポジションの方は持ち家有利をいいます。

 

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でも、税金論点で比較したものを見たことがないので、ここで考察してみましょう。

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