FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

0.1%のコスト差はリターンをどれだけ蝕むか

投資先のETFや投資信託を選ぶときに、一番気になるのは毎年かかる信託報酬です。このコストの分だけダイレクトにリターンが減るからですね。期待リターンが6%の投資でも、年間1%の信託報酬を取られたら期待リターンは5%に減ってしまいます。16.6%の利益減です。

 

そんなわけで、多くの書籍でも「できるだけ低コストな投資先を選ぶこと」がいわれています。では、例えば0.1%と0.2%など、0.1%コストが違ったら、リターンへの影響はどのくらいあるのでしょうか?

普通に掛け算すると

まずは普通に掛け算してみましょう。毎年0.1%のコストですから、10年で1%、20年で2%。こんな計算になります。元本が100万円なら、1%の1万円、2%の2万円が純粋にコストとして減ってしまいます。

 

しかし話はもっと複雑です。まずは元本が複利の効果で増加していくので、年数が経ったあとの0.1%は、最初の0.1%よりも額が増加しているからです。6%で運用すると20年で約3.2倍に増えますが、それは信託報酬の0.1%も3.2倍に増加していることを意味しています。

 

もう一つは、この0.1%を支払わなければ得られたであろう複利の増加分です。いわば毎年0.1%を積み立てて複利運用した場合の増加額が、逸失利益となるわけです。期待リターン6%で考えると、約1.6倍が逸失利益になります。

0.1%のコスト増がもたらす追加コスト

上記の理屈から、期待リターンが大きいほど0.1%のコスト増がもたらす影響も大きくなります。では、どのくらいの追加コストが発生するのかを見てみましょう。

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まずは追加となるコストが元本の何パーセントに当たるかです。年数が増えるほど、投資の期待リターンが高いほど、追加コストが増えることが分かります。20年運用期待リターン4%の場合、元本の4%が追加のコストです。単純な掛け算では2%でしたから影響は2倍になることが分かります。

 

期待リターンが株式並の6%に上がると、20年運用の追加コストは6%に上がります。単純な掛け算の3倍ですね。

0.1%のコスト増がもたらす総リターンへの影響

今度は、0.1%のコスト増が総リターンにどのくらい影響するのかを見てみましょう。期待リターン6%の場合に、ベンチマークとなる投資結果と、年間運用コストが0.1%高い場合のリターンを比較してみます。

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線はあまり変わっていないように見えるかもしれません。黄色い「差」は、ベンチマークと+0.1%の比をしめしたものです。20年運用した場合、ベンチマークと1.9%の差が開いています。40年運用すると3.85%の違いがあります。

 

これは最初に単純に掛け算したのと近しい数字です。「0.1%コストが違うと、10年後の運用結果に、0.1 x 10の1%くらい、違いが出る」と考えておけばだいたい良さそうです。

0.1%のコスト増は期待リターンによってどう変わるか

では期待リターンが異なる場合は、どのように変わってくるでしょうか? 横軸に想定リターン、縦軸に0.1%のコスト差がもたらす追加コストをまとめました。

 

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これを見ると、利回りが変化しても、総リターンに占める追加コストの割合はほとんど変わらないのが分かります。先の、「0.1%コストが違うと、10年後の運用結果に、0.1 x 10の1%くらい、違いが出る」は、総リターンにあまり関係ないことが分かります。

 

ただし、利回りが大きいほど、わずかに追加コストの比率が下がることが分かります。

まとめ

信託報酬などの毎年のコストが0.1%増えると、10年で約1%、40年で約4%、最終リターンに差が出ることが分かりました。100万円を6%で投資すると、20年で約3.2倍に増えます。320万円です。その2%は6.4万円。1000万円の投資なら、64万円の違いということになります。

 

これを誤差と考えるか、大きな違いと考えるか。少なくとも、他の条件が同じなら、0.1%でもコストが安いものを探すことがいかに重要か分かります。