投資の試算をするときによく出てくるのが、「年7%で10年運用したら元本は何倍になるか?」という計算です。これはシンプルに「7% x 10 で、70%増える」とはならず、96%増えることになります。複利の力が働くからですね。
スマホの計算機があれば、「1.07^10」(1.07の10乗)を計算すればすぐに答えがでますが、これを暗算でやってしまう方法があります。それが「72の法則」と「115の法則」です。
72の法則
72の法則は、元本を2倍にするために必要な年数や利回りを暗算で出してくれます。
まず7%で運用して2倍になるのにどれだけの年数が必要か。これは「72 ÷ 7」で出ます。約10.3年ですね。1.07 ^ 10.3 は2.0074となり、ほぼ2倍になっていることが分かります。
逆に、5年で2倍にするにはどのくらいの利回りが必要でしょう。これは「72 ÷ 5」を計算します。だいたい14%(14.4%)くらいでしょうか。1.14 ^ 5 は1.92となり、やはりほぼ2倍になっています。
115の法則
今度は115の法則です。こちらは元本が3倍になるのに必要な年数や利回りを出す法則です。同じように、割り算すれば、3倍になるのに必要な年数や利回りが計算できます。
115の法則は114の法則とも呼ばれ、114で計算してもOKです。
2つの法則の組み合わせ
では、元本を4倍にする計算はどうすればいいでしょう? そう、72の法則を2回使います。100万円を7%で4倍にする年数を考えましょう。まず「72の法則」から10年で2場になることが分かります。そしてさらに10年でさらに2倍になります。つまり4倍ですね。10年が2回なので、20年で4倍になることが分かります。
6倍の場合は、72の法則と115の法則の組み合わせです。まず10年で2倍になります。そして、115を7で割って約16年で3倍になることが分かります。2倍になって3倍になるので6倍です。必要な年月は10年+16年で26年と分かります。
1.5倍になる年数は?
同じように、今度は1.5倍になる年数を計算してみます。これはちょっとトリッキーです。
まず、何倍にしたいかを2と3の組み合わせで表し、2の場合は72の法則、3の場合は115の法則から年数を出しました。それぞれの年数を足したのが、必要年数です。
今度は、2倍ではなく、2分の1になる年数を考えます。2倍になるのに10年でしたから、2分の1になるのに必要な年数はマイナス10年ですね。そして3倍になるのに必要な年数は16年です。1.5倍というのは、3倍の2分の1ですから、16年とマイナス10年を足せば答えが出るはずです。そう、6年。
実際、1.07 ^ 6 は1.5になります。
同じように、利回り3%の場合なら、2分の1になるのにマイナス24年、3倍になるのに38年ですから差し引き14年。1.03 ^ 14 は1.512とほぼ1.5倍になりました。同じように、10年で1.5倍になるために必要な利回りは、-7.2%と11.5%の組み合わせで4.3%と出ます。実際、1.52という計算になります。
誤差は当然ありますが、けっこう複雑な複利計算でも暗算で近似値になることが分かりました。
【投資暗算シリーズ その2のローン計算を暗算で行うを書きました】