「良い投資は退屈なもの」。こういったのは、かの有名な投資家であるジョージ・ソロスです。この言葉はシンプルでありながら、深い含蓄を含んでいるように思います。おそらく、投資リテラシーには3段階くらいあるのではないでしょうか。
『もし投資が楽しいもので、あなたも楽しんでいるようなら、おそらくあなたはお金を稼げていないだろう。良い投資とは退屈なものだよ。』
If investing is entertaining, if you’re having fun, you’re probably not making any money. Good investing is boring.
投資は勉強するほど失敗する
似た言葉に、「投資は勉強するほど失敗する」という言葉があります。最初の投資でビギナーズラックがあり、うまく利益を出した人ほど、その後、勉強を重ねるが、うまくいかない。こんな感じですね。
ここを乗り越えると、だんだん利益が出るようになります。グラフにすると、一回凹んで、そこから徐々に上がっていくような感じでしょうか。
投資の勉強というと、企業の財務を分析したり、経済情勢をチェックしたり、チャートを見てタイミングを見たり、といったことが思い浮かびます。ただし、これらに時間と意識を費やすと、必ず起こることがあります。投資、正確には売買がしたくなるのです。
なぜ楽しいと失敗するのか
なぜソロスは「楽しんでいるなら稼げていない」というのでしょうか。勉強して投資のことが分かってくると、それを実際の売買で試したくなります。しかし、売買を繰り返すことにはいくつかのデメリットがあります。
- 手数料がかさむ
- 累計期間で見たときの、市場に張っている期間(エクスポージャ)が小さくなる
もちろん投資スタイルはさまざまなので、短期売買でタイミングを測る方法がダメなわけではありません。ただし、ほぼ確実に言えるのは、バイ&ホールドの長期投資はつまらないということです。
悪いニュースが出たり、悪い決算があっても、気にせず持ち続ける。今回のコロナ禍のような経済の悪化があっても、気にせずホールド。これは、つまらないだけでなく、精神的な負担がたいへん大きなものです。逆に言えば、調べたことを元にして、買い!売り!という判断を行い、売買するほうが楽しいのです。
しかし、ソロスの格言は、その行為は待ち続ける投資に比べて儲からない、という趣旨のことを示しています。
これはバイ&ホールドに限った話ではありません。例えば、現金があったとして、これでいつ買うか。欲しいと思った時が買い時、という考え方もあります。少しでも市場に資金を置き、エクスポージャを維持するのは投資の基本です。一方で、今ではないと思うなら、無理に買わずにじっと待つというのも戦略です。今回もコロナ禍の底近辺の3月に買ったなら、まず間違いなく大きな利益が出ているはずです。
しかし、この現金を持って待ち続けるというのも、精神的にキツイうえに、楽しいものではないのです。
楽しくで効果のある投資の勉強とは?
ソロスの「良い投資は退屈なもの」という言葉は、個人的にはたいへんしっくりしてきます。メイン資産は触らず、定期的な買い増しを少しずつ行いつつ、大きな買い場を待ちます。大きな額ではありませんが、今回のコロナ禍では、毎月の買付額の40ヶ月分ほどを追加投資にあてることができました。逆にいえば、そこまでキャッシュのまま保持してきたということです。
さて、ではどんな投資の勉強ならば、悪影響なしにパフォーマンスを確実にアップさせられるのでしょうか。ぼくは、その1つは税制についての勉強ではないかと思っています。
税金の繰延はもちろん、合法的に節税する方法が、株式投資にもいろいろとあります。考えてみると、リターンのうち20%は税金でもっていかれるわけです。もし税金分をゼロにできれば、リターンを25%分上乗せできるわけです。
もう一つは優待クロスです。投資で利益を得るためには、実は投資用語とか取引所の仕組みなんてあまり知る必要はありません。インデックス投資信託を買って放って忘れていれば、いずれは大きく育っていくからです。それでも、勉強して、した分だけリターンを出したいなら、優待クロスは勉強しただけリターンを生み出してくれます。「板寄せ」も「受渡日」も、「信用取り引き」も「逆日歩」も、「ほふりの名義名寄」も、「現渡、現引」も、普通の投資には実はほとんど関係ない話ですが、優待クロスには必須。退屈しのぎにももってこいです。