FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

資産1億円で、FIREすべきかどうか

ブログの読者の方から、ご連絡をいただきました。投資を初めてまだ7年くらいということですが、資産は1億円超え。仕事は面白くないのでFIREを考えるものの、資産減少と「やりたいことがない」のが不安だそうです。さて、FIREすべきでしょうか?

読者からの問い

「ブログで扱ってもかまわない」ということでしたので、特定されるような点を除いて、連絡いただいた内容を載せるとこんな感じです。

突然の問い合わせにて失礼します。
少し私の状況を知っていただいて、ご意見などいただければ大変有難いです。

47歳、現在は手取り1000万円程度ですが、資産が1億円を超えています。
普通のサラリーマンですが、2015年あたりから投資を始めまして、
九条さんのような知識も無いまま、何かがうまくいって現在に至ります。


好きな仕事をしているわけでもなく、
ここ10年ほどは仕事も楽しいとおもったことがないです。
いつの間にかプレイヤーからマネージャーになって、毎日段取りやら根回し作業にうんざりしてます。可能な限り早く退職したいと思っています。

 

ただ不安もあります。
資産評価額がちょうど一年前と比して1000万円程度減少しています。
家賃車も会社負担の為1000万円の収入ほとんどを投資に突っ込んでいるので、2000万円ほどが無くなったことになります。

資産の8割近くが株式で、その怖さを知りました。


またこれが一番の問題なのですが、引退後やりたいことが無いのです。
好きな食べ物のお店で皿洗いのアルバイトでもしようか。。。くらいしか無いです。
趣味も無く、3連休以上となると、何をしていいかわからなくなります。
「50歳からの趣味」などの本も読み漁っているのですが、具体的な引退後の生活が描けず、この状態で会社を辞めて大丈夫なのか。。。と踏ん切りがつきません。

 

私がこれだけの資産を築いたことは妻だけが知っています。友人知人、親兄弟も知りません。妬まれることも怖いので言えません。(九条さんはどうしてますか?)


アドバイスをいただけると嬉しいです。

 

「いつの間にかプレイヤーからマネージャーになってうんざりしている」。いやはや、すっごく親近感がわきます。ぼく自身がそうでしたし、さっさと退職したいと思ったきっかけも同じでした。

 

2015年から投資を始めて、わずか7年程度で資産1億円超えというのは素晴らしいですね。7年前の2015年末から現在までの、円建てのS&P500の推移はこうなっています。コロナショックからの上昇が凄まじいことになっていますが、それでも+113.6%です。

投資前の貯金がどのくらいだったのかは存じ上げませんが、7年間で2倍というよりも大きな増え方をしたと思われます。相場状況がよい期間だったとはいえ、素晴らしい運用結果ですね。

1億円でFIREすべきか?

では本題の「資産1億円でFIREすべきか?」です。よくマネー誌などでは、「1億円じゃ足りない!」「FIRE失敗も?」なんて、金額で良し悪しを語っていますが、実際のところ、金額はあまり意味を持ちません。

 

少し前の記事ですが、最も重要なのは生活費です。そして資産が生活費の何倍あるかがポイントになります。結構前の記事でアップデートも必要ですが、資産を減少させずに、不労所得で生活するのであればざっくり生活費の31倍の資産が必要なイメージです。

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逆算すると、資産1億円なら322万しか生活費が使えない計算です。手取り年収が1000万円ということなので、もう少しコストのかかった生活をしているようにも思います。

 

また資産を取り崩す前提なら、もっと倍率は少なくてもOKです。これはトリニティスタディが参考になりそうです。それによると、残り60年なら4%の引き出しでも資産寿命は持つということです。ご相談者は47歳ということなので、残り60年を考えておけば十分でしょう。4%を引き出せるということは、年間400万円を生活費として使えるということです。

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もちろん、ぼくのように何か好きな仕事を続けるのもアリです。そうすれば、そこから多少の収入を得られますから、生活費に困ることはないと思います。

 

FIREしたら金輪際働いてはいけないなんてことはなくて、世間の評判に惑わされず、働きたければ働き、休みたければ休むというのが、今風な生き方のようにも思います。現在の仕事を辞めて人生が行き詰まった人というのは、ほとんど聞いたことがなく、どんな仕事でもなんとかなるものです。1億円あれば、資産が足りるかどうかはあまり気にする必要はないのではないでしょうか。

 

ただ、FIRE後もこれまでのようなリターンを想定して計画を建てると、いろいろ問題も起きると思います。この1年間で10%ほど資産が減少したということで、そのあたりが株式メインのポートフォリオの怖いところですね*1

引退後、やりたいことがない

そしてご本人が「一番の問題」と書いているとおり、やりたいことがないのがFIREに向けては最大の問題です。とはいえ、現在のお仕事も楽しくてやっているのではなく、惰性でやっているように見受けられます。やりたいことは、後から出てくる、というのも一つの考え方です。

 

周りのFIREした人から話を聞くと、

  • 不安なら、1カ月くらい休みを取ってみるといい
  • 完全に引退して、やることがなくて困ったことはない

という意見も聞きます。退職するつもりで、有給を使って1カ月休んでみるというのもありかもしれません。そこで自由を満喫できるようならいいし、毎日が詰まらなくて仕事がしたい!と感じるようなら、戻るのもありではないでしょうか。

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資産額を明かすかどうか

なお、自分の資産額を明かすかどうかは難しいものですね。ぼくは妻と親には一応伝えていますが、幸い、そんなことには関心がないようで、「ああそうですか」くらいの感じ。

 

逆に、友人や会社の人には当然話していません。TwitterなどのSNSでも資産額は非公開にしているのですが、逆にそのほうがすっごい富裕層に見られることが多いことも。

 

まぁ資産額なんて誰かに伝えていいことは何一つありません。ただの数字、例えば決算書に記載されている数字くらいに思って、分析の対象の一つくらいに思っていたほうがいい。世の中、スキルや才能、成したことにはリスペクトが向きますが、お金を持っていること自体は「すごい」なんて思ってくれる人は皆無なのですから。

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*1:僕も年初来、総資産は8.2%減少していますが、実は株式だけで見ると1.8%の減少にとどまっています。何が大きく資産を減らしたかというと、仮想通貨の大暴落によるものでした。