FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

アクアエナジーは転居で引き継げない

昨今の電気料金の高騰というのは主に燃料費調整額の上昇によるものでした。電気料金は、基本料金(固定)+従量料金(従量)+燃料費調整額(従量x係数変動)+再エネ賦課金(従量x係数)という構造で決まります。式を調整すると、

  • 基本料金+従量(従量係数+燃料費調整額+再エネ賦課金)

という構造です。そんな中、再生可能エネルギーから電力を調達することで燃料調整額がかからないという触れ込みでスタートしたのが「アクアエナジー100」でした。当時は、燃料調整額に上限のある「従量電灯B」プランよりも安くなり、裏技的なプランだったわけですが、実はすでに新規受付停止。今回、引っ越すにあたり、申し込んでみると……。

転居を東京電力エナジーパートナーに申し込む

今回転居するにあたり、Webから申し込みを行いました。このように利用頻度が高い機能についてはさすがにちゃんと作られているようで、スムーズに引越の設定が完了。ただ、最後に「新しいご使用場所のプラン」で困りました。あれ? アクアエナジー100がないぞ??

これは、転居を機に、割高なプランに誘導する東京電力のダークパターンなのかな? と思い、Webではなく電話で転居を依頼することにしました。規制プラン(燃料調整額に上限がある)である「従量電灯B」も選択することができず、従量電灯Bを申し込みたい場合はお電話で――とあったからです。

 

さっそく電話して「転居先でもアクアエナジー100を使いたいんですけど?」と聞きました。返ってきたのは「転居はいったん停止し、新たな場所で新規に始める」という扱いなので、アクアエナジー100は選択できません」ということでした。

 

そう、あまりに裏技のアクアエナジー100は、2023年末に新規申し込みを停止し、以来受け付けていないのです。

なんと、電力プランは人ではなく家に紐づくんですね。むむむ。いや、同じ家でも、契約者が変わったら電力プランも新規申し込みのし直しになるはずだから、人と家の両方に紐づくって感じでしょうか。ダークパターンを超えた、ダークコントラクトでした。

燃料調整額額は今やマイナス?

しかし改めてよく見ると、なんと今や燃料調整額はマイナスに突入しています。下記の通り、2022年末の5.13円をピークに燃料調整額は激減し、そこから2023年にはマイナス12円まで下がっています。

【2024年12月最新】各電力会社の電気代値上げ状況燃料費調整単価の推移や電気代高騰の仕組みをご紹介! | ソーラーメイトブログ

 

ではなぜ急にさがったのか。そこにはからくりがあって、国の電気料金激変緩和措置による補助金が燃料調整額に加えられているからです。うーん。ややこしい。では実質の燃料調整額は?というと、下記のようにこのところはけっこう安定しているようです。

下記のように2023年に入って燃料調整額が下がった(政府補助金が出た)のに、再び6月には電気料金は急騰します。その理由は、このタイミングで電力各社が値上げ申請を行ったからです。

我が家の電気代どこまで上がる 価格の仕組みイチから - 日本経済新聞

さらに、再エネ賦課金の上昇も続いています。直近は3.98円まで上昇していて、燃料調整額(補助金込)のマイナスを打ち消す勢いです。

さらに、2024年4月からはさらに電気料金は値上がりしました。新たに「託送料金相当額」というものが従量で課金されたからです。これは送電設備にかかる費用と取り出して追加で課金するもの。さらに賠償負担金相当額、廃炉円滑化負担金相当額、電源開発促進税も含まれています。これがなんと単価で9.44円。

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つまり、下記のような構造で電気代が決まるわけです。

  • アンペアで決まる基本料金+使用電力量✕(単価+燃料調整額+再エネ賦課金+託送料金相当額)

そして現在は燃料調整額はマイナスで、従量電灯B(燃料調整額に上限)やアクアエナジー(燃料調整額がゼロ)のメリットはうまい具合に打ち消されてしまい、ほかの部分に吸収されました。つまり、アクアエナジーを継続する強力なメリットは以前ほどなくなったということです。

どのプランが最もお得か?

というわけで、最新の情報を元に、どのプランが最も得かシミュレーションしてみました。再エネ賦課金や託送料金、燃料調整額は5月の数字を使っています。

なるほど400kWhまではスタンダードが最も安いのですが、そこを超えるとアクアエナジーが最安をキープ。燃料調整額がマイナスでも、強いアクアエナジー! がしかし400kWhまで定額のプレミアムプランが、400kWh超ではなかなか善戦しています。もし常に400kWhを超えるならこれもありかも。

 

なお、プレミアムプランは電力単価部分は定額ですが、再エネ賦課金や託送料金は従量でかかるので、ちょっとグラフが傾いている点には注意が必要かもしれません。

 

しかし、電力料金は携帯プランどころでなく複雑怪奇で、かついつの間にか勝手に改訂されて値上げされているという、まさにダークの極みだと思うのでした。

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