ぼくは法人を2社持っていますが、いずれも自宅住所で登記しています。今回、引越をしたので、法人についても「引越」が必要です。前回と少し違うのは、管轄外への引越だということ。何がちがってどう手続きが必要なのか。さっそく済ませてきたのでまとめておきます。
会社の引越=移転登記=変更登記
会社が引っ越した場合、どんな手続が必要かというと、法務局が管理する商業登記簿に掲載されている基礎情報の更新です。前回の記事のおさらいになりますが、登記簿には下記の要素が記載されていて、それが変更になる場合は変更登記が必要になります。
- 商号(会社名)
- 本店所在地(本店の住所)
- 設立年月日(設立登記を行った日付)
- 会社の目的(事業内容)
- 資本金の額
- 発行可能株式総数
- 役員の氏名
- 公示方法についての定め
今回も、引っ越しにともなって「本店所在地」と「役員の氏名(に含まれる役員住所)」が変更になるので、この2つを変更登記することになります。
管轄内と管轄外の違い
ちなみにこの商業登記簿は全国一括管理ではなく、各所の法務局の管轄ごとに管理されているようです。東京の場合、23個に別れていて、異なる法務局の管轄の場所に引っ越す場合、手続きがちょっと面倒になります。
ちなみに大体区ごとに管轄が別れているのですが、複数の区を管轄している法務局もあります。
- 東京法務局 本局(千代田区、中央区、文京区等)
- 東京法務局 墨田出張所(墨田区、江東区)
- 東京法務局 渋谷出張所(渋谷区、目黒区)
- 東京法務局 北出張所(北区、荒川区)
- 東京法務局 城北出張所(足立区、葛飾区)
神奈川県でも16に分かれています。ちなみに山梨県だと5つ、鳥取だと3個所に法務局がありますが、地方の場合、県単位の管轄になっている場合も多いようです。
では管轄外だと何が変わるのか。1つは定款に会社の住所が書いてあるので、そこを変更する必要があります。定款変更です。そしてもう一つが、新旧両方の法務局に書類を出さなければいけないことです。
14万円もかかるんかい!
前回は同じ管轄内での引っ越しだったので、変更登記を1つ行えば完了でした。ところが管轄をまたがる場合だと、旧管轄と新管轄の両方に変更登記を行う必要があります。2倍の書類と費用が必要になるわけです。住民票でいう、転出届と転入届のようなものです。
住民票では、転出はマイナポータルで可能になり役所に出向く必要がなくなりました。転出情報はシステム経由で転入先に届きます。同様に法人の変更登記では、旧管轄に新管轄分の書類も渡せば、裏側で勝手に連携してくれます。
ただし費用はちゃんとかかります。下記のようになっています。
- (旧管轄)転出のための住所変更登記 3万円
- (旧管轄)役員住所変更登記 1万円
- (新管轄)転入のための住所変更登記 3万円
ぼくの場合、これが2社あるので、7万円x2で14万円もかかりました!
書類の書き方
引っ越しにともなう変更登記ももう2回目なので、ある程度慣れたものです。こういう書類仕事は行政書士に頼んでしまう人も多いと思うのですが、けっこうな費用がかかります。GVA Techによると平均で4万7466円だそうで、これとは別に法務局に支払う費用もかかります。
2社だと10万!ただしこれ自分でやってしまえば無料だし、書類を作るのが不安ならGVA Techのサービスを使えば1.2万円で済みます。ただ自分でやっても全然むずかしいことはありません。頻度が少ないのでなかなか慣れませんが、正直確定申告のほうが10倍難しいです。
ポイントは、合同会社本店移転登記申請書に「登記すべき事項」という項目を書くのですが、ここに転出のための住所変更と役員住所変更をかけばOK。なお、代表者が自分で法務局に行く場合は委任状は不要でした。
旧管轄に提出する「本店移転登記申請書」の場合、過半数一致を証する書面や定款が必要ですが、新管轄に提出するほうは本店移転登記申請書だけでOK。
印鑑の届出書は不要になった
これまで移転登記を行うと、同時に印鑑届出書の提出も必要でした。要は法人の印鑑を再登録するわけです。
ところが、ちょうど昨日法務局のシステムがアップグレードし、旧管轄の印鑑情報をそのまま新管轄に引き継げるようになったそうです。つまり移転登記を行えば印鑑も勝手に移動するのです。これは便利。
ただし印鑑カードは別途発行してもらう必要があって「印鑑カード交付申請書」を提出する必要があります。これは新管轄に出すのですが、旧管轄に提出すれば移転登記の申請書と合わせて新管轄に回してもらえるようになっています。
午後で完了
というわけで、今日は午前中に転入届を出してマイナンバーカードを最新のものにし、その足で免許証の住所も変更。そのあと、この書類を書いて法務局に出向き、14万円払って印紙を買って貼り付けて、提出して終わりです。
正味30分くらいしかかかっていないので、理解できれば大したことはありません。思ったら即日書類提出できるので、司法書士に頼むよりも早いですね。ただ、ミスがあると面倒なことになるので、そこはちょっと注意でした。