FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

太陽光と不動産はどっちが出口が難しい?


よく「太陽光は出口が不安」と言われることがあります。ぼくは不動産も太陽光も所有していますが、果たして太陽光の出口はどのくらい難しいものなのでしょうか? 不動産と比較しながら、考えてみます。

そもそも出口って?

そもそも投資商品の「出口」って何でしょうか。ざっくり、売却して現金に換え、投資を終了させ利益を確定させることを一般に「出口」というようです。

 

上場株式であれば、市場で売却すればそれだけで現金になりますから、出口は簡単です。また、今売ればいくら位になるかも常に値がついているので、売却してみるまでいくらになるか分からないということもありません。

 

一方で、不動産や太陽光のような実物資産はちょっと違います。運営中にはキャッシュフローが入ってきますが、最後の最後、売却時に適切な価格で売れなければ、結局最後、全部合計すると赤字だった……なんてことにもなりかねません。

 

不動産や太陽光などのリアルアセットでいう「出口」とは、流動性が低く価格が不透明な商品であるがゆえの、売却価格の不安定さを指す言葉だと考えていいでしょう。

不動産の出口での失敗

太陽光の話の前に、不動産にはどんな出口があって、どんな失敗があるのかを見てみます。成功から大失敗まで、順番に並べると次のようになるのではないでしょうか。

  1. 購入価格を上回る価格で売却できた(所有期間中のCFもプラス)
  2. ほぼ購入価格で売却できた(所有期間中のCFもプラス)
  3. 購入価格は下回るがローン残債を超える価格で売却できた(キャピタルゲインがあった)(所有期間中のCFもプラス)
  4. ローン残債を下回る価格での売却だが、所有期間中のCFを合わせれば黒字
  5. ローン残債を下回る価格で、所有期間中のCFをあわせても赤字
  6. 二束三文や無料でも買い手が見つからない

不動産投資の場合、1〜3をイメージしながら出口を模索するわけですが、(4)はまだなんとかなったと言えるでしょう。(5)はいわゆる失敗ですが損切りができているだけマシで、(6)は固定資産税と管理責任をずっと負わなくては行けない大失敗です。

買い手がつかない物件とは

ではどんなときに(5)や(6)になるのでしょうか。不動産の価値は、土地+建物となっていて、土地に価値があれば二束三文えも買い手が見つからないということはありません。また建物に利用価値があれば、それに見合った価格がつきます。例えば建物の賃料で年間100万円の収益があがっていれば、キャップレート*18%の地域なら1250万円、キャップレート3%の場所なら3333万円の想定価値があることになります。

 

逆に、バブル期に建てられた過疎地のリゾートマンションみたいな、土地自体にほとんど価値がなく、建物の賃料などがゼロかマイナスの場合*2、これは価値がない不動産になってしまうわけです。

太陽光発電所の場合

ではこの理屈について太陽光発電所について見てみましょう。まず太陽光発電所が建つ場所は基本的に土地の価値がゼロに近い場所です。太陽光発電に利用できるから……という理由で、坪5000円とか坪1万円で売れるわけで、太陽光発電所が作れない場所ならそれこそ二束三文です。

 

ではその上にあるソーラーパネルなどを含めたシステムの価値はどうでしょうか。これもシンプルで、パワコン50kW弱、過積載のパネル100kWといったよくある構成で、年間約10万kWhくらい発電してくれます。FIT期間中はこれを18円/kWhとか24円/kWhとかの金額で買い取ってくれるわけですから、FIT18円なら年間売電売上は180万円くらいになるわけです。

 

さて太陽光の出口というのは、基本的に20年間のFIT期間が終了したあと、どうするかということを指しますね。FIT期間が終了してもパネルやパワコンが使えなくなるわけではなく、発電はし続けます。違うのは、買取価格が固定ではなく、市場連動の実需価格となることです。

 

それが現在いくらくらいかというと、だいたい7〜9円/kWhくらい。つまり先の年間10万kWh発電する発電所なら、70〜90万円くらいの売電売上となるわけです。今後、電力需要がなくなるということはありません。買い取り単価の増減はあり得ますが、半分とかにはならないだろうことは容易に想像できます。

 

では年間70万円の収益が出てくる物件はいくらで売れるか。少なくとも70万円で買う人はいるでしょう。1年で購入費が回収できて、同じ理由で売却も容易だからです。もし10%の利回りの投資として購入するなら、この発電所の価格は700万円。そういうことになります。

 

土地が無価値でも、太陽が照っている限り発電してくれ、電力需要がある限り、一定の価格で買い取ってもらえる。この特性が、太陽光発電の収益を安定させ、だからこそ買い手を見つけるのは難しくない=出口は容易だと考えられるわけです。

太陽光発電の出口リスク

ただもちろん出口にリスクがないわけではありません。その多くはFIT終了後も制度リスクです。

 

まずその地域で太陽光発電の発電量が多くなりすぎて、電力会社が買い取りを行わなくなる出力制御のリスクです。九州や四国などでは頻発していて、今のところ東京電力管内では発生していませんが、今後の情勢次第ではあり得ます。

 

ただこれは対策も可能です。蓄電池を増設すれば、出力制御が行われるような場合は電力をバッテリーに貯め、夜間に売却する。こんなコントロールも可能になります。蓄電池はまだ高いのですが、これは出力制御がどのくらいの頻度で行われるかとの兼ね合いになるでしょう。

 

地震など自然災害に遭うリスクもあります。残念なことに昨今のケーブル盗難多発のせいで、こうした事態に対する保険はのきなみ申し込み不可になってしまいました。災害リスクは敢えて取らざるを得ません。地震保険も、関東ではリスクが毎年増加しており、たいへんに保険料が上がっています。不動産でも保険料は大きく値上がりしていますが、入れないということはないのが太陽光との違いでしょうか。

 

本当に最後の最後、パネルなどの廃棄・リサイクル費用をどうするか? という問題もあります。ただし、経済産業省のほうで、廃棄費用を強制徴収する制度がスタートしているので、費用面の問題はあまりなさそう。ただ、太陽パネルの寿命は20〜30年と言われていて、FIT終了後にも継続して運用していくならパネルの載せ替えも考える必要があります。パワコンはFIT期間中の15年で保証が切れるので、普通は交換することを織り込んで計画しているでしょうから、パネルをどうするか? ですね。

 

一つ言えるのは、太陽光発電所の最大のリスクは、設置してみるまでどのくらいの発電量が出るか分からないことです。しかしFIT期間の発電実績がある場所なら、追加投資も安心して行えます。FIT期間中に比べて収益は半分程度になってしまいますが、パネル価格も性能も徐々に下がってきていますから、収益的にペイする可能性も高い。

 

つまり、一定の利回りで回ることがわかっていれば、買い手も見つかるということで、出口も分かりやすいということになるわけです。

 

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*1:想定利回りのようなもの。

*2:多少に賃料があっても、管理費が高いとか固定資産税を賄えない場合などにこうなります。