2019年10月に消費税が上がり、8%から10%になりました。前回ほど、駆け込み需要もなく、受け入れられたような感じですが、セミリタイア的に注目点は2つあります。軽減税率がどうなるのかと、今後も消費税は上がるのか?です。
欧州では消費税は20%前後 軽減税率は5〜10%
軽減税率という制度は、税制を複雑化させて徴税コストを増やし、高所得者に有利になります。さらに何が対象かどうかを巡って、不毛な議論が起こるでしょう。それでも、納税者の納得感を得やすいため、政治的な理由で今回導入されたというのがぼくの見立てです。
先行して軽減税率を導入している欧州では、消費税(VAT Standard Rate)は20%前後が多く、軽減税率(Reduced Rate)は5〜10%という感じです。一方の日本では、消費税は10%、軽減税率は8%ですね。
※VAT rates applied in the Member States of the European Union
このさきの流れを見ると、軽減税率は8%は据え置かれたまま、消費税自体が上がっていくというのがありそうなシナリオですね。20%〜25%というのもあり得そうです。現在から+10〜15%ということです。
消費税が上がったとき、生活費への影響は?
では消費税が上がり続けるとすれば、その生活への影響はどのくらいあるのでしょうか? 下記は、ぼくの直近の生活費(12ヶ月分)について、費目別の比率を出したものです。
中央の円は、それが「消費税対象」なのか「軽減税率対象」なのか「非課税」なのかを表しています。これを見ると、
- 消費税のフル対象は、生活費の50%
- 消費税非課税は、生活費の40%
だということが分かります。軽減税率対象の食費の中には外食分も含まれているので、すべてが消費増税の影響を受けないわけではありませんが、大きな構図としては、消費税が上がっても、影響を受けるのは約半分だということです。
持ち家と賃貸で変わるのか?
非課税のうち多くを占めるのは住宅費です。では持ち家の場合はどうでしょう? 当然消費税の増加が家計に影響する比率は増えますが、帰属家賃的に考えれば、将来払うべき家賃を先に住宅購入という形で消費税が安いときに支払った、ともいえます。
ただし持ち家を前提にしてリタイア後のシミュレーションをしているのであれば、そこは考慮しなくてはいけませんね。
消費税が1%上がると?
こう見ると消費増税のセミリタイアプランへの影響が計算できます。つまり、消費税が1%上がるごとに、家計支出が0.5%程度アップするということです。仮に消費税が15%上がって25%になった場合、家計支出が8%ほど増加することになります。
投資計画から考えると、資産から生活費を賄うのに必要な利回りが8%上昇します。4%の利回りで暮らせるように計画している場合は、4.32%が必要になります。生活費の13.8倍の資産で暮らせる、と計算していた場合は、必要資産が約15年分に増えることになります。
消費税の影響を抑えるためにできること
仮に消費税が15%上がって25%になっても、そこまでものすごい影響ではないことが分かります。しかし、無視できるほど小さいかというと、そうでもありません。では、どうやったら消費増税の影響を抑えることができるでしょうか?
1つは非課税取引の活用です。いわゆる個人間売買、フリマなどですね。個人間の売買には消費税がかかりません。つまり、メルカリなどで必要なものを買うようにすれば、消費税の影響を抑えることができます。
もう一つは個人輸入の活用です。海外通販サイトなどから購入すると個人輸入になりますが、これには消費税がかからないルールがあります。まず商品価格に0.6を掛けたものが課税価格。そして、課税価格が1万円以下の場合は免税です。1万円以下というと、スマホなどの高額電化製品は対象になりませんが、医薬品などはいける価格帯ですね。また、高額なものは海外で購入して日本に持ち込めば、20万円までは免税です。海外旅行が多い人は、ありかもしれません。
現在の10%という消費税では、非課税取引を使っても大差はありません。ただ今後消費税が上がるようなら、徐々にその意味合いは大きくなるでしょう。法人から購入するよりも非課税の個人間取引のほうが有利になる。そんな時代が近づいているのかもしれません。