FIRE:投資でセミリタイアする九条日記

FIREを実現したサラリーマン。ETF投資を中心に、太陽光投資や不動産投資、オプション、VIX、FX、CFDまで使って資産運用をしています。

分配金の多くを占める利益超過分配金 インフラファンドの検討(3)

市場全体の暴落によって、収益が安定しているインフラファンドの株価も大きく下落しました。結果、配当利回りは6%前後まで上昇しました。これまでインフラファンド自体のビジネスは大丈夫なのか各インフラファンドの違いはどこにあるかをチェックしてきました。今回は、実際の配当がどんな感じで得られるのかを確認していきます。

自力で成長できないインフラファンド 利益はほぼ配当金に

インフラファンドは、太陽光事業の収益をもとに、その利益のほとんどを分配金として株主に配当することで、法人税の支払いを免れる、パススルー課税の対象事業者です*1。通常は、利益から法人税を払い、残りを将来の事業成長のための内部留保と配当に分けるわけですが、ほぼ全部を配当として株主に還元します。

 

メリットは、法人税がないぶん二重課税にならないこと。デメリットは、内部留保がないので、事業を拡大するには増資するしかなく、株価の上昇は見込まれないということです。事業が安定している上に、株価が上がることもほぼありません。分配金がすべてというのがインフラファンドです。

 

その意味ではREITに近く、分配金利回りを普通の企業の配当利回りとは直接比較できないでしょう。また、空室率の変化や保有している物件の時価変化によって株価が変動するREITよりも、さらに安定しているといえるかもしれません。

利益超過分配金とは?

逆にいえば、安定しているFIT売上と相まって、配当金もたいへん安定しています。なんと2026年までの予想配当金を出しているファンドがあるほどです。まずは、各ファンドの過去の配当金推移と、今後の予想配当金を見てみましょう。

 

その前にチェックしておきたいのが「利益超過分配金」です。REITなどと同じく、会計上の利益の90%以上を分配するインフラファンドですが、分配金を見ると通常の分配金のほかに「利益超過分配金」というものがあります。利益からの分配金に上乗せされている分配金です。これはいったい何なのでしょう?

 

タカラレーベンのIRにそれを説明した図があります。

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インフラファンドの場合、保有している太陽光パネル設備を複数年(おそらく17年)で減価償却していきます。減価償却した分はコストとなり、会計上の利益を減らしますが、キャッシュフロー的には支出を伴わないため、キャッシュを生み出します。この減価償却によって生まれたキャッシュの一部を、分配金として払い戻すというのが利益超過分配金になります。

 

REITでも利益超過分配金はありますが、土地には減価償却がなく、また修繕のために積み立てる金額が大きいため、利益超過分配金を出すところと出さないところに分かれるようです。インフラファンドの場合、土地は二束三文、修繕コストもほとんどかからないため、減価償却費が大きくなり、ほぼすべてのインフラファンドが利益超過分配金を出しています。

 

さてさらにややこしいのは、この利益超過分配金にもパターンがあるということです。これを内部留保から支払う場合は「みなし配当」とされて課税は通常の分配金と同じですが、原資が内部留保ではなく出資金から支払う場合は「資本の払い戻し」となり、こちらは取得価格が小さくなるという処理が行われます。

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当該利益超過分配金の1口当たり328円は、「出資総額」を原資としており、「利益剰余金」 を原資とする通常の分配とは、税務上の取扱いが異なりますので(略)

 税法では、「資本の払戻し」は投資主の皆さまが保有する投資口の一部を譲渡したものとみなされるため、税法上これを「みなし譲渡」と呼んでいます。「みなし譲渡」について は、投資口の取得価額の調整(減額)が必要となるほか、「みなし譲渡損益」の計算が必要になります。

※タカラレーベンインフラファンド

 かなりややこしい話ですが、理解したポイントは下記になります。

  • 事業の利益とは別に、経営陣が分配金額を操作できる
  • 操作方法は、減価償却費から生まれたキャッシュの一部を分配する
  • 配当ではなく、みなし譲渡とみなされ、取得額が変更される手続きが自動的にされる(特定口座の場合)

利益超過分配金を出す意図としては、毎回の分配金額を安定させたいというところでしょう。太陽光発電の売上が安定しているといっても、天候も変われば台風も来ます。その変動を、内部留保からキャッシュを出すことでならすということです。

 

その原資は大きくなりがちな減価償却費ですが、そこからどのくらい分配するかは経営方針によって違います。

 

つまり、経営方針によっては利益レベルとは無関係に、意図的に配当利回りを大きくすることもできるというわけです。これがなかなかにインフラファンドの評価を難しくしているところですが、分配金のうち利益超過分配金が占める割合がどのくらいかを見ておくことは重要でしょう。

各ファンドの分配金推移と利益超過分配金比率

そこで、各ファンドの分配金の推移と合わせて、利益超過分配金の比率の推移もまとめてみました。

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タカラレーベンは資本からの利益超過分配金支払いも行っていますが、比較的その率は低めです。平均して10%といったところになります。

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いちごグリーンインフラは利益超過分配金の比率が50%前後になります。

本投資法人の財務状態に悪影響を及ぼさない範囲で、当該計算期間の減価償却費の40%に相当する金額を目途として、利益を超えた金銭の分配(出資の払戻し)を原則として毎計算期間継続的に実施する方針 

財務方針

としており、タカラレーベンと比べてキャッシュを積極的に株主に払い戻す方針なのが分かります。こちら、運営方針の違いが出るところです。

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日本再生可能エネルギーインフラ投資法人は、利益超過分配金についての情報開示がほとんどされていません。よくよく探せば見つかるのかもしれませんが、将来分配金予想については35〜40%のようですが、過去の値が見つかりませんでした。方針についても記載が見当たりません。

 

一方で、分配金の絶対額は安定しており、利益超過分配金でコントロールしていると想像されます。時間があったらIRに聞いてみようと思います。

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カナディアン・ソーラーの利益超過分配金比率は平均28%です。

本投資法人の借入債務返済後の減価償却費相当額を含むキャッシュフローを、再投資(投資対象資産の取得計画に沿った新規投資、運用資産の価値の維持・向上に向けて必要となる長期修繕計画及び資本的支出計画に沿った積立等)に対応するために妥当と考える範囲で内部留保することとし、基本的に、内部留保後の余剰資金から投資主に還元することを目標に掲げています。 

事業収支の特性

減価償却でうまれたキャッシュを、内部留保の範囲内で株主に還元するという方針です。ただしその比率はそこそこ上下しており、分配金は安定していることから恣意的にコントロールされているとも見えます。

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東京インフラ・エネルギー投資法人は、19年6月期の分配金は全額利益超過分配金だったようです。そして、19年12月期には、これまで「減価償却費の30%を上限」と定めていたものを、「分配金の減少が見込まれる場合、上限を60%に変更」という規定変更を行っています。どのレベル感で落ち着くのかは、もう少し見ないと分からないですね。

 

長くなったので、実際の配当利回りや分配月については、次回(4)でまとめたいと思います。

www.kuzyofire.com

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*1:正式には「投資法人の課税の特例」対象。パススルー課税はLLPが対象だが、これも実質的にはパススルー課税と同等。