FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

ビットコインとチューリップの違い

f:id:kuzyo:20211007111648p:plainビットコインが600万円を超え、4月に付けた過去最高値の700万円に近づいています。9月の中国による仮想通貨禁止の際には10%近く一気に下落して、再び暴落基調か? とも思われましたが、その後のFRBの「仮想通貨を禁止するつもりない」という発言の安心感から上昇しました。

 

さて、ビットコインでよく言われるのが、「これはバブルだ」ということ。バブルとしては、ビットコイン誕生の2008年からもう13年も続いているわけで、なかなかに息の長いバブルなわけですが、従来のバブルとの違いはなんでしょうか?

「こんな価値があるわけないだろ」と思われていた過去のバブル

過去のバブルで有名なのは、次のようなものがあります。

  • 1637年のチューリップバブル
  • 1720年の南海会社バブル
  • 1972年の日本不動産バブル
  • 1990年代のインターネットバブル
  • 2006年の米住宅バブル

これらのバブルで共通していると考えられるのは、その当時にあっても常識的に考えて、「この価格は高すぎるよね」と参加者が考えていたことでしょう。日本の不動産バブルの際には、「皇居の土地の値段でカリフォルニア州全土が買える」なんて言われました。米住宅バブルの際には、まったくお金を持っていないような人でもサブプライムローンを使って住宅を買えていたわけです。

ビットコインの価値

ではビットコインに代表される仮想通貨はどうか。「こんなものに価値はない」というのは、その当初から言われていました。国家権力の裏付けがない、納税に使えない、決済に使うには値動きと手数料が高すぎる、政府が規制したら滅びる……。もう、無価値である理由にはことかきません。

 

ではなぜ大きなボラティリティを保ちながらも、継続して価格が上昇し続けているのでしょうか。そこには、この技術の可能性を心から信じているテクノロジーギークの存在があるのではないかと考えています。

 

ビットコインの発明者であるサトシ・ナカモト自身が、そもそも現代の中央銀行を中心とした金融政策に不満をいだき、各国が自由に発行量を増やせる法定通貨に対するアンチテーゼとしてビットコインを生み出しました。

 

このアルゴリズムを信じ、国家を信じないという姿勢は、インターネットの可能性を信じるサイバーリバタリアンの考え方とたいへん親和性が高く、この思想的な部分が、多くの優秀な人たちを引きつけてきました。

サイバーリバタリアン

サイバーリバタリアンとは何でしょうか。レンセラー工科大学のラングドン・ウィナーによると、その特徴は3つあります。

  1. 技術的決定論
  2. 徹底的個人主義
  3. 自由市場経済

このうち、徹底的個人主義は、パターナリズム的な政府の介入を否定し個人は自由に意思決定できるべきだというリベラリズム的思想です。また、自由主義経済についても、税による富の再分配や政府による規制を嫌うというもの。この2つは、いわゆるリバタリアン思想です。

 

1の技術的決定論は、サイバーリバタリアンの特徴でしょう。ここでいう技術とは、特にコンピュータ登場以後の技術を指しており、これはもう止まらない進化であり、世界のあり方を根本から変えるものだというものです。

例えばアルヴィン・トフラーは、コンピュータや電気通信の発達を遂げた現在、人間は農業革命・産業革命に継ぐ第三の激変を迎えているという有名な説を提唱したが、サイバーリバタリアンはこの変動を「不可避な」変化、「抵抗不可能な」変化、「世界を変革するような」変化だと主張する。つまり、デジタル技術の変動は我々の直面すべき運命であり、このような変動を前に我々はもはや立ち止まることはできないのであって、むしろ新たなテクノロジーのもたらす要請に素早く反応することが要求されているというのである。

サイバーリバタリアニズム神話と共同体の展望 ランドン・ウィナー

これは今となっては別に突飛な考え方ではなく、旧来の政治がコンピュータ/インターネットテクノロジとどう向き合っていけば良いのか逡巡する中、気鋭の思想家はこれこそが21世紀の最大のテーマだと主張しています。

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仮想通貨がもたらす不可逆な変化

コンピュータ/インターネット技術が、人類の世界に不可逆な変化をもたらすと考えるサイバーリバタリアンにとって、仮想通貨はインターネットに続く大きな変化です。

 

コンピュータはAI化の進展で適用範囲が根本的に拡大し、肉体労働だけでなく頭脳労働についても人間を代替しようとしています。インターネットはコミュニケーションを根本的に変革し、エンターテインメント、ビジネスの領域で、移動を伴わない世界を実現しました。

 

いま仮想通貨が取り組んでいるのは、マネー、そして金融といった経済において最も重要な領域の不可逆な変化です。証券はトークン化されコンピュータが扱えるようになり、マネーはブロックチェーンに乗ることで国や銀行などの機関の信用に依存せずに流通が可能になりました。そして、エルサルバドルなどの小規模国家においては、中央銀行の代わりをビットコインが務め始めています。

 

仮想通貨自体が取り引きされ値がついているために、「バブルだ」などと言われますが、仮想通貨は世界の変革を徐々に進めつつあります。インターネットが登場したときに、「インターネットは過大評価されている」と言った人がいたでしょうか? いたかもしれませんが、今となってみれば、彼が間違っていたのはみんな同意するでしょう。

ビットコインは仮想通貨の王なのか

ブロックチェーン技術の有用性は同意する。ただし、だからといってビットコインが普及するとは思えない——。そんなふうな話もよく聞きます。ただし考えなくてはいけないのは、マネーにせよプラットフォームにせよ、そこには強いネットワーク効果があるということです。

 

ネットワーク効果とはネットワーク外部性ともいわれ、利用する人が増えれば増えるほどその価値が高まることを指します。代表例として挙げられるのが電話で、電話は1人で持っていても何の価値もありませんが、周りに電話を持っている人が増えれば増えるほど価値が高まっていき、その価値の高さからますます普及が進むという構造を持っています。昨今だとSNSなども良い例です。

 

仮想通貨は、単に取引所で売買するだけならば仮想的なギャンブルの対象でしかありませんが、その本質は誰でも簡単にウォレットを作成し、簡単に送金できることにあります。スピードが遅い、手数料が高いというのは技術的な課題でしかなく、例えばビットコインの上で動くライトニング・ネットワークを使えば、手数料はほぼゼロで、ほぼ瞬時の送金が可能です。

 

こう考えたときに、大きなシェアを持ち、多くの人が保有する仮想通貨ほど、その価値が高まることが分かります。確かに、新興通貨が新技術を積み込んで登場し、一部のシェアを奪いますが、新技術は遠からずビットコインやイーサリアムといったメジャーな仮想通貨にも実装されていきます。仮想通貨においてはユーザー数が非常に重要な意味を持つわけです。

 

またセキュリティも根本的な重要性をもちます。幸いなことに、ビットコインは誕生から13年間、数多のハッキングを受けながら、その根本であるブロックチェーンに問題が起きたことはありません。盗まれることもなければ、送金がストップしてしまうこともなく、安定して動き続けているのです。

 

これまでのハッキング事件のほとんどは、取引所が保有する秘密鍵の流出によるもので、秘密鍵をしっかり管理している限り、非常に安全な資産だというのがビットコインの特徴です。イーサリアムについては、これをプラットフォームとしてプログラムが動作することが特徴であるため、プログラム(スマートコントラクト)のバグを突いたハッキングがたびたび発生しています。おそらくこれをゼロにすることは不可能ですが、大量のハッカーがDeFiなどのサービスにアタックをかけて、それでもほとんど破られていないことは、1つの実績でしょう。

クリティカルマスを超えつつあるか

テックギークから始まった仮想通貨は、一般投資家に広がり、そして企業が参加し、機関投資家が入ってきて、9月にはついに国家も参入しました。ビットコイン誕生から10年少々。各種調査によると、世界の仮想通貨保有率はだいたい人口の10%だといいます。

 

先のネットワーク効果は、使う人が多いほど価値が増すことでさらに普及が加速することが知られていますが、その普及速度はしばしばS字カーブと呼ばれます。そして「新技術が0%の普及率から10%に到達するまでにかかる時間は、10%から90%に到達するまでの時間と同じだ」(投資会社オフ・ザ・チェイン・キャピタル(Off The Chain Capital)の創業者であるブライアン・エスティス氏)というのです。

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「仮想通貨ビットコインの普及率は2030年に90%」パソコンやインターネット、車と同じS字カーブに | Cointelegraph | コインテレグラフ ジャパン

 

つまり、過去10年間で仮想通貨は世界の10%に浸透し、いままさに同じ時間をかけて普及率90%まで急拡大する入り口にあるといっています。2030年には、個人も企業も普通に仮想通貨を使っているだろう、ということです。

 

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