2月3日の米株式市場で、Meta(旧Facebook)が凄まじい急落となりました。株価は一時、27%安となり、ブルームバーグは「史上かつてない急落」と評しました。失われた金額は時価総額にして2300億ドル。これはさすがにスゴイ落ちっぷりです。
GAFAMの株価
今回の決算前後の株価の動きを、GAFAMそれぞれ見てみましょう。
- Google +10%
- Amazon +18%
- Meta ▲27%
- Apple +7%
- Microsoft +6%
どこからどこというきっちりした動きではなく、ざっくりとしたものなので、詳細比較には向きません。ただし、全般に好調だったGAFAMの中で、Metaだけがメタメタにダメだったということです。
メタのどこがダメだったのか?
ではメタの決算のどこがダメだったのでしょうか。下記は4半期売上高の推移です。21年Q4は、33.761Bドル。日本円にして3兆8700億円あまり。対前年同期比の伸びは、20%です。
絶好調?と思うでしょうか。いや、メタはその成長率が強みであり、20%の成長というのはけっこう鈍化なのです。Q3までの売上高と、対前年成長率のグラフがこちら。Q3は成長率35%で、その前は55.6%。それに比べると、20%は相当低いのです。
さらに、翌1-3月の売上高は270億ー290億ドルの見通しを明らかにしました。これは対前年比成長率は3−10%。あまりの低成長です。これに市場が反応した形です。
そしてFacebookの命ともいえるユーザー数の伸びも鈍化しました。DAUは前四半期から横ばいの1929Mユーザー。MAUは2912Mユーザーで、これはそれぞれアナリスト予想も下回りました。
確かに、広告面ではiPhoneのトラッキング防止機能が逆風ですし、メディアとしてはTikTokに攻め込まれています。InstargramのTikTokコピー機能「リール」は人気のようですが、こちらは収益化が難しいとされています。さらに、プライバシー関連で政府とも対立しており、課題だらけという感じです。
メタは厳しいのか?
この急落は、ハイテクグロース株特有の現象でしょう。高成長企業の成長が止まったとき、それはこれまで織り込まれていた将来収益分が剥がれ落ちることを意味します。株価は逆回転するのです。
ただし、それは現在利益をまだ出していない企業だったり、収益に対する株価が非常に高い、高PER企業の場合です。PERが普通の企業並みになることで、株価が下落するのです。
では、メタのPERはどのくらいでしょうか? メタがPER50倍とか60倍だったのはもうかなり昔。ここ数年はEPRは20−30倍で推移してきました。そして、今回の株価急落で、PERはなんと16.98倍に。
ちなみに主要企業のPERはこんな感じです。
- Apple 30.73倍
- Google 28.54倍
- Amazon 54.26倍
- Microsoft 33.7倍
- Meta 16.98倍
さて、これをどう見るか。 今度は直近の成長率を見てみます。
- Apple 28.8%
- Google 14%
- Amazon 15.3%
- Microsoft 20.1%
- Meta 20%
いやはや。投資家は本当にMetaに弱気です。成長が減速してきているとはいえPER17倍は、現在の米市場の平均PER25倍を大きく下回ります。歴史的な平均値16倍と比べても、高いとはいえません。
まぁSNS&広告というビジネスモデルはうつろいやすく、決して強固なビジネス基盤とはいえません。またSNSのユーザー成長が止まりつつあるのもネガティブです。そして、プライバシー問題は根本的な解決には至っておらず、特に米国においては悪企業と見られているっぽい。
そして、こうした状況を打開しようと注力するメタバース事業についても、「海のものとも山のものとも分からない事業に大規模投資」と書かれてしまう状況なわけです。
でも、だからこそぼくはメタを推します。GAFAMの中で唯一創業社長が健在で、かつ新事業に突き進もうとしていること。相対的にバリュエーションが低く、下落余地が小さいことが理由。といっても、これまでもえ?ここまで落ちるの?というくらいの落ち方をしたわけですけど。