3月の優待クロスが終わり、6月までは閑散期です。あと2カ月程度、資金をどう運用しようか? と考えた時に、非常にリターンが大きいのがステーブルコインのレンディングです。主要どころの状況と、方法を計算してみました。
ステーブルコインのレンディングとは?
まずはステーブルコインのレンディングの概要から。仮想通貨の中には、法定通貨と価値が連動する設計のものがあります。これをステーブルコインといい、その多くは米ドルと連動しています。
仮想通貨を預けると金利がもらえるのがレンディングですが、実は現在全般に高金利をもらえるのはステーブルコインなのです。つまり、価値の変動を基本的に気にすることなく、高金利を得られる状況にあります。
Bitcoinなどの仮想通貨は価格変動リスクが大きいわけですが、ステーブルコインなら預け先の倒産/詐欺リスク、仮想通貨自体の崩壊リスクくらいが気になるくらい。実質的にとても安定してリターンを得られます。
BlockFi
メジャーどころの1つ、BlockFi。ぼくも現在USDTとUSDCでレンディング中です。金利は2万ドル≒250万円までは7.25%。
- 0-$20,000 7.25%
- $20,000-$5,000,000 6%
- >$5,000,000 4.5%
NEXO
こちらもメジャーなNEXO。ぼくは保有しているクリプトの多くをここでレンディング中です。預け入れ金額によって金利は変動せず、ロイヤリティレベルによって変化します。ロイヤリティレベルは、保有するNEXOトークンの量で決まり、Silverは1%以上、Goldは5%以上です。
- BASE: 8% →8%
- Silver: 8.25%+NEXO0.25% →8.5%
- Gold:9%+NEXO1% →10%
- Platinum: 10%+NEXO2% →12%
ロック期間によるボーナスがないので、そのまま保有していればOK。またNEXOトークンはロイヤリティレベルによらず金利7%なので、NEXOトークンで受け取らず、ステーブルコインで受け取っていいように思います。
FTXアプリ
FTXに買収された旧BlockFolioアプリのレンディング。WebUIがなく、アプリからのやりとりだけになります。こちらはステーブルコインに限らず、どんな仮想通貨でも1万ドルまで8%という設計。BTCとかを預けるなら8%は貴重ですが、ステーブルコインならば他のほうがいいかも。
- 0-$10,000 8%
- >$1,0000 5%
レンディングの手順とコスト
それでは実践編を。ステーブルコインのレンディングの流れは、ざっくり下記のようになります。
- 国内取引所で円で仮想通貨(BTCとかETHとか)を購入
- 海外取引所(Binanceとか)へ送金
- 海外取引所(Binanceとか)でステーブルコイン(USDT、USDCとか)を購入
- レンディングサービスへ送金
- レンディング実行
- 海外取引所(Binanceとか)に出金
- 海外取引所(Binanceとか)にて売却し仮想通貨(BTCとかETHとか)替える
- 国内取引所に送金
- 国内取引所で売却して円に替える
このとき、それぞれでコストがかかります。
- 仮想通貨売買手数料/スプレッド
- 送金手数料(GMOコインなどは無料)
- 売買手数料(Binanceなら0.1%※BNB支払いなら0.05%)
- 10ドル(Binance、Ethereamネットワーク利用の場合)
- なし
- 基本的に無料
- 売買手数料(Binanceなら0.1%※BNB支払いなら0.05%)
- 0.0002BTC(≒1033円)/0.0016ETH(≒613円)/0.25XRP(≒23円)/0.01QTUM(<1)
- 仮想通貨売買手数料/スプレッド
合計すると、下記のコストです。
- 固定コスト:10ドル
- 変動コスト:0.05%x2
金利8%で運用した場合、0.02%/日の金利が得られるので、5日運用すればBinanceでの手数料0.1%はカバーできることになります。ただし、ステーブルコインを直接円に替えられるわけではなく、中間コインを経由し、かつタイムラグもあるので、売買の際のレートによって損失を被る可能性があります。
例えば国内取引所にGMOコインを使った場合、買い注文と売り注文に0.05%くらいの幅があります。手数料とは別に、このくらいの流動性リスクは発生するということです。
為替ヘッジ
ステーブルコインのレンディングは法定通貨にペッグするので、ボラティリティがほぼゼロの運用になりますが、日本人から見るとドルを保有するリスクを取っていることになります。では、為替をヘッジしてはどうか?
これはFXを利用します。例えば1万ドル分のステーブルコインをレンディングするなら、FXで1万ドルをショートします。これによって、ドル円が上がっても下がっても相殺される形です。
FXによるヘッジコストは、売買スプレッドとスワップポイント。例えばDMM FXの場合売買スプレッドは0.2円、スワップは−21円です。1万ドルあたりだと、スプレッド20円、往復で40円と超低コスト。スワップは-21円なので、年率換算で0.6%程度。スワップは頻繁に変動しますが、コロナ前に比べればかなり小さいですね。
ちなみに1カ月あたりならスワップコストは0.05%程度まで下がります。ステーブルコイン運用の3日分といった感じでしょうか。
1つ気にしなくてはいけないのは、ヘッジコスト自体はそれほど高くなくても、FXでのショートに証拠金が必要になるため、資金全体の利回りはその分悪化するということです。証拠金維持率300%くらいを目安にするなら12%分くらいの証拠金が必要ですし、500%なら20%の証拠金が必要です。1万通貨分なら、16万〜26万円くらいの円が拘束されるイメージです。
実際の手法
さて実際の手法をイメージしてみます。利回り的によいのはやはりNEXO。ぼくはSilverランクなので、ステーブルコインをそのまま運用しても8.25%の利回りです。仮想通貨取引所はGMOコインを利用して出金手数料を抑えます。海外取引所はBinance。レンディング後の国内送金は、流動性があって手数料が安い仮想通貨としてXRPあたりが良さそうです。FXでの為替ヘッジはやっぱりDMM FXでしょうか。
売買コストが0.1%、ヘッジコストが0.05%。1カ月の金利が0.68%なので、差し引きざっくり0.53%のリターンが1カ月で得られるイメージです。売買時の価格変動も見て、0.5%といところでしょうか。100万円で5000円/月、1000万円で5万円/月。
0.53%のリターンというのは、そこそこの優待クロスで得られるリターンに近い。ただ、4月5月はぜんぜんこのレベルの優待がないので、十分にあり得る感じではあります。さてどうしようかな♪