楽天モバイルが7月から「0円廃止」を行います。これの是非はこちらの記事で書きましたが、ユーザーとしてはではどうするかを考えなくてはなりません。そもそも楽天モバイルをなぜ0円で利用していたかというと、「かけ放題の楽天LINK」を無料で利用できることと、楽天SPUアップくらい。これの代替を探せばいいわけです。
楽天SPUの損益分岐点は3万5934円
まず0円が廃止され1078円が最低料金となる代わりに、楽天SPUが上昇します。従来から、「楽天モバイル利用で+1倍」はありましたが、それに加えて「楽天回線利用で+1倍」「ダイヤモンド会員なら+1倍」が6/1から始まります。
つまり、これまでに加えて+2%となるわけです。ここから、1078円の支払いを取り戻すための損益分岐点を考えてみましょう。一見すると、+2%なので月間10万円が損益分岐になりそうですが、実際は「楽天モバイル利用で+1倍」も考慮に入れる必要があります。
つまり、6月以降、
- 楽天モバイル不使用 +0倍
- 楽天モバイル利用 +3倍
という違いになります。割り算すると、損益分岐点は月間3万5934円です。ここで得た楽天ポイントを、楽天モバイルの支払いに使えるので、まさにこれが分岐点となります。
かけ放題を安くする選択肢
次に、楽天LINKに代わる通話料定額にはどんな選択肢があるでしょうか。ここでは、メイン回線をIIJmioと仮定して、サブ回線にできる限り低コストな回線を使って通話料定額を実現してみます。
povo
まず候補に上がるのがKDDIのpovoです。基本料が無料なので、代替にはピッタリ。そこにかけ放題のオプションを追加する形です。メニューは次のようになっています。
- 5分以内かけ放題 550円/月
- かけ放題 1650円/月
つまり、かけ放題の長さに応じて、550円/1650円という設定です。これが一つのベンチマークになります。
povoの良い点としては、下記があります。
- au回線なのでIIJmioのドコモ回線が厳しい場合、データ容量を買うことでエリアカバーを広げられる
- プレフィックス番号やインターネット電話ではないので回線品質が良い。auのVoLTEも利用できる
みおふぉんダイヤル
別にサブ回線を用意しなくても、メインのIIJmioに通話定額を組み合わせるという手もあります。ちょうど、IIJmioでは通話アプリ「みおふぉんダイヤル」の通話定額プランのキャンペーンをやっていて、5月31日までの申込みなら、下記のようになります。
- 5分以内かけ放題 500円/月 キャンペーン 90円 13か月間
- 10分以内かけ放題 700円/月 キャンペーン 290円 13か月間
- かけ放題 1400円/月 キャンペーン 990円 13か月
「5分かけ放題」で500円というのは月並ですが、13カ月間は90円というのはお得です。キャンペーン期間中はそれぞれ410円割り引かれる形で、それが終了すると通常料金。それでも特段高いわけではありません。
ただしみおふぉんダイヤルには留意点が2つあります。
- プレフィックス番号を付けるタイプなので、専用アプリを使うかプレフィックスを付けて番号登録しなくてはならない
- VoLTEには対応していない
HISモバイル
次の選択肢はHISモバイルです。こちらは日本通信をMVNEとしてサービスしているNVNOで、日本通信がドコモとバチバチやった結果、音声通話についてかなり良好な条件を引き出しているのが特徴です。下記のように基本料こそ290円(100MB未満)かかりますが5分かけ放題付きでも+500円。つまり790円で利用できます。
- 基本料290円
- 5分以内かけ放題 500円/月
- かけ放題 1480円/月
HISモバイルの良い点は、povoと近く、ネイティブ回線なのでドコモ相手ならVoLTEが使え、かつプレフィクスや専用アプリが不要なことです。つまり、かかってきた電話にそのまま折り返せる。これは意外と大きなメリットなんですよね。
ただしHISモバイルの最大の問題点はeSIM非対応なこと。つまり、IIJmioごと乗り換える必要があります。これは残念ながら選択肢としてないかな?という感じです。
LINEMOミニプラン
もう一つがLINEMOのミニプランです。3GB/990円、5分かけ放題550円という、これだけ見ると楽天モバイルよりも劣った内容ですが、楽天改悪に連動してキャンペーン中。
- 6ヶ月間基本料分をポイント還元
- 5分かけ放題1年間無料
これはこれは。まさに0円で5分かけ放題と、まさに楽天モバイルの代替を狙ったプランです。さらに、eSIMも用意されており、VoLTEも利用可能。サブ回線としてもバッチリです。
還元ポイントはPayPayポイントですが、LINEMO支払いはPayPayポイントで可能なので、実質完全無料といったところ。
楽天モバイル
最後の選択肢が楽天モバイルです。
- 基本料1078円
- かけ放題 0円/月
上述の通り、継続すればSPU+3%なので、月間3万6000円楽天で買い物をすれば基本料は取り返せます。他よりよいのは、「5分かけ放題」ではなく完全かけ放題といったところ。その代わり、専用アプリ利用だとか音質が悪いとか、難点もあります。
各プランのコスト曲線
では、各プランのコストがどのくらいかグラフ化してみます。前提は下記の通りです。
- 楽天モバイルは11月から有料化、そこまで楽天モバイルを使い続け、各プランは11月からスタート
- IIJのみキャンペーンは5月中なので5月から開始
こう見ると、永続的にコストが安いのはIIJとpovo。ただし、プリフィクスのIIJよりもネイティブ回線のpovoのほうが使い勝手は上でしょう。キャンペーンを考慮すると、やはりLINEMOの安さが光りますが、キャンペーン終了の7ヶ月目からは高コストに。
ではこのコストを積み上げで見てみます。やはりキャンペーン期間中のLINEMOの強さが光ります。また、トータルで見るとIIJがいい感じですね。
どうするか?
ではどうするかの現時点の結論です。長期を見据えて低コストで行くなら、IIJmioの5分定額が良さそうです。ただし、これは専用アプリプリフィクスでありVoLTEが使えないという欠点もあります。
そこで想定したのが、下記のリレー方式です。
- 〜10月末 楽天モバイル
- 11月〜4月末 LINEMO
- 5月〜 povo
LINEMOが11月の時点でもキャンペーンをやっているかは賭けですが、楽天モバイルからこぼれた需要を取り込むという狙いなら、途中でやめることはないと踏みました。またpovoは定常サービスでこの値段なので、改悪がない限り行けるはず。このリレー方式の累計コストは次のようになりました。
最終的にはIIJよりも高くなってしまうという嫌いはありますが、ネイティブ回線でVoLTEというメリットもあります。LINEMOとpovoは契約時の事務手数料がかからず、さらに解約時も手数料が発生しません。このようにリレーして乗り換えても、手間だけで追加コストがかからないのはいいことです。
10月末まで状況を見ることで、他社からさらに優れたプランが登場する可能性もあります。というわけで、現時点ではこのリレー方式で行こうと考えています。