FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

紹介した投資が失敗したら責任を感じるのか?

ビジネスとしてではなく、友人にお勧めの投資法をレクチャーした場合、もしそれが失敗したら責任を感じますか? さらには責任を取りますか? 最近、こんなことを考えさせる出来事がありました。

株式は絶賛下落中

昨日、久しぶりに後輩と話していたら、「九条さんに勧められて世界株式インデックスに投資したんですが、すごい損失が出ていて! 私、他の人にも『九条さんお勧めだよ』って、いろいろな人に勧めたんですよ」と言われました。

 

これ、投資口座が401kだったので、定期預金よりはぜんぜんいいと思って勧めたのですが、この1年だけ見ると裏目に出てしまいました。

 

確かに株式インデックスは下落基調。そしてぼくがそれをお勧めしたのは、確か1年くらい前なので、まさに天井を付けたタイミングで買い付けたことになります。ドル建てで見ると、そこからS&P500は20%近く下落。円安で多少カバーされているとはいえ、儲かるはずの投資が損失となったとあっては、「言われたとおりにしたのに!」と思うものですね。

一応、「いや、株式インデックスは上下するものだから。そもそも40年近く先の老後資金としての運用だって言ってたでしょ? ならばいまは継続的に買い付けるべきタイミングで、損失が出ているというより、安く買えることがラッキーだと思わないと……」などと言ったわけですが、よくよく考えると、すごく言い訳じみていますね。

責任を感じるべきところかどうか

さて、このアドバイスに対して僕は特段対価をもらったわけではありません。コーヒー一杯ももらっていません。さらに、買付先とも関係がありません。この世界株インデックスの購入で、僕に手数料が入ってくるといったことも全くありません。完全に、後輩の悩みに対して、投資の先輩としてのアドバイスを良かれと思ってしただけです。

 

でも、それが結果として裏目に出れば、やはり恨まれるものです。いや、本当に恨まれているわけではないでしょう。まぁそういうものだよね、くらいには感じているはずです。

 

でも、「九条さんの言うとおりにしたら損を出した」という気持ちは明らかにあります。ある意味、良かれと思ったアドバイスが逆効果になったわけです。

 

これまで、インフルエンサのアドバイスどおりに売買して「損した!」という人を、冷ややかな目で見ていました。いや、人のアドバイス通りにやってうまくいくようなものじゃないよ? と思っていたからです。

 

インフルエンサにしても、そのアドバイスで手数料が入ってくるような商品を勧めているのならともかく、アフィリエイト報酬さえ入ってこないようなものを勧めてうまくいかなかったからといって、逆恨みされるのはある意味可愛そう……と思ったものです。

 

でも、今回後輩にこんなふうに言われたことで、ちょっとその気持が分かったのでした。

『虚像の巨匠』

実は同じ違和感と納得感を、最近読んだ『虚像の巨匠』でも感じたものです。こちらスゴ腕投資家のJACKさんが東条駿介名でしたためた小説です。献本いただき、楽しく読ませていただきました。

トレーダーの邦夫はあるとき、カリスマ投資家和泉沢に出会い、そのサロンからの情報で大儲けします。その後、夜の街で働く貴子に和泉沢を紹介。貴子は和泉沢を信じて巨額のお金を預けるのですが、和泉沢の運用は一転不調に陥り、3人は大変なことになっていきます。

 

さて、この中で、邦夫は貴子に和泉沢を紹介したことをすごく気にしています。邦夫は投資を勧めたわけではなく、貴子に請われて紹介しただけで、投資を決めたのは貴子の意思です。でも、その投資の失敗で、邦夫は強い責任感を感じ、損失補てんまでし始めるのです。

 

最初読んだときは、そんな情報を渡しただけで責任を感じて損失補てんだなんて、やりすぎじゃないか? とも思ったものです。でも、自分が何気なく勧めた投資法で、友人が損失を被ったとなると、やっぱり後ろめたさを感じてしまうのも事実です。なるほど、お金が絡む話は本当に難しいものだと感じたものです。

善意でのアドバイスはしないほうがいいかも

今回の出来事と『虚像の巨匠』を読んで思ったのは、覚悟のないアドバイスは、善意のものでも控えたほうがいいかもな……ということです。本当に善意で、同じ手法で自分も同じように損失を被っていても、相手の信頼を裏切る結果になってしまいます。

 

これがアドバイスの対価をもらっていたり、アフィリエイトなどの販売手数料をもらっている商品を勧めているのなら、まだ諦めもつきます。多少こちらにも責任あるかもね、くらいに感じるからです。つまり覚悟があるわけです。

 

また人と人としての信頼関係があるのが問題です。例え相手のことを尊敬していても、「バフェットの言うとおりに投資したら損した!恨むぜ」とは思わないものです。「孫さんが投資したとおりに投資したら損した!こいつのことはもう信じない」とも思いません。

 

ある種、個人的に知っている人かどうか、相手を一人の人間として見ているかどうかが重要なのでしょう。例えば、孫さんから個人的に「九条くん、この会社の株を買おうと思うんだ。ぜひ買ったほうがいいよ」なんて、もしも言われたら、買って損を出したときに「騙された!!」という思いは強く感じるはずだからです。

 

こんなふうに考えると、人と人としての関係の場合に、銘柄推奨も手法のお勧めも、相場観も、経済動向の見通しも、あんまりやるものじゃないのかもなぁなんて思ったりもしちゃいます。難しいものです。

 

↓これが家族だとさらに難しいものです。

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↓でも自分自身は背中を押してくれるアドバイスって損しても大事だな、と思うことが多いです。

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