今年は年末年始に旅行に出かけていて、落ち着いてブログが書けるのも今日が初めて。改めまして、あけましておめでとうございます。では2023年の投資方針について、考えてみます。
2023年の経済状況
まず前提としての相場観から。まず、22年に相場を振り回した米国のインフレと為替から。下記のように6月の9.1%をピークとして下落傾向にあります。1月12日にも12月のCPI発表が予定されていますが、市場の予想は6.5%とさらなる下落。これに対して実際がどうかで、株価も為替も揺れ動く展開でしょう。
直近の状況はこうですが、要するにインフレはピークアウトしました。これからCPIの発表の都度、予想に対する上振れ下振れでバタバタすると思いますが、基本的にはインフレは沈静化に向かい、FRBの利上げも減速します。
FF金利は現在4.5%。2月2日の会合での利上げは0.5%に減速するという味方が大勢です。FRBはすでに、利上げの停止をいつのタイミングにするかを気にしている様子。市場は、「いつ利下げに転じるか」に目を向けています。
というのも、景気後退による企業業績に懸念が出ているからです。リフィニティブによると、S&P500構成企業の23年利益に関するアナリストのコンセンサス予想は4.4%増です。ただし、これは景気後退の懸念を十分に織り込んでいないという意見もあります。
焦点:2023年の米株市場、インフレ・景気後退・企業業績が左右 | ロイター
肌感覚的には、企業の行動はリーマンショックのときに似ている感じがしています。原因は異なりますが、企業は支出を積極的に絞り始めていて、すでに景気に敏感な業種では業績に影響が出始めています。
通常、FRB利上げによって株価が下落し、その後景気後退がやってきてさらに株価は下落し、その頃になってようやく利下げが行われて株価が持ち直し、続いて業績が回復するとともに株価が力強く上昇するという流れを取ります。現在は、まだ明確な景気後退がやってきていない状況で、ここからさらに株価が下落するリスクは高いと踏んでいます。
景気後退がやってくるリスクがあるなら、債券の出番です。下記のように、リーマンショック時は債券価格が急騰(利回り下落)しました。その後、景気の回復とともに利回りは回復しましたが、2020年に向けて徐々に利回りが下落(債券価格上昇)していったことが分かります。
2023年の日本の状況
日本の状況については、やはり日銀の動向が最も注目点になりそうです。黒田東彦総裁が4月に任期満了を迎え、新総裁が就任します。政策の骨子は大きくは変わらないでしょうが(変えようがない)、先日のYCC変動幅緩和でこれだけ為替が動いたのを見ると、ちょっとしたことで金利と為替に大きく影響しそうです。
すでに30年ものは1.605%まで上昇し、10年ものが0.41%、5年ものが0.225%と上昇基調です。
主要年限レート推移(長期金利等) | ヒストリカルデータ | 日本相互証券
こうした金利の変化が為替に影響するのが一つ。
それから当然ながら、ダイレクトに金利が影響してくるものがあります。例えば、住宅ローン*1や不動産投資ローンの金利が上昇します。さらに、信用取引の金利も上昇します。証券会社各社が金利の引き下げを行った頃(最後が2017年ころ)に比べて、短期金利長期金利ともに上回っています。信用金利の引き上げはそのまま収入の増加になりますので、各社はそのうち上げてくると見ています。
2023年の制度・システム変更 SBI手数料無料化
経済状況の俯瞰に続き、制度変更をチェックしておきましょう。まずは話題の新NISAですが、こちらは2024年から。23年は現行制度が継続です。
民間のほうでは、SBI証券の手数料無料化が台風の目です。2024年度上半期中に売買手数料の無料化を目指すとしていて、つまり2023年の9月までに完全無料化されます。おそらく、楽天証券はこれに追随するでしょう。GMOクリックあたりも乗ってくるかもしれません。
これまでも1日100万円までは手数料は無料でしたし、日計り信用からの現引きや現渡しで実質無料で売買は可能でした。信用取引の売買手数料が無料になるなら、それは大変大きい変化です。
全体として
全体として、引き続きリスクオフ相場が継続すると見ています。そのため、株式は厳しい状況が続き、仮想通貨もしばらく冬が続くという見立てです。Bitcoinの次の半減期が2024年2〜6月の予定ですので、半減期を超えて上場に向かうのは2024年後半でしょうか。
そして、米国の長期金利は下落トレンドに入っていて、日本の長期金利は上昇トレンドに入っていると見ています。そのため、基調としては円高方向。
日本の長期金利上昇トレンドですが、不動産投資ローンは短期プライムレート連動(変動金利)のため、しばらくは影響がなさそうです。ただし、では余った円がどこに向かうかというと、円高が早くくるなら再び海外かもしれません。
そんなわけで、かなり混沌とした環境が続くことになりそうです。次回は、これらの相場観を元に、実際の投資方針をまとめていきます。
*1:正確には、変動金利は政策金利(未だマイナス)に、固定金利は10年もの国債金利に連動します。