先日、経済産業省と東京電力から続けてインボイス周りの連絡が来ました。意外と知られていないようなのですが、FIT制度の太陽光発電については、インボイス制度への対応は不要。これまで通りに免税事業者を継続できます。
東京電力からお尋ね
先日東京電力からIDとパスワードがセットで届いたのは、「インボイス制度ご回答ページ」というものです。
インボイス制度の「適格請求書発行事業者」の登録を受けていますか?
- 登録済み
- 登録予定
- 登録予定なし
から選べと書いてあります。なんか、これだけ見ると登録しなくちゃいけないのかな……なんて気持ちにもなってしまうのですが、実はまったく不要です。
ちなみに野点ではなく家の屋根にパネルを乗せている人は、そもそも消費税の課税取引になっていないはず。そのため、ますますインボイスの登録は不要です。
免税事業者はインボイス登録不要
経済産業省の資源エネルギー庁のページには、下記のようにインボイス登録不要と明確に書かれています。
消費税を申告・納付していない方(免税事業者)は、インボイス制度に関する対応は不要です。インボイスの登録がなくとも、現行の買取価格が変更されることはありません。
正確には、課税事業者の方はインボイス登録してください、免税事業者の方は登録不要だということです。
10月から始まるインボイス制度では、これまで消費税を収める義務がなかった人たち(免税事業者)に不利益な影響があります。取引先は、免税事業者(正確にはインボイス非登録事業者)と取引すると、支払った消費税を控除できなくなるのです。簡単にいえば、消費税分を自ら負担しなくてはならなくなります。そのため、免税事業者と取引したくなるインセンティブが働くわけです。
となると、免税事業者は課税事業者になってインボイス制度に登録しないと、取引を失う恐れがありました。世間で免税事業者が騒いでいたのはこういう話です。
では太陽光発電のFITはどうかというと、20年間にわたり消費税込みで支払うという契約がなされています。これは課税事業者であろうと免税事業者であろうと変わりません。でもインボイス制度が始まることで、免税事業者に不利な展開もあるのかも…とおもわれていたのですが、結果的にそれはなくなりました。
どんな対応方針なのか
資源エネルギー庁が2月に公開した「インボイス制度導入に伴うFIT制度運用上の対応について」の資料を見ると、次のように書かれています。
要するに、免税事業者にはこれまでどおり消費税上乗せして支払いましょう。でもそうすると東電など電力会社の消費税支払い負担が増すので、そこは「制度的に措置」しましょう。制度的に措置というのは、再エネ賦課金をアップさせて、一般消費者に負担してもらいましょうとなったわけです。
「FIT制度において手当」は再エネ賦課金として電気料金に上乗せすることに間違いはないという。その上で「義務として買い取っている電力会社に追加負担を求めることは難しい。(今回の案は)3回にわたる有識者会議を経て決めた」と説明している。
一般家庭の負担額については「全体では58億円だが、1kWhあたりの単価に換算すると0.007円。毎月の再エネ賦課金の0.2%程度になる見通し」として理解を求めた。
というわけで、免税の太陽光発電家においては、誤ってインボイス制度に登録してしまわないよう、くれぐれもご注意ください。なお登録してしまっても撤回も可能です。