FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

東証15:30に取引時間延長 新導入のクロージング・オークションとは?

11月5日、東証は約70年ぶりとなる取引時間の延長を実施しました。これによって、取引量の増加、復旧可能性の向上などが見込まれるということですが、合わせて新導入された「クロージング・オークション」とは何か、気になったので調べてみました。

新規にクロージング・オークションが導入

今回、取引時間が15時→15時30分に延長されます。ただし、単に伸びるだけではなくて、最後の5分は取引ができない「クロージング・オークション」という仕組みが導入されました。

 

終値は一般的に「その日の株価」として扱われ、投資信託などの基準価格にも使われます。そのため公正さが重要で、より透明性のある価格決定方式が求められていました。そこで諸外国ですでに使われているクロージング・オークションが、今回導入されたというわけです。

ではいったいクロージング・オークションとは何でしょうか。

基本となるザラバ

そもそも取引所での約定の方式には大きく分けて2種類があります。まず、ザラバというのは市場が開いている間に使われる方式です。

 

ザラバは、指値注文をする人たち(メイカー)が価格と数量を提示して注文を出します。これが並んでいるものを板と呼びます。下記が板の例。買いたい人と売りたい人の値段と数量が並んでいます。

これに対して、「1001円で買いたい」という人が注文を出せば、1001円での売り注文が150株あるので、150株までなら約定する(=取引が実施される)というわけです。また、成行で注文を出せば(テイカー)、出されていいる売買注文の中から、最も有利な価格で約定します。例えば「成行300株」の売り注文を出せば、まず1000円250株の買い注文とマッチングして約定し、さらに999円360株の買い注文のうち50株が約定するという具合です。

 

FXや仮想通貨は、基本的にすべてザラバで、次に説明するような板寄せの仕組みはないことが普通です。これは同じ銘柄や通貨を売買できる市場が世界各国に散らばっており、常にどこかでリアルタイムに価格が付いている(=約定している)からでしょう。

寄付きや引けで行われる板寄せ

一方で場がスタートする寄付きや終了時の引けでは、板寄せという仕組みが使われます。これはざっくりいうと、売り買いの注文をまとめて板に乗せて、その中からバランスする価格で約定させる仕組みです。

 

といってもわかりにくのでステップで見ていきましょう。

 

朝、寄付き前の板の状態をイメージしてください。成行の買いもあれば売りもあり、指値の売り買いがさまざまな値段で板に乗ってきています。まだ寄付き前なので、どれも約定はしません。

 

そこからまず始値を仮定します。売り注文の合計数量と、買い注文の合計数量をそれぞれ安い順、高い順に足していって、数量がだいたい一致する価格を探します。これが仮の始値です。

売買開始前の板状況

板寄せ | 約定の仕組み | 取引ルール | 現物取引 | 国内株式 | 楽天証券

 

売り注文を成行および指値が安い順に足していき、同様に買い注文も成行および指値が高い順に足していくと、バランスするのがだいたい500円か501円だということが分かります。

 

そこから、成行から始めて仮の500円で売りと買いをぶつけて約定させていきます。次に、低い売り注文と高い買い注文を相殺する形で500円で約定させていきます。最後に残るのが、下記のように500円で買いきれなかった600株と、それより安い買い指値、それより高い売り指値となります。

売買開始前の板状況

このように、ザラバに比べて板寄せは価格と数量という市場参加者の価格シグナルを集約して、一定の値段に収束させる効果があるわけです。

クロージング・オークション

さて、やっと今回導入されたクロージング・オークションです。これまでも始値については、売り買いの成行き注文、指値注文が出揃ったところで板寄せをして価格を決定していくというプロセスが取られていました。

 

ところが終値については、基本的に「引け」指定の指値・成行き注文だけで板寄せが行われていました。そこまでの約定価格の推移は参考にはなるものの、引け注文の動向で終値が決まっていたわけです。

 

また引け注文は終値に大きく影響するため、大口の機関投資家は引け注文を避ける傾向がありました。株価操縦の疑いをかけられてしまうからです。そのため、比較的少数の参加者の注文で終値が決まるという課題がありました。

 

そこで今回導入されたのがクロージング・オークションです。15:30の終了前の5分間、約定を行わずに注文だけを受け付けるプレ・クロージングの時間とし、その間の指値・成行き注文をひっくるめて、15:30に板寄せを行うという形です。

いわば、朝の板のような、場の開始前に多数の注文が並ぶ状態を、意図的に終値のところでも作り出すという仕組みですね。

 

これによって、「大引けの売買の参加できていない機関投資家における運用見直しの契機となることを期待」(東証)しているのだそうです。ザラバが終了したあとに注文受付時間を設けて、多様な投資家の需給を十分に取り込むのが狙いです。

 

ただし相場操縦を防ぐため、最後の1分間については、大口注文の取り消しや価格変更などは監視するようになっているということです。

※次期売買システム稼働に伴う 売買制度の見直しについて

クロージング・オークションというのがまるでわからなかったので調べてみたのですが、なるほど、朝8時40分から9時までの状況を、15:25〜15:30にかけて意図的に作り出すという仕組みだということが分かりました。

 

まぁ終値がある程度予想が付くようになるので、これはこれでいろいろ戦略の幅がひろがるかもしれません。

 

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