FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

トランプ再選 経済・株価への影響は?

接戦だと言われていた米大統領選ですが、蓋を開けてみれば早々に共和党・トランプ候補の当選が決まりました。ぼくはどちらかの候補に肩入れしているわけではありませんし、そもそも米国選挙権を持っているわけではないので、よかったも残念もないのですが、トランプ再選の影響はある程度把握しておく必要があります。

高い実現可能性のある政策

トランプはいくつもの公約を掲げて選挙戦を戦いましたが、その中には非現実的なものも含まれています。その中から、特に可能性が高いものをピックアップして考えておきましょう。

  • 関税引き上げによる通商政策強化

    • 内容: 対中関税を含む、輸入品への追加関税の引き上げ。特に、中国や海外で生産した製品を米国内に輸入する企業に高い関税を課す方針。
    • 影響: 輸入物価が上昇し、インフレ圧力が強まる可能性がある。また、米国国内での製造業が促進され、サプライチェーンが米国内にシフトする動きが出る可能性がある。

まず対中国の関税を60%に引き上げ、最恵国待遇の停止や重要分野の輸入を4年計画で
段階的に廃止することを検討。これは経済制裁などとして大統領権限で実行できるため、実現可能性が高いと見られています。

 

一方で、中国以外にも10〜20%の関税をかけるとしていますが、こちらは議会の承認が必要なため、ハードルは高いと見られます。

 

いずれにせよ、完全がかかるとそのコストは米国民が負担することになります。関税の分だけ価格が上がるからです。そのため、インフレ圧力が高まります。つまりインフレ再燃リスクから利下げが遠のく可能性があります。すでに株高+金利上昇という形で市場は反応しています。

 

みずほ銀行のレポートによるとこの関税は経済に対してけっこうな下押し圧力になると見られています。

  • 法人税率引き下げ

    • 内容: 国内製造業向けに法人税率を15%に引き下げる提案。
    • 影響: 国内生産を推進し、製造業の雇用拡大に寄与する可能性がある一方で、財政赤字の拡大を招くリスクがある。

法人税も現在の21%→15%にする提案です。短期的には特に大企業にとってプラスです。一方で、財政赤字拡大につながり、国債発行→長期金利上昇という流れが生まれます。

  • 財政政策と税制改革(TCJA)の恒久化

    • 内容: 2017年の税制改革(TCJA)で実施された減税措置を恒久化し、さらに減税を行う方針。
    • 影響: 短期的には消費を刺激する効果が期待されるが、財政赤字が増大し、長期的には政府支出や借入コストに影響を与える可能性がある。

こちらは個人向けの減税です。短期的には消費拡大につながる可能性がありますが、財政赤字拡大につながるリスクもあります。

バラマキと財政悪化、国債価格下落

そんなわけで、トランプが行う政策の結果なにが起こるのでしょうか。関税アップなどでインフレ再燃をもたらし、減税を中心としたバラマキで財政を悪化させることで国債価格が下落(=長期金利上昇)します。さらに、関税アップが不景気につながれば、インフレ+不景気というスタグフレーションに突入する可能性もあります。

 

FRBは来年の利下げを前提としていますが、トランプの政策次第ではインフレ再燃、再び利上げという可能性もあるわけです。また今はいったん上がっている株価ですが、経済が冷え込むと、これまた厳しい状況になります。

 

債券もダメ、株価もダメ。こんな最悪のシナリオを考慮しておかないといけないかもしれません。ただし為替だけは円安に進むでしょう。

 

その他の政策の影響について、三菱UFJのレポートからも抜粋しておきます。

中程度の実現可能性のある政策

一方で、公約には入っていたものの、実現可能性が少し落ちるのがこちらです。

  • エネルギー政策の緩和と化石燃料支援

    • 内容: EV購入支援の削減や、化石燃料産業(石油・天然ガスなど)への支援強化。環境規制の緩和を含む。
    • 影響: 化石燃料産業にはプラスだが、気候変動対策の後退が懸念され、国内外の環境保護団体や一部の産業から反発を招く可能性がある。
  • 州・地方税(SALT)控除制限の撤廃

    • 内容: 州および地方税の控除制限を撤廃し、高税率地域の住民にとっての税負担を軽減。
    • 影響: 主に高所得者層が恩恵を受けるため、支持層には受け入れられやすいが、財政負担の増加が懸念される。また、民主党の一部支持層にも受け入れられる可能性がある。
  • 研究開発(R&D)税額控除の拡充と100%ボーナス償却の復活

    • 内容: R&D税額控除の拡充や100%ボーナス償却を再導入し、企業の投資を促進。
    • 影響: 企業の研究開発投資が活発化し、イノベーション促進に貢献するが、長期的な税収減が財政赤字を拡大する可能性がある。
  • 個人所得税の特定免除

    • 内容: チップ収入、残業手当、ソーシャルセキュリティー給付金に対する税免除を検討。
    • 影響: 低・中所得層の消費者に直接的な恩恵があるが、税収が減少することで他の財政プログラムへの影響が懸念される。

実現可能性が低い政策

また実現可能性が低い政策はこちらです。

  • 自動車ローン利息控除

    • 内容: 国内製造車両に限り、自動車ローンの利息を控除対象とする方針。
    • 影響: 車の購入コストが減少し、国内自動車産業にプラスの影響が期待される一方、実現には財政面での課題が多く、実行には厳しい制約が伴う可能性がある。
  • 移民政策の強化

    • 内容: 不法移民の取り締まり強化や強制送還、合法移民の流入制限。
    • 影響: 労働力不足が生じ、特に低賃金職種で賃金上昇圧力が高まる可能性がある。ビジネス界からの反発や社会的な摩擦も懸念される。
  • 海外在住の米国人に対する二重課税廃止

    • 内容: 海外在住米国人に対する二重課税の廃止を検討。
    • 影響: 海外在住の米国市民の負担軽減にはつながるが、支持基盤が限定的で、他の優先事項に比べて実現可能性は低い。

不明な公約

また仮想通貨関連では、トランプ氏は次のような公約を掲げていますが、どこまで実現されるのかは不透明です(The Wall Street Journal)

  • 国家戦略的ビットコイン備蓄の創設:

    • 米国政府がビットコインを保有・取得し、戦略的備蓄として管理する計画です。
  • ビットコイン・仮想通貨大統領諮問委員会の設置:

    • 仮想通貨業界の明確な規制ガイドラインを策定するための諮問委員会を設立する意向を示しています。
  • SEC委員長の解任:

    • 現職の米国証券取引委員会(SEC)委員長であるゲイリー・ゲンスラー氏を解任し、仮想通貨業界への規制姿勢を見直すとしています。

 

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