FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

ローンの借換えで考えるべき要素(1) 金利は総支払利息にどう影響するか

太陽光発電所をローンで運営しているのですが、ここに借り換えの話を頂きました。ところが、こちら非常に要素が多くて難しい。何をどう整理して考えていけばいいか、一つずつ検証したいと思います。まずは最初は金利です。

ローンの借換えの提案内容

太陽光発電所の財務構造は、だいたい土地を現金で購入(または賃貸)し、ソーラーパネルなどの上モノをフルローンで購入するのが多いかと思います。このローン、ポピュラーなのはアプラス・ジャックスといった信販会社が提供するパッケージ化された「ソーラーローン」。時期にもよりますが、だいたいこんな感じの条件です。

  • 期間 15年
  • 金利 2.1%前後
  • 金利タイプ 固定

これに対して、今回とある地銀から提示いただいた条件は次のようなものです。

  • 期間 19年*1
  • 金利 0.925%
  • 金利タイプ 変動(短期プライムレート連動)
  • 手数料 登記費用20万+査定費用貸付金の5%

うーん。悩ましい。期間はそりゃ長いほうがいいに決まっています。月々のキャッシュフローは改善しますし、先にキャッシュが生まれるのでそれを運用することもできます。要するに期限の利益ってやつです。

 

金利はそりゃ低いほうがいいに決まっています。

 

金利タイプは逆に固定のほうがいいですね。特に日銀が利上げ方向に向いている昨今、20年近い借金はどれだけ金利がアップするか分かりませんから。

 

手数料がかかるのもイタイところです。ただこの手数料、現金で最初に払うという話ではなくローン総額に乗せていいということなので、キャッシュフロー的には影響しません。

 

さて、これ。あなたなら借り換えますか?

金利と利息総額の関係

いろいろな要素があるので、まずは金利について見ていきます。最初は時間的な価値を考慮せず、金利総額を見てみましょう。これは、1000万円借りたら合計返済額は利息分だけ増えますが、その利息はいくらになるか? という話です。

 

下記は1000万円を15年ローン、元利均等で借りたとき、利息総額はいくらになるか? を表したものです。1000万円を金利1%で借りたら、15年合計で77.2万円金利を支払うことになるというわけです。



これ、金利が上がれば利息総額も増えます。一見、金利に比例しているようにも見えますが、計算していくと実は比例はしていません。1%、2%、3%、4%、5%と上がるにつれ、利息総額は2.05倍、3.14倍、4.29倍、5.48倍となるのです。

 

元利均等返済方式では、毎月の返済額は一定ですが、初期の返済期間中は利息部分が大きく、元金部分が少ない配分になります。金利が上がると、初期に支払う利息も大きくなるため、返済期間を通じて利息が累積されやすくなる影響です。

 

つまり、金利は比例関係以上に支払い利息額に影響するというわけです。少しでも金利が低いほうがとても有利になります。

返済期間と金利の関係

では続いて返済期間と金利の関係も見ておきましょう。

 

ちなみに、この金利と利息総額の関係は、期間が長いほど影響が大きくなります。なかなか面白くありませんか? 元利均等の場合、金利が2倍になったら総支払い利息は2倍以上に増え、その傾向は返済回数が多いほど大きくなるのです。

ちなみに、金利が同じなら返済期間が長いほど総支払利息は大きくなります。下記は1000万円を金利2%で借りた場合の総支払利息です。月々の返済は、342,014(30回)、64,351(180回)、36,962(360回)と回数が増えるほど減りますが、総支払利息はこれだけ差がつきます。

金利が同じなら、返済期間は短いほど総支払利息は少なくなるわけです。

今回の条件をどう判断するか?

では今回の条件をどう判断するといいでしょうか。それぞれの内容は下記のように評価されます。

  • 期間→長期に  総支払利息は増加
  • 金利→低下   総支払利息は減少(期間が長いほど減少幅は大きく
  • 金利タイプ(??)
  • 手数料→あり  純粋にプラス

下記は筑西の発電所について、新旧条件に基づいて総支払利息額を比較したものです。

  • 期間 残132ヶ月→180ヶ月
  • 金利 2.15%→0.925%
  • 金利タイプ 変動に
  • 手数料 残債11,841,946円の5%+200000円

月々の返済額は100,818円→75,198円へと減少します。これに基づいて総支払利息額を計算すると次のようになります。

金利が半分以下になることで利息は減りますが、期間が伸びることで総支払利息額は少々増加。それでも旧条件の65%程度に利息は減ります。一方で、手数料相当額がドカンと乗ることで、結局残金に加えて支払わなければいけない金額は、227,697円増加してしまうのです。

 

金利が半分以下になってありがたいと思ったのもつかの間、逆に総支払額は増加。これって借換を行う意味があるの? いえ、ここで考えなくてはならないことはもう一つあります。それは月々の返済額が25%程度減少することです。

 

次回はこの意味を考えてみたいと思います。

 

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*1:正確には、借り換えなのでFIT残期間-1年。実質的に+4年されることになります。