2月22日、仮想通貨取引所のBybitから14億6000ドル≒2200億円がハッキングされ流出しました。これは、マウントゴックスの4億7000万ドル、コインチェックの5億3000万ドル、ローニン・ブリッジの6億ドルなどに比べても高額で、史上最大規模のハッキングになります。
Bybit CEOは「損失をカバーする」
犯行は北朝鮮系ハッカーと見られ、マルチシグのコールドウォレットがハッキングされました。DMMビットコインのときと似たような状況で、ソーシャルハッキングの可能性が取り沙汰されています。
幸いなことに、Bybitのベン・チョウCEOは「Bybitは、このハッキングの損失が回復されない場合でも、すべての顧客の資産は1対1でバックアップされており、損失をカバーすることができます。」と、すぐさま顧客資産の保証を発表しました。
Bybit is Solvent even if this hack loss is not recovered, all of clients assets are 1 to 1 backed, we can cover the loss.
— Ben Zhou (@benbybit) 2025年2月21日
Bybitは2018年に設立された仮想通貨取引所で4500万人を超えるユーザーを抱えています。日本でも頻繁に名前があがる取引所ですね。CoinMarketCapのランキングでは、B inanceに続く2位となっています。
この迅速な対応の背景には、Bybitの高い収益力があります。Flashbotsのストラテジーリードであるハス氏はXで「Bybit の年間収益は 14 億ドルをはるかに超えています。ETHに関しては問題ではありません。Bybitは顧客のETH債務を履行し、資産を買い戻すからです」と投稿しました。
If you want my serious take
— Hasu⚡️🤖 (@hasufl) 2025年2月21日
1. Bybit has way more than 1.4b of revenue per year. They are good for the money and will make all customers whole.
2. It doesn't matter for ETH because Bybit will honor customers's ETH liabilities and buy back the assets on
open market.
ETHは4%ほど下落したが急回復
ETHは42万7000円からハッキングを受けて急落。8%近い39万1200円まで落ち込みました。しかしBybitが顧客資産補填用にETHを市場から買い集めるという報道で上昇。現時点で41万8000円まで値を戻しています。
ハッカーが奪取したアドレスは厳重に追跡されていて、主要な仮想通貨取引所でブラックリストに登録されています。こうなると、ハッカーがETHを法定通貨に替えるのは困難です。
「盗まれた資金はすでにマークされており、ハッカーが使用することはきわめて困難。盗んだ資金を主要な取引所に送金しようとしても、即座にブロックされる」と、StealthEXのマリア・カロラ(Maria Carola)CEOはCoinDeskに語った。
ハッカーはおそらく資金を利用できないため、一部のアナリストは、ハッカーが保有するイーサリアムは「実質的には消滅した」と指摘している。
Bybitが保有するウォレットの資産額は、169億ドルから112億ドルに減少していて、ハッカーが盗んだ14.6億ドルのほか43億ドル程度を顧客が引き出したようです。それでも危機は落ち着きを見せ始めています。
コインチェックのハッキングの際には、大規模な仮想通貨のクラッシュが引き起こされました。今回も信用不安によって同様のことが起きる懸念もあったわけですが、現時点では状況は安定しています。吹けば飛ぶような仮想通貨業界だったわけですが、このような事故がおきても回復力がついてきたわけで、とても成熟を感じます。