日本経済にまた変調の兆しです。長期金利は上昇し、さらにインフレも再燃。一応、好景気は継続しているということになっていますが、生活者として景気のいい実感はないまま、取り巻く環境は厳しくなっていきそうです。
長期金利は1.455%に
長期金利は完全に上昇モードです。日経新聞によると、長期金利の目安となる新発10年物国債利回りは1.455%に上昇。これは15年ぶりの水準だということです。
インフレ再燃 総合CPIが4%超え
その背景にはインフレの再燃があります。総合CPIは2年ぶりに4%を超えました。生鮮食品を除く総合では3.2%上昇。コメも高いし野菜も高いし、外食も高騰。ガソリンも補助が打ち切られ3.9%上昇。電気は18%、都市ガスも9.6%上昇です。インバウンドの増加で宿泊料も6.8%上昇しました。
このレベルで高いインフレ率になると、日銀は夏に再び政策金利の利上げを行うでしょう。そういう観測から長期金利も上がったと見られています。もっとも、日銀は長期金利の上昇を食い止める動きです。1%以下に抑え込むイールドカーブ・コントロールは撤廃しましたが、「長期金利が急激に上昇するような例外的な状況では、機動的に国債買い入れの増額を実施する」と植田総裁は述べ、再び抑え込む姿勢です。
投資家はどうする?
このように、インフレ、利上げ局面では投資家はどうしたらいいでしょうか。一般的には株式がこうした状況に対応できるわけですが、今回、利上げを進める日本に対し、海外は利下げに入っています。つまり円高方向圧力がかかるわけで輸出企業主体の日経平均にはマイナスの影響となります。
ではインフレにつよい実物資産はどうか。不動産は借り入れを伴うので、金利上昇局面では逆に値が下がることもあります。直近1年の東証REIT指数はこんな感じで、マンション価格の急騰に対し、REITは先を弱く見ている投資家が多そうです。
他方、もう一つの実物資産の王である金は絶好調です。2月21日、税込みで15,635円(税抜き14,213円)まで上がっています。2020年から一本調子の右肩上がりです。
最後に債券はどうかというと、個人向け国債の変動10年の金利が0.83%まで上昇しました。通常債券は固定金利であり、買ったら満期までその金利が支払われます。さらに中途売却時は、金利上昇局面だと元本を割ってしまうことになります。
ところが個人向け国債の場合、変動型なので今後の金利上昇に伴って利払いも増加していきます。さらに中途売却時も財務省が額面で買い取ってくれるという、たいへん有利な商品になっています。
正直、インフレ率が4%なんて状況だと、どんな投資商品でも価値が目減りしていくわけですが、少なくとも現金を手元に残しておくよりも個人向け国債のほうがいいでしょう。
また、生活必需品が値上がりしている今だからこそ、改めて注目したいのが株主優待です。これだけコメの価格が上昇しても、株主優待でもらえるコメの量は(今のところ)減っていません。実質的に価値が上がっているわけで、ぼくなど今年の秋までのコメはすでに優待で確保済み。このあたりは投資家ならではの工夫といえるのではないでしょうか*1。
*1:なお優待獲得に必要な資金は、個人向け国債を担保にして野村Webローン1.9%で短期資金を借りて用意しています。