このところ、株価が不調ですね。特に直近1ヶ月の下がり方はひどく、S&P500は7.8%も下落しました。週末には10%まで下落していて、調整入りか? と言われたほどです。こうしたときに考えなくてはいけないのは、これは大局的なトレンドなのか、それともノイズなのか? ということです。
直近1ヶ月は最大10%も下落
下記はS&P500の直近1ヶ月のチャートです。きれいな右肩下がりが続いています。週末は7.88%の下落となっていますが、14日には一時10%下落までいきました。
この間、円高が進んだこともあり、円建てだともっと状況は悪くなっています。直近は10.88%のマイナス。一時は13%のマイナスまで進みました。
こうしたチャートを見ると、「もう米国株はダメだ」「トランプ政権下で経済は失速、不況入りするのではないか」という声が聞こえてくるのも不思議ではありません。
もう少し長いスパンで見てみると
でも、これをもう少し長いスパンで見てみるとどうでしょうか。まずこちらは直近3ヶ月のチャートです。なるほど、米国株が急速に崩れ始めたのはちょうど1ヶ月くらい前からのようですね。そこまでは横ばいが続いていました。
もう少しスパンを広げて6ヶ月ではどうでしょうか。あら。実はS&P500は6ヶ月前と比べると+0.45%。ほぼこの半年の上昇を失ったところだということが分かります。11月5日はトランプ氏が勝利を決めたタイミングで、そこからの上げをすべて失い、さらにマイナスに突入している状況とでもいえるでしょうか。
ではさらにスパンを広げて過去1年で見てみましょう。今回の下げは確かに大きいのですが、全体としてはまだ上昇基調です。1年前比え+9.48%の状況です。
最後に過去5年のチャートを見てみましょう。確かにこの1ヶ月の下げは大きいですが、5年間でいえば、これ以上の下げもありました。もちろん、ここからさらに大きく下げて、5年分の上昇をすべて帳消しにする可能性だってあるのでしょうけど、現時点では、S&P500が下落トレンドに入ったというようには見えないですね。

トレンドかノイズか
このように短期と長期のチャートを見て思うのは、短期的には大きく下落しているように見えても、長期的に見るとそれは大きなトレンドの中ではノイズに過ぎない可能性もあるということです。
よく、投資とは「安いときに買って高いときに売る」ものだといわれますが、そういわれたときのイメージは、次のような図ではないでしょうか。これは株価のベースは横ばいだけど、いろいろな要素で上下に変動するので、その値幅を取っていくのが投資だという意味合いになるでしょう。
他方、別の見方もあります。同じように株価が変動していても、それは長期でみたときにベースとなる株価は上昇しており、日々の値動きはそれに対するノイズだというものです。このとき、投資家が得ようとしている値幅は、ベースの株価の上昇です。
1番目のイメージは、トレーダーの視点に近く、2番目はインデックス投資家に近い視点でしょう。
では今回のS&P500株価下落はどうなのか。もちろん、さまざまな意味で米国経済成長のトレンドが転換したという見方だってあり得るでしょう。ちょうどこんな感じ。
見え方は様々ですし、どのくらいの期間で投資を考えるかによっても変わります。さて下記は2000年3月から2025年3月までの25年間のS&P500のチャート。あなたはどう考えるでしょうか。