ジュニアNISA廃止後、改めてこどもNISAが復活です。詳細設計はこれからですが、NISAの「つみたて投資枠」について、現在18歳以上としている年齢を引き下げるといいます。想定される制度内容と活用方法を考えてみました。
金融庁とこども家庭庁が税制改正要望
税制については、政治家や各省や団体の要望に基づいて年末に政府与党が税制改正大綱を出し、それに基づいて財務省が税制改正大綱を用意(地方税は総務省)。年が開けたあと詳細が詰められ法案を作成、衆参両院の財政金融委員会での審議を経て、本会議で議論されます(2月〜3月(。可決すると法案が成立する流れです。
このたび金融庁とこども家庭庁は、NISAの「つみたて投資枠」について、現在18歳以上としている年齢を引き下げを、税制改正の要望として出す方針だと報道がありました。
0歳〜17歳まで利用できるジュニアNISA制度があったのですが、新NISAスタートと入れ替わりに2023年末で新規受付が終了。若者の資産形成手段がなくなったとして批判も多かったのですが、やっと受け皿ができる流れです。
ジュニアNISAと何が違う?
では、これまでのジュニアNISAとは何が違うのでしょうか。AERAの記事内画像をもとに見ていきましょう。

まず対象年齢は変わらず18歳未満です。投資対象はジュニアNISAの場合は幅が広く上場株式、ETF、REIT、公募投信など、NISAの成長投資枠に近いくくりでした。一方、つみたて投資枠はインデックスメインの公募投信とETFに限定。上場株式には投資できません。今回は「つみたて投資枠」をベースにするということなので、ジュニアNISAよりも選択肢は減るかもしれません。
大きく変わりそうなのが非課税投資枠です。ジュニアNISAは年間80万円、最長5年間でした。ロールオーバーは可能だったので、実質400万円を非課税で運用し続けられる設計です。
つみたて投資枠は年間120万円。運用期間に上限はないのですが、生涯投資可能額が1800万円なので、全力で投資すると15年で上限に達する形です。
最大の違いは換金ルールです。ジュニアNISAではこどもが18歳になるまで換金できないという仕組みで、これが不人気の原因とされました。個人的にはどうせ大学進学費用がかかるんだから、それをプールしておく場所として最適だろうと思うのですが、そこまで資金をロックしたくないという人が多かったようです。これを踏まえると、おそらく現NISAと同じように18歳未満でも換金可能になるのではないかと言われています。
ベストプラクティス
現時点で想定される内容をもとに、ベストプラクティスを考えてみます。
まず子どもが生まれたらすぐにNISA口座開設です。そして初年度から120万円をオルカンで積み立てます。月10万円でもいいですし、年初一括120万円積み立てでもいいでしょう。子どもが15歳になると、投資上限の1800万円に達します。このとき、もし損失が出て元本を下回っているようなら、いったん売却して買い直すのも手です。現NISAと同様に、売却すると投資枠が復活するからです。
報道でもよくわからないのが、こどもNISAと現NISAが別の制度となるのか、現NISAの制限を緩和する形なのか。別の制度ならば、18歳時点でこどもNISAから現NISAへの移し替えが必要になりますが、ニュアンス的には現NISAの拡張っぽいので、放っておけば自動的にNISA口座となるのでしょう。
もう一つわからないのが現ジュニアNISAとの関係です。というのもジュニアNISAは新規投資が止まっただけで、すでに投資済みの分は18歳になるまで非課税で運用が続けられるからです。この資金をこどもNISAに移せるのか、それとも並行して運用する形になるのか。新NISAのときは、並行運用パターンでした。今回もそうなるような気もします。
贈与税に注意
最後に1つ、注意しておかなくてはならないのは贈与税です。こどもNISAを、こども自身の資金で投資するというのは考えにくいため、親などが資金を贈与して投資することになると思います。しかし、こうした贈与には税金がかかるんですね。
受け取った贈与の額が年間110万円までは控除され無税なのですが、それを超えた分には税金がかかります。税を収める義務があるのは、受け取った子どもです。

こどもNISAの年間投資額が120万円だと控除額110万円を10万円オーバーするので、この額について納税が必要。税率は10%なので1万円というわけですが、額自体というよりも確定申告をしなくてはいけないというのがハードルになると思います。
110万円を贈与で、10万円はお年玉などでもらった子ども本人の口座から……というのがベストプラクティスな感じですが、果たしてこのロジックが税務署に通じるのか? とうのが微妙なところ。未成年の段階で子どもを「脱税者」にしないように、ちょっと気になるところではあります。