2026年はIPO当たり年です。StalinkやFalcon9で有名なイーロン・マスク率いる宇宙開発企業SpaceX、ChatGPT擁するフロンティアAI最先端企業、OpenAI、そしてClaude CodeでSaaS銘柄を壊滅させつつあるAnthropic。こうした企業が軒並み上場予定です。
時価総額2兆ドル=3兆円の上場? SpaceX
上場発表秒読み段階に入ったのがSpaceXです。非公開でIPOを申請したといわれています。報道によると、IPO評価額の目標は2兆ドル。これは、MetaやTeslaの時価総額も超え、これより時価総額の高い企業はNVIDIA、Apple、Alphabet、Microsoft、Amazonの5社しかありません。
※スペースX、IPOで2兆ドル超の評価額を目指す-潜在投資家に提示
さらにSpaceXは、2月にGrok開発企業のxAIを株式交換で買収することを発表。宇宙だけでなく最先端のAI企業でもあります。
ちなみに、SpaceXの売上高は推定で150億〜160億ドル。EBITDAは80億ドル。メイン事業は衛星9500機を使い全世界に衛星インターネットサービスを提供するStalinkで、現在900人超のユーザーがいるとされています。大赤字のOpenAI/Anthropicと違い、すでに大きな黒字を上げており、成長も加速しているのがポイントです。

このIPOが実現すれば、過去最大規模のIPOとなります。が、実は利益の8割はStalinkだといわれており、2兆ドルの評価額を正当化するにはかなり厳しいのが実情でもあります。Starlink事業だけを評価すると、5000〜7000億ドル。アグレッシブにみても1兆〜1.2兆ドル。2兆ドル企業として評価するには、「火星を目指す」としているStarship事業や、ChatGPTやClaudeとしのぎを削るGrokが追加分として評価される必要があるでしょう。

OpenAI——大赤字ながら1兆ドル上場も
ChatGPT擁するOpenAIはも2026年後半に上場見込みです。3月に1220億ドルという空前の資金調達を実施し、調達後企業価値は8520億ドルに達しました。Gemini、Claude Opusなどと性能面での熾烈な争いを繰り広げていますが、ぼくの体感では4月5日時点で最も性能が高いのはGPT-5.4 Proです。
もちろん、用途によって良し悪しは変わりますが、トータルバランスで優れていると評価します。ただしこれはLLMモデルとしてのGPT-4.5ではないことには注意してください。ChatGPTに搭載されたGPT-4.5 Proは、月額200ドルのProユーザーとAPIでしか使えないモデルで、とんでもなく高性能な代わりにものすごい推論時間を食います。つまりそれだけ演算能力を消費しているということです。ぼくはOpusもGemini 3.1 ProもGrokも使いますが、GPT-4.5 Proほどの時間を書けて推論するモデルはほかにありません。それが性能に結びついています。
ただこれはOpenAIにとって大きなジレンマです。コンシューマ領域で強いブランドとユーザーをかかえるChatGPTですが、これは推論だけでもとんでもない演算量を要するということでもあります。2026年時点のランレートは240億ドルに達していますが、この1年間で140億〜170億ドルの資金流出が見込まれています。要するに大赤字です。
IPOに向けては2030年に売上2800億ドルという急成長シナリオを描いていますが、2030年までに発生するインフラコストは累計で6000億ドルと言われています。要するに
- 超大赤字
- これからも赤字
- 売上は成長するが5年で10倍以上に伸びるという楽観的計画
という状況です。

※https://x.com/oguzerkan/status/2025150215418700171
そんな状況でも巨額の資金調達ができるのは、資金を出しているのがNVIDIAやAmazon、Microsoftといった企業で、彼らは出資した資金で自社のクラウドの演算資源やGPUを買ってもらうという条件で金を出しています。ソフトバンクGを除けば、基本的に循環的出資なわけです。
Anthropic——3社の中では一番まとも?
Claude Codeで大ブレイクしたAnthropicも2026年上場見込み。最大の特徴は、SpaceXやOpenAIに比べてビジネスモデルも穏当、経営者も一番マトモ(良くも悪くも)というところでしょうか。

Anthropicの最大の特徴は、エンタープライズ市場特化でコンシューマでは「知る人ぞ知る」という状況なこと。特にコード生成AIエージェントのClaude Codeがメインプロダクトなので、企業がガンガン課金していて、ChatGPTのように無料でClaudeを使っているという人はほとんど聞きません。つまり、インフラコストに対してしっかり課金ができていて、収益化が進んでいるということです。
演算資源を無駄遣いせず、お金を取れるところにしか費やしていない姿勢は、画像生成を全く手掛けていないことにも現れています。動画生成なんてもってのほかです。動画生成SNSのSoraを鳴り物入りでオープンさせて、先日急遽クローズさせたOpenAIとはかなり方針が違います。
さらにAWS、Azure、Googleクラウドの3クラウドでサービスを提供していて、水平分業が進んでいることも特徴です。先日は国防総省が「戦争に使わせろ!」「嫌だ!」「なら軍の調達から完全排除する!」みたいに揉めて、国防総省と取引のある全企業がClaudeを使えなくなるリスクまで出てくるなど、いろいろ危ない橋も渡っているのですが、この姿勢が評価されてコンシューマでもClaudeの評価が爆上がりしたというオチもあります。
九条はこうする
さて、3社3様、注目の3社なわけですが、九条の投資方針はこうです。まずAnthropicにはすでに投資済みですが、上場したら少し買い増すかもしれません。AIエージェント開発競争ではAnthropicは先頭を走っており、ぼくが一番愛用しているのもClaude。ここは次世代のトップ企業になる可能性が非常に高い。
OpenAIも、上場したら買います。ただしこちらは「もしOpenAIがコケずに収益化を乗り切ったら、ものすごい企業になる」からです。とにかく金のないOpenAIは、一回でも調達に失敗したら終わり。それでもそこは調達の天才サム・アルトマンがいます。そしてモデルの開発という意味ではなんだかんだいってトップなのです。ヘッジ的に購入します。
SpaceXも買いです。xAIの行く末は分かりませんが、宇宙はAIと並ぶもう一つのフロンティアであり、Starlinkというインフラの重要さはものすごい可能性を秘めています。何より、Tesla株主でありながら3年も保有した後に、途中で売却するという失敗をしてしまいました。現在最強の経営者であるイーロン・マスクの企業を持たないのは逆に危険です。
というわけで、新規の株を買うのは数年に1度……という九条ですが、2026年は当たり年。世界を変える可能性が高い超大型企業が3つも上場するのですから。総資産の2〜3%くらいはこの3社に注ぎ込みたいと思っています。場合によっては、Metaをもう少し売ってもいいかもとさえ思っています。
