年明けから続いてきた適温相場、ゴルディロックス相場に終わりの影が見えてきました。トランプによる中国関税TweetをきっかけとしてVIXが急上昇。いったん落ち着くかと思いきや、さらに上昇が続いています。
+1ドルで売ってしまったが
上記は米国VIのチャートです。ぼくがVIXロング・ポジションを仕込んだのが見えている最も左のあたり。14.3ドル近辺でした。GW明け直前の上昇で、もういいか、と思い売却したのが15.3ドル近辺です。チャートの1つ目の丸印です。
もともとポジションを立てた目論見は、あまりに落ち着いた相場に嫌な感じを受けたので、遊び9割で暴落に備えたヘッジとしてVIXロングを取るというものでした。イメージとしては、VIXが20ドルくらいに上昇する感じだったのです。
トランプTweetでさらに+1.5ドル
トランプTweetで一気に急上昇したタイミングで、米国VIは16.7ドルまで上昇しています。さらに+1.5ドルという感じですね。正直、ああこういうのを危惧していたんだよ。とほほと思いました。
とはいえポジションはクローズしてしまっているし、ここから更にロングというのは怖すぎるし、ではショートかというとそれも怖い。もうどうしようもないなと思っていたのです。
トランプTweetは所詮Tweetであり、市場が過剰反応することも多いです。なので長くは続かないかも……と思っていたら、確かにその後15.5ドルくらいまで落ち着いてきました。
いやいやさらにVIX爆発
ところが落ち着くどころかVIXが爆発的に上昇したのが7日です。一気に19ドルまで上昇し、ここまで持っていたら利益は5倍だった……と淡く感じたものです。
実際のVIXは、というと。荒れてますね。トランプTweetで跳ねたあと、7日には20ドルを超えています。
VIX Centralによると、VIX先物との価格差を示すグラフは完全なバックワーデーション状態です。先物のほうが価格が安い状態で、持っているだけで徐々に価格が高くなっていく構造です。
基本的に荒れているときはバックワーデーションになることが多く、右肩下がりだということを見ても、これは本格的に来ているな、という感じです。
もう一つ、気になるのがVIX先物のポジション状況です。QUICKが分かりやすい図を乗せていました。ロングを大きく上回るショートポジションです。これはVIXが急騰すると、ショートに損失が出て、先物だけにロスカット回避やロスカットによってショートポジションが買い戻され、さらに急騰が加速する可能性があります。
いわゆる株でいう「踏み上げ」が起きる可能性ということですね。英語だとショート・スクイーズです。
この状況でさらにVIXロングは怖い VIXオプションが取引できれば……
いやはや、せっかく14ドル台のロング・ポジションを持っていたのに、もったいないといえばもったいないことをしました。まさに当初の相場観通りの展開なのですが、怖くて持ちきれないのが僕です。結局、自分の相場観を信じて勝負するとのは僕には向きませんね。
そもそもあの程度のボリュームのポジションでは、現在まで持っていたとしても、現物株の損失をカバーするどころではありません。米国株の下げと円高のダブルパンチで、2〜3%程度は減っているでしょう。
個別手法でヘッジしようとしても、怖くて続けられないし、けっこうな量のポジションを持って初めてヘッジになり得る感じなので、やはり遊び9割くらいでないとVIXは難しいです。
ただ現在のように急騰していて、さらなる急騰も期待できる状況なら、手法の想像はできます。例えば、VIXのオプションです。
ここで、同額ストライクプライスで、プットオプションとコールオプションを買い、いわゆるストラドル合成ポジションを作ります。デルタは0なので、VIXが上がろうが下がろうが、利益が出ます。つまり、ガンマロングです。さらに動きが激しいほど利益が出ることになります。ベガロングです。一方セータはマイナスなのでVIXがここで高止まりしたらタイムディケイでどんどん削られます。
と、こんなポジションを作ってみるのも面白いなと思うのですが、残念ながら国内でVIXのオプションを売買できるところはありません。
そもそもVIX自体が、S&P500のオプション価格から導き出されたもので、そのVIXのさらにオプションを取引するなんて、すごく抽象的で再帰的で面白いと思うのですが、どうでしょうか。