最近、SNSでも「マネーフォワード最高!」という声を聞くことが増えてきました。ここでいうマネーフォワードは、個人向け家計簿アプリの「マネーフォワードME」です。初期は、自動作成家計簿として使っている人が多かった印象ですが、最近は総合資産管理アプリとしての魅力が高まっているようです。
利用者は現在1200万人を超えており、有料のプレミアム会員数も30万人を超えました。
マネフォでできること、できないこと
マネーフォワードMEは、アカウントアグリゲーションサービス、PFM(Personal Finance Manegement)などと呼ばれるサービスです。銀行口座や証券口座などのアカウントを統合(アグリゲート)して管理できるものです。
できることはシンプルで、銀行やら証券やらカードやらをひたすら登録しておくと、入出金や利用の明細を自動的に取得して、まとめて表示してくれるというものです。
例えば、
- 複数の銀行や証券にまたがって存在する資産を、合計して表示できる
- 使ったお金を費目分け(自動)して、今月何にどれだけ使ったかを自動的に把握できる
といった機能があります。(1)は総合資産管理で、(2)は家計簿ですね。
プレミアムサービスの重要性
マネフォは基本的にスマホアプリとして使うものですが、アカウントを作るとPCでもサービスにログインでき、より詳細なデータを確認できます。で、重要なのがプレミアムサービスです。プレミアムサービスで可能になることは下記のとおりです。
この中で重要なのが、連携可能数です。無料だと10個まで。実は当初ぼくも無料の枠内で利用していました。10個あれば、まぁ銀行が2つ、カードが3枚、証券が2つと考えても十分に間に合うからです。
ところがしばらく経って、やっぱりプレミアムにしなければ!と思い至ったのが「データ閲覧可能期間」です。こちら無料版だと過去1年なんですね。つまり、「昨年の家計と比較してどうだったろう?」と思っても、比べられないということです。
ではマネフォからExcelとかにデータを保存しておけばいいか? ここにもプレミアムの壁が立ちはだかります。CSV形式によるデータダウンロードは無料版ではできないのです。もちろん、表形式ですから、それをうまく取り出して保存することはできます。でも、手間ともろもろを考え得ると、ちょっと厳しいな、と。
そしてプレミアムに移行して分かったのは、次の2つの機能が便利だということです。
資産推移グラフとグループ作成
資産のチェックをしたい人に有用なのが、プレミアム機能の1つ、資産推移グラフです。これは資産を種類ごとに集計して、過去の推移をグラフ化してくれるというもの。ぼくは毎月データを集計して手作業でグラフ化していますが、自動でやるならマネフォが簡単です。
この資産推移グラフは、現金や株式、ポイントなどの種類別にも表示出来ますし、後述するグループごとにも表示できます。
2つ目はグループ作成。プレミアムだと無制限に口座を登録できるので、自然と大量の登録をすることになります。特に面白いのは、公的年金の登録も可能なことです。公的年金は死ぬまで支払われるものなので、表示されるのは受給予定金額ではなく、掛け金の合計ですが、それでもこれが入ってくると、「総資産」感が増します。
また大量の口座を登録すると、そのうちに使わなくなった(解約した)クレジットカードの登録なども出てきます。こうしたカードは削除してしまってもいいのですが、現在の仕様だと、削除するとその過去のデータも消えてしまいます。そのため、プレミアムであれば、削除はせずに残しておきたいものです。
こうした年金や解約済みクレカの項目が増えてくると、全体像を把握することにどうしてもノイズになります。こんなときに、必要な口座だけを選択して集計できるグループ作成機能が活用できるわけです。
ちなみに、ぼくは個人だけでなく法人の口座もマネフォに登録しています。そして、「個人」グループと、「法人」グループなどを区分けして管理している感じです。
マネフォはまだ資産管理に活用されていることに気づいていない
ちなみに、マネフォはいまだに「家計簿サービス」をうたっていて、多くのユーザーが「資産額管理」にも使っていることには気づいていません。というか、現在のところ、機能面ではそこにフォーカスしていません。
例えば、資産管理ということでいえば、必要なデータはそろっているのですから、下記を出すのは難しいことではないでしょう。
- 年率で資産がどのくらい増えたか
- S&P500や日経平均に比べてどうだったか
- 入金額に対する含み益はどのくらいで、運用による利益はどのくらいなのか
- ボラティリティ(リスク)はどうなのか
そして、総合資産管理アプリとしては、下記の機能が不足しています。
- 銀行借入に対応していない(表示されない)
- 不動産への対応が不十分
- 非対応証券会社がけっこうある
銀行借入への非対応は本当になんとかしてほしいところです。正確には「負債」という形で表示はされるのですが、総資産からはこれがマイナスされていません。
不動産は、都心部のマンションについてはHOME’Sのデータベースと連携して、実勢価格をリアルタイム評価して表示できるようになっていますが、これもいったんWebに遷移して連携する形で試験的な設計のように見えます。今後、ツクルバとも連携してさらにこの機能を強化する意向を発表しているので、ちょっと楽しみですね。
(ちなみに六本木ヒルズは試しに登録してみただけで、ぼくが持っているわけではありません)
非対応証券会社が多いのもなんとかしてほしいところです。ぼくが使っているところでいうと、サクソバンクがダメです。また、仮想通貨への対応も国内に限られています。海外のBinanceやFTXや、個人のウォレットと連携するか、「どの仮想通貨をいくら持っているか」を入力したら時価を表示してくれればいいのですが、惜しいところです。
そんなわけで、家計簿を付けて節約をするだけでなく、自分の資産額をインスタントに確認するという用途でもかなりマネフォは使えるようになってきています。ちなみに、その重要な機能はプレミアムに登録しないと使えないのですが、家庭の電気契約を「マネフォでんき」に変えると、プレミアムが無償で使えるクーポンがついてくるので、けっこうこれがお勧めです。