FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

プロが市場平均を上回れないワケ 『ウォール街のランダムウォーカー』12版再読 第7章

このあたりから『ウォール街のランダムウォーカー』も本領を発揮です。第7章からは、投資のプロと呼ばれている人たちが、市場平均を上回れないこと、そしてその理由が述べられています。

 データでみるプロの投資成績

投資は素人がやっても難しいからプロに任せよう——。本書が世に出回る前は、そう考えるのが普通だし、当たり前のことだったと思います。投資以外のことであれば、素人よりもプロがうまいのは当たり前。でも、投資に関してはそうでなかったりするのが面白いところなのです。

 

本書にもさまざまなデータが出てきますが、ここは日本なので、SPIVAから日本の大型株投資の投資信託がS&P/TOPIX 150という指数に対して”下回った”比率を見てみましょう。直近5年で、実に7割の投信がインデックスに負けています。プロのほとんどはインデックスに勝てていないのです*1

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ちなみに、米国でもその比率は75.27%に達します。株式を運用するに当たって、勝ちたいならプロに任せてはいけないというのが、データが示していることです。

 

これは一カ所のデータではありません。金融庁も、プロが運用する投資信託が平均してインデックスに負けていることを問題視し、2年連続でレポートを出しています。ここでのポイントは、手数料にあたる信託報酬を差し引く前でも、インデックスに負けているということです。正直、プロよりも市場平均のほうが腕がいいというのが、過去のデータが指し示すものなのです。

 

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市場平均に勝つファンドの存在

とはいって、これはインデックスに負けるファンドが多いということで、当然勝っているファンドだってあります。これに対して著者は、「問題はその継続性である」と書きます。

 

市場平均よりもかなり高い成績を出したファンドについて、継続してパフォーマンスを見ていくと、かなり厳しいことが分かります。

1970年代に上位20位に入ったファンドは80年代については平均以下に終わり、個別に見ると多くのファンドがボトムに近い成績に終わったのだ。 

この状況をもって、著者は優秀なファンドの多くは「偶然によって説明されうるだろうし、また実際に説明がつくのである」と書きます。100人でじゃんけん勝ち抜き大会をしたら、全員に勝って優勝する人が1人はいます。この人はじゃんけんのプロで、ものすごい技術を持っているのでしょうか? いえ、それは全くの偶然で、数多くのプレーヤーがいれば、誰かのもとには連勝記録が残るというわけです。

なぜプロが負けてしまうのか 

ではなぜプロなのにインデックスに負けてしまうのでしょうか。多くのファンドマネージャーは、アナリストと呼ばれる企業を分析する人たちのレポートを元に投資を行います。問題はこのアナリストにあると、著者は考えています。

 

アナリストがやっているのは、まさにファンダメンタル分析です。これは第5章で解説したように、企業の成長率やリスクの度合いを予想することで、本質的価値を導き、本質的価値よりも株価が安ければ買い、高ければ売りと判断する手法です。

 

高度に訓練されたアナリストは、企業の財務諸表を分析したり経営者と面談したりして、成長率を予想します。「アナリスト平均によると、来期の成長率は11.5%……」ってやつですね。ところがこの手法は、よくよく調べると不思議なやり方をしています。

 

多くのアナリストは、将来の利益成長を予測する上で過去の成長を元に考えます。

あるアナリストの言葉を借りれば、「過去に実現された利益成長は、将来の利益成長を占う上で、最も信頼できる指標だ」というわけである。 

 しかし、実際のデータを元にしたアカデミックな研究の結果によると、過去の成長率と将来の成長率について信頼できるような因果関係はないというものでした。つまり、いま高成長であることと、将来も高成長であることは関係ないというわけです。

 

この、過去の財務諸表を見れば将来の成長が分かる——的な態度について、著者はこんな皮肉も言っています。「これはテクニカル・アナリストの主張と驚くほど似ているではないか」。

元企業経営者の視点

ぼくは一部上場企業の元役員でしたが、アナリストがフォローしてくれたりすると来社したりするわけです。また別の機会でも、アナリストの人の話を聞く機会があります。そこで感じるのは、「あぁ、所詮部外者だなぁ」ということ。

 

アナリスト自体は優秀な人ですが、外部から企業の公開情報を見たり、経営者にインタビューしても、その業界や企業の将来性なんて、そうそう分かるものじゃありません。業界の中にいてたくさん情報を集め、将来の打ち手を考えている経営陣でさえ、自社の予想はかなりの確率で外れるのです。

 

リーマンショックしかり、コロナしかり。ランダムに発生する出来事は企業の業績に大きな影響を与えますし、これまで高成長を実現してきた手法が、いきなり陳腐化してしまうなんてこともしばしばです。

 

そして結局のところ、企業が最新の注意を払って作り上げた業績予想に対して、アナリストがちょっとしたさじ加減で足したり引いたりする。それが実情だったりします。そのくらい企業の長期の成長を予測するのは難しく、短期の変化はインサイダー情報か、突発的な事件で起きることがしばしばです。

 

なので、アナリストのレポートは、知らない業界について通り一遍のことを学ぶためには役に立っても、その企業の成長率について予言しているものだとは到底いえないと思っています。そして、そんなアナリストレポートを元にして投資を行うファンドマネージャーも、しかり、です。

 

というわけで、ここまでテクニカル分析とファンダメンタル分析という株式価値を判断する2大手法について、エビデンスと実際の手法上の問題から、著者はダメ出しをしてきました。そしてついに第8章からは、インデックス投資の理論の紹介が始まります。

 

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*1:これは日本株式全体でも、53%がインデックスに負けたという数字が出ています。ただし、唯一、中小型株式については、インデックスに負けたファンドは25.14%。日本株でプロに任せるなら、中小型株という感じでしょうか。SPIVAのレポート