FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

VIXロングの保険は失効 なんとか微損失で

10月の19日から21日にかけて、VIXのロングポジションを建てました。GMOクリック証券のCFDで、直近のVIX先物を原資産とする「米国VI」の利用です。ロングした理由の1つは、世界経済がそこそこ荒れていて、そろそろ何かのショックが起きてもおかしくないと考えての保険でした。その結果は……。

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平穏無事に株価は最高値更新

残念ながらというか、幸いにもというか、11月5日にあった米雇用統計も大きなショックなく、経済は堅調、株価も好調に推移しました。下記はS&P500の推移ですが、保険をかけるショックどころか、好調そのものですね。

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この間、VIXはどうだったかというと、下記のとおり。15ドルのあたりで建てたポジションですが、大きな上昇もなく、横ばいで推移しました。

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結局、VIXロングポジションをクローズしたのは11月10日。VIX値でいうと、上記グラフで少し山になっている、18.7くらいまで上昇したところです。「15で買って18で売ったなら、利益が出たのでは?」と思うかもしれませんが、さにあらず。それが先物への投資となるVIXの難しいところです。

VIXわずかに上昇も、ポジションは損失

この間の直近VIX先物の価格推移は次の通りです。イコール、米国VIの価格推移です。ポジションを建てたタイミングが19ドルくらい。そこからジワリジワリと価格は下落して、最後、少し上昇した山の頂上で、なんとか売却できました。

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建単価は平均で19.5ドルに対し、ポジションクローズ価格は19.37。差し引き、0.13ドルの損失です。保険料としてはわずかなものでしたが、なかなかにVIXロングは難しい。

 

なぜこうなるのか? それは通常時のVIXが、先物の期先になるほど価格が高い「コンタンゴ」状態だからです。11月16日夜のVIXは16.74。対して12月22日に満期を迎えるVX/Z1の価格は19.96です。そして、満期が先になるほど価格は高くなっています。

 

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原資産価格に向かって下がっていく先物

このコンタンゴがもたらすのは、大きく2つあります。1つは、VIX商品につきもののロールオーバーによるものです。VIX投資は現物にはできず、必ず先物への投資となります。先物は満期が来ると償還されるので、満期とともに次の期先へと乗り換える(ロールオーバー)ことになります。

 

期先のほうが価格が高いのですから、ロールオーバーによって損失が発生します。GMOの米国VIでは、これを価格調整額として支払うことになります。このタイミングは11月11日でした。

 

ロールオーバーでコストが発生するのですから、逆にショートポジションならばお金がもらえます。これが、VIXショートによる利益の源泉となっています。

 

2つ目は、コンタンゴ状態にある限り、先物には時間とともに下落する重力が働くということです。先物の満期までの期間が短くなるにつれて、価格は現物であるVIX価格に近づいていきます。

 

ぼくのポジションでいうと、VIXが15ドル、先物が19ドルのときにポジションを建てたわけですから、VIXが全く動かなければ、19ドルのポジションは15ドルに向けて1カ月で下落するというわけです。

 

これはVIXがS&P500のオプション価格から計算されることからも分かります。オプション価格は、原資産価格が同じならば、ボラティリティ(ベガ)と満期までの期間(セータ)で決まります。ボラティリティも同じなら、満期までの期間が長いほど価格が高くなるのです。オプション投資では、ショートすることでセータ分を利益にできますし、逆にロングならセータによる減価を上回る利益を出す必要があるわけです。

 

もう一つ、VIXが急騰したらどうなるでしょうか? VIXが急騰しても先物は同じようには上がりません。通常時は右肩あがりのVIX先物カーブですが、これがあたかも1本のひものように持ち上がるのです。ちょうどこんな感じ。この状態をバックワーデーションといいます。

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つまり、VIXは急騰しているのに先物はそこまで上がらないという状況です。もちろん、満期までの時間が短いほど、現物に近い価格にはなるのですが、そこにはギャップが生まれます。

 

そんなわけで、VIXロングは、下記のようなデメリットもあるわけです。

  • 時間とともに損失が膨らむ
  • 急騰しても先物はそこまで上昇しない
  • ロールオーバーを迎えると追加コストが発生する

投資としての確率的には、下記のような特徴です。当たり前ですが、一般的な株式投資とは違ってVIX投資はゼロサムゲーム。さらにデリバティブによくあるとおり、手数料(スプレッド)がバカ高いのでマイナスサムゲームです。

  • VIXショート 勝率大、利回り小、時間が味方、急騰時の損失巨大
  • VIXロング 勝率小、利回り大、時間が敵、急騰時だけ大きな利益

このところ、ロングすることが多かったのですが、いやはやVIXは相変わらず難しいものです。

 

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