
子どもの金融教育、難しいですよね
九条家では、お子さんの金融教育はどのようにされています/いましたか。独り立ちした時点で一定の資産があったり、その後も贈与や相続を受けたりするような恵まれた環境で、浪費せず自らも資産形成できるような大人になってもらうにはどうしたらよいのかと考えています。子供をスポイルするような資産承継はしたくない&親が与えられる最大の財産は教育というのが基本姿勢で、ブログを拝見すると九条さんのお考えと近いように感じており、伺ってみたいです。(正直、本人の性格というか遺伝的形質の影響も大きい気がしますが、いったんそれは置いておいて…)
今回は、こんなご質問をいただきました。子どもに資産を残すのなら、老老相続(老人から老人への相続、90歳→60歳みたいな相続)を避けて、早めに贈与したいけれど、若いうちに大金を持ったら浪費してしまうに違いない……。それを避けて、自分で資産形成できるような大人になってもらうにはどうしたらいいか?
いや、ほんと難しい問題です。
お金を上げるのではなくモノを渡す
この問題に対する一つの答えは、「お金をあげるのではなく、モノを渡す」でしょう。住宅購入時に頭金を支援してあげるとか結婚式の費用を出して上げるとか、孫にかかる費用をもってあげるとか。
言うまでもなく、お金ではなくモノやサービスの形なら無駄遣いしてしまうことはありません。
現金を使わせる
でも本質的に学んでもらわなければ、まとまったお金が入ってきたときには浪費してしまうかもしれません。そこでウチが小学生から高校生にかけて行っているのは、毎月のお小遣いを現金で渡す、です。
まず、必要なものは何でも買ってあげる、だと自分でお金を管理するという経験が積めません。そして現金にしたのは、支払いごとにお金が減っていく感触があり、お金というものをデジタルな数字ではなくモノとして取り扱えるからです。
Suicaを使っていると、乗車一回ごとの運賃を気にすることがありませんよね。運賃を気にして乗る乗らないを決めるわけではないし、かかったものは仕方ない。オートチャージなのでお金を使った感覚もない――。これが多くの大人ではないでしょうか。同じ感覚を子どもにも持たせたらまずいと思ったのです。
詐欺の話をする
金融教育には、いくつかの方向性があります。一つは基礎である収支の管理です(現金を使わせて対応したい)。2つ目は借金に対する理解、そして3つ目は金融詐欺に対する耐性です。
この詐欺への対策は比較的正解があって、それは実際の詐欺の手口を共有して話題にするということです。親自身も、さまざまな詐欺のアタックを受けるわけで、そうしたことを話題にする。たとえば、
- 銀行口座を代わりに作ってくれたら5万円→口座売買をすると一生口座が作れなくなる
- ウイルス感染の画面が出て、10万円払えと言われた
- 警察を名乗る人から変な電話があった
- などなど
「最近の詐欺は、実際の先輩とかから『実はこんなことやって儲けたんだ』みたいに話がくるらしいよ」みたいな話を子どもたちとすると、なるほどそういう手口があるんだ、というような想像力も働くんじゃないかと。
マンガなどで得ているであろう知識も、バカにしたものではなくて、例えば「連帯保証人になったら人生終わるんでしょ」とかそんなことを知っていたりするわけです。
借金の難しさ
先に2つ目として挙げた借金に対する理解は、実はいまだに難しいものだなぁと思っています。というのも、何が正解なのか自分でも分かっていないからです。
例えば、家やクルマを買うのに借金するのは別に悪いことじゃないでしょう。借金とは時間を金で買う行為であり、クルマはともかく家を買うのにお金が貯まるまで待っていてはいつまで経っても買えません。
奨学金も同様です。お金がないから学校に行けなかった――というのは借金という金融技術を使えば避けられる運命であり、中には失敗してしまう人がいるとしても、奨学金のおかげで人生が大きく変わる人も多いはずです。
クレジットカードは借金ですが、この仕組みによって大金を持ち歩かなくても、必要なだけ決済が利用できます。ネットを通じて買い物ができるのも、基本的にはクレジットカードという短期の借金の仕組みを使うわけで、この利便性を諦める必要はないでしょう。
では投資用の借金はどうでしょうか? 例えば不動産投資や太陽光発電投資では、借入が基本です。借金なしでやっている人なんて超珍しいはずです。
一方で、これらの見方も一面的です。残クレで給与で返済できるギリギリのローンを組んでクルマを買うのは、かなりリスキーな場合があります。クレカだって一括払いだけならともかく、分割やリボを使い始めたら、非常に危険です。信用取引、証拠金取引、証券担保ローン、いずれも便利な道具ですが、大怪我をする可能性もあります。
一律に「借金はすべてダメ」とは言えないし、「こういう条件の借金はダメ」ともいえない。そこに借金に関する金融教育の難しさがあると思っています。
運用の金融教育はいらない
そして運用に関する金融教育は、最後の最後でいいと思っています。そして伝えたいことも3つしかありません。
- 手数料と税金に最大限気をつけよう
- 「あなただけに」美味しい投資の話はやってこない
- 複利は人類最大の発明である
これ以上のことはいくら言ってもテクニックだし、正解はないし、興味があれば自分で調べるでしょう。実務的な話では、「NISAを使い毎月オルカンを積み立てよう」で話はすべて終わります。
本当にお金は身を滅ぼすのか
よく「宝くじにあたった人の人生を追うと数年後に破産していた」とか「大金を得た人は幸せになっていない」とかいいます。ただこれは、一度に大金を得てしまった人の話なんですよね。逆に、小さな時から大金に囲まれて生活してきた人が没落するのは、資金源である事業が失敗した、といった話に限られるように思います。
ということはですよ、相続でまとまったお金を渡すのが最も危険。それよりも、毎年計画的に自分の平均寿命までに資産の大半を渡せるよう、暦年贈与するとかが、本人が学ぶ時間も作れるという意味でいいのかもしれません。
いろいろ書いてみましたが、やっぱ正解は分からない。ぜひ皆さまの意見も聞かせてください。