過去20年超の投資経験を通じて、ぼくが学んだ投資で最も重要なことは「信じて持ち続ける」ことです。何を信じるかというと、投資先です。「これぞ!」と思って購入したら、よほどのことがない限り、その将来を信じて持ち続ける。これがぼくにとって、最も重要な投資の秘訣です。
「利確」も「損切り」も嫌い
長期・積立・分散という言葉は投資家なら誰しもが知っていますし、かのバフェットの「10年間株を持てないなら、10分間すら株を持とうと考えてはいけない。*1」という言葉もありますが、それでもほとんどの投資家は売りたくなってしまうものです。
急速に上昇すれば「そろそろ危険だ。利確!」と考え、暴落が起きれば「沈む船から脱出だ。損切り!」となります。安く買って高く売るのが投資だと思っている人にとっては、これはリスクコントロールの手段であり、常識でもあります。
ところが長期投資家にとって、こうした考えはあまり意味をもちません。このことについては以前も書きました。
今回はもう少し違う観点から、なぜ信じて持ち続けることが重要なのかを考えてみます。
信じたもの、信じきれなかったもの
安く買って高く売ることにはてんで才能のない僕ですが、長期に伸びる銘柄を発掘する力だけは人並みに持っていると思っています。そして、それを持ち続ける力については人並み以上にあるというのが自慢です。
例えば持ち続けてきて良かった投資先をいくつか挙げてみましょう。
- EEM(新興国ETF) 保有期間17年弱
- EFA(米除く先進国ETF) 保有期間17年弱
- IVV(S&P500 ETF) 保有期間16年弱
- Google(Alphabet) 保有期間 15年半
- Amazon 保有期間 15年半
- Meta(Facebook) 保有期間 11年半
- BTC(Bitcoin) 保有期間 8年弱
- ETH(Ethreum) 保有期間 8年弱
EEMとEFAこそコケていますが、ほかのリターンは誰もが知っているとおり。
逆に、せっかく買ったのに売ってしまった銘柄も挙げてみます。
TeslaとかNVIDIAとか、最も厳しい時期にホルダーになって我慢強く保有していたのに、本当の意味で花開く前に売却してしまいました。せめて半分でも残しておけばよかったと思ってもあとの祭り。NVIDIAなんて、売却価格の10倍以上で買い戻しています。まぁiRobotは売却して正解ともいえるのですが、一時は株価130ドルまで上昇しているんですよね。
持ち続けることの意味
ではなぜ持ち続けることが重要なのでしょう。投資タイミングが分かるという、一部の激優秀な人を除いては、いつ買っていつ売るのがよいかを判断することは不可能です。それでも、平均すると期待値がプラスとなるのが株式投資。
一時的には想定を大きく下回る価格が付いたり、想定を超える価格まで上昇したりすることもありますが、長期で見れば、企業の成長に比例した株価が付くことになります。それがどのタイミングかは分からないので、とにかく長期で持ち続けることが重要なわけです。
別の言い方をすると、確率的には不確実だけれど期待値がプラスの投資は、いかに多くの金額を多くの時間、リスクにさらし続けるかが、リターンを決めます。時間軸を含めたリスクエクスポージャの最大化です。
売ったり買ったりすると、どうしてもリスクエクスポージャを取り切れないタイミングが出てきます。売却を決めたときに、次の投資先が都合よく見つかるとは限らないからです。下記の図のようになるわけです。
ところが一つの銘柄を持ち続けた場合、常にどんなときもお金(Money)を市場においてリスクに晒し続けることができます。リスクエクスポージャを最大化できるのです。
どうせ「いつ上がっていつ下がるのか」が分からないのなら、タイミングを測るのではなく、持ち続ける。どうせ「何が上がるのか」が分からないのなら、これだ!と信じて買った銘柄を信じ続ける。
それが投資において非常に重要なことだと思うのです。
*1:If you aren’t willing to own a stock for ten years, don’t even think about owing it for ten minutes.
*2:そういえばAmazonによるiRobot買収はEC当局の承認が得られず断念されましたね